宮崎大学医学部 内科学講座 神経呼吸内分泌代謝学分野 松元 信弘 助教

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患者さんに寄り添う医療を

【まつもと・のぶひろ】 日向学院高校卒業 1993 宮崎医科大学医学部卒業 2001 宮崎医科大学大学院医学博士号取得 2005 宮崎大学医学部内科学講座神経呼吸内分泌代謝学分野助手 2007 宮崎大学医学部内科学講座神経呼吸内分泌代謝学分野助教 2017 宮崎医学部附属病院呼吸器内科診療科長兼務

 患者さんは何に困り、何を求めて病院を受診したのか―。長期療養が必要になることが多い呼吸器系疾患。患者さんが、その疾患の特性を深く理解した上で治療を受けるために「医療情報のリテラシー共有を大切にしたい」という松元信弘助教に、宮崎の呼吸器系疾患の現状を聞いた。

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―地域のアレルギー症状の特徴は。

 宮崎は、畜産や農業に従事する人が多い地域です。私が医学を学び始めたころからずっと、アレルギー疾患「過敏性肺臓炎」の一種である「農夫肺」の患者さんが多いと言われてきました。

 農夫肺は農作業中にカビを大量に、または頻繁に吸い込むことが原因で発症します。

 例えば、牛の畜産農家が使用する飼料用のワラの貯蔵庫は、高温多湿になってカビ(好熱性放線菌)が繁殖しやすくなっています。ワラを細断する際にそのカビが空中に舞い上がる。作業する人がそのカビを繰り返し吸い込むことで、感作が成立し、せきや呼吸困難などの症状が出てしまうのです。

 この病気は、慢性型の場合、少しずつ進行していくために、患者さんがかなり悪くなるまで気づかず、受診が遅れる傾向があります。

 また、農繁期に体調が悪くても、農閑期に落ち着くことが多々あります。「仕事が落ち着いたら受診しよう」と思っていても、結局受診しないままにしていて、かなり悪化してから医療機関を訪れる人も多いのです。

 結果的に、症状が出始めてから何十年も経った50代以降、「急に息が苦しくなった」など急性期医療が必要な状態になってからの受診も見受けられます。個人差はあるものの、正確な診断が困難となる傾向もあります。

 肺の線維化などを伴うため、病気が完全に治らず、この病気と「うまく付き合っていく方法」を患者さんと一緒に考えることもあります。この病気の予防や早めの受診についての啓発活動をすることも、私たちの課題であると認識しています。

―「過敏性肺臓炎」に対する教室の取り組みは。

 慢性型の過敏性肺臓炎は、診断が難しい病気の一つです。アレルギー性の肺炎なのか、感染性の肺炎なのかといった判断には、気管支鏡検査が必要で、慎重さと知識・技術を要します。

 また、「農夫肺」のように、肺の組織がかなり壊れてから診断する機会が多い過敏性肺臓炎については、適切な診断をするための臨床研究が進められている最中です。

 当呼吸器内科では、他大学と共同で、肺炎のスクリーニングのためのマーカーを探索する研究を進めています。アレルギー症状を引き起こす要因の特性を調べることで、データに基づく診断や治療につなげることができると考え、その方法の確立を目指しています。

―医学生や若い医師に望むことは。

 私は、「患者さんが何に困っているのか」を追求することが、原点だと思っています。医学生の教育では特に、その大事さを印象付けるように気をつけています。

 症状はいつからあり、患者さんは何に困っているのか、なぜわざわざ病院まで足を運んできたのか、このような観点から詳細に問診することが診断への近道だと思います。さらには合併症などのリスクを鑑みた上で治療法を探ります。

 呼吸器系の病気は、感染症、がん、アレルギー、循環と病態の範囲が広いと言えます。だからこそ、推定しながら診断していくことに、呼吸器内科医の魅力と興味深さがあるのではないでしょうか。

 そして、勉強し続けることで、その知識を実学として臨床の現場で生かす喜びを、ぜひ感じてほしいのです。

―今後の課題は。

 日本呼吸器学会の呼吸器専門医・指導医の数は宮崎県が35人。隣県である大分県( 74人)と比較すると半分しかいません。大分県の人口が宮崎県より5万人ほど多いとはいえ、宮崎県の呼吸器内科医の少なさに強い焦りを感じます。

 医師養成機関である大学の教官として、医学生に呼吸器内科のやりがいを伝えていけるよう、さらに努力を重ねたいと思います。

 近年、呼吸器領域に限らずアレルギー症状を訴える患者さんが増えていると言われます。しかしそれは、病気を見つけやすくなったという「医療技術の進歩」が大きく影響しているのではないでしょうか。

 ただ、薬剤の多様化により、薬剤性アレルギーの患者さんは確実に増えています。呼吸器の分野で言えば、薬物によって、間質性肺炎などの呼吸器障害が現れる場合があります。

 私たちは、医学の進歩にも柔軟かつ迅速に対応する必要があります。

 私自身も意見交換や学習の機会を大切にすると共に、その重要性を学生や研修医に伝えていきたいと思います。

―患者の思いに寄り添うために、心がけていることは。

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 肺の細胞は、一度壊れてしまうと、再生することはありません。私の専門である呼吸器系の病気の患者さんの多くは、生涯、病気と付き合いながら生活していく方法を探し続けなければならないのです。

 完治することがない病気の状態や治療の方針を、患者さんやその家族に説明した際に、理解していただくためには医療情報についてのリテラシーが必要です。説明する時間は限られていますが、可能な限りそのようなことも含めてお伝えするよう、心がけています。

 自分自身が医師である前に一人の「人」であることを忘れずにいれば、患者さんの目線や想いを感じ、尊重するのに役立つと思います。

 最近、自分のために望遠鏡を買いました。多くの人が寝静まり、街のあかりが消えたころ、夜空を眺めると鮮やかな星の輝きに癒やされます。自分の時間を持つことが難しい毎日を過ごしていますが、自分らしさを保つためにも、息抜きの時間を大切にしたいと思っています。

宮崎大学医学部 内科学講座 神経呼吸内分泌代謝学分野
宮崎市清武町木原5200
TEL:0985-85-1510(代表)
http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/home/3naika/


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