近畿大学医学部附属病院 東田 有智 病院長

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日本アレルギー学会理事長に就任
適切な治療の普及を目指して

【とうだ・ゆうぢ】 1980 近畿大学医学部卒業同第4内科入局 1991 米国MayoClinic,Dep.Of-Immunology(Prof.Gleich)留学 1999 近畿大学医学部第4内科助教授 2002 同呼吸器・アレルギー内科教授  2006 近畿大学医学部附属病院副院長  2016 同病院長

 2017年7月、日本アレルギー学会の理事長に、近畿大学医学部附属病院の東田有智病院長が就任した。関東以外の地域からは初。アレルギー専門医や患者を取り巻く環境を整えるべく、制度の見直しなどを進めている。

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―7月、日本アレルギー学会理事長に就任されました。

 日本アレルギー学会第4期(通算33期)理事長に就任しました。2015年12月にアレルギー疾患対策を総合的に推進することを目的に「アレルギー疾患対策基本法」が施行。今後当学会が担う使命は重要です。

 そこで、①新専門医制度への対応とアレルギー専門医資格の地位の向上②日本アレルギー学会作成のガイドラインに沿った治療法の普及③基礎研究・臨床研究を促進し、世界をリードする(基礎系学会との共同企画等)④会員の数を増やし、専門医を増やす。特に研究者と女性医師を増やす。この四つを今期中に達成すべき指針に据えて取り組んでいきます。

―日本におけるアレルギー診療の課題とは。

 まず一つは「アレルギー専門医の偏在」。

 現在、アレルギー専門医は内科、小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科、眼科などを合わせて全国に3834人います。そのうち北海道、東北、九州の各県にはアレルギー専門医全体の0.3%〜1.3%(12〜50人)程度しかいません。一方、東京都には17%(633人)、大阪府には7.4%(284人)と大都市に集中しています。

 こうした現状を打破しアレルギー専門医の均てん化を図るために、現在各地域に支部会を設立する動きが進んでいます。

 取得単位数は少なくなりますが、毎年関東を中心に開催される学会に行かなくても支部会で単位を取得できるようになったり、各都道府県での決議事項を支部会が取りまとめたりと、医師の身体的・業務的負担は軽減されていくことでしょう。

 二つ目の課題は「アレルギー治療の標準化」。

 アレルギー科と標榜する医療機関はたくさんありますが、診療している医師はほとんどが非アレルギー専門医。そのため中には「喘息(ぜんそく)の治療薬を服用したり、喘息の発作が起きたりすると胎児に影響するので妊娠を諦めなさい」といった誤った指導がされている場合まであります。

 「アレルギー治療に用いられるステロイド薬は副作用が強いため危険で、漢方薬は副作用がなく安心」といったイメージを持つ方もいます。しかし、ステロイド薬も正しい使い方をすれば治療に有効ですし、漢方薬で副作用が出なくても症状が改善しなければ医療費の無駄遣いです。

 2014年から「総合アレルギー講習会」と「免疫療法講習会」をそれぞれ年に1度開催しています。検査や実技などハンズオンを中心に行う講習で、医師の技術力向上とアレルギー治療の標準化を目指します。

 2015年に施行された「アレルギー疾患対策基本法」をきっかけに、2018年度までに各都道府県にアレルギー疾患拠点病院を作ることが義務付けられました。現在その選定が行われている段階です。

 今後は拠点病院が適正な診断を付ける機能を持ち、その後は各医療機関でしかるべき治療や投薬がされるようになることに期待しています。

 三つ目の課題は「アレルギー診療における診療報酬」。

 アレルギーの診療は、問診や薬の正しい使用法の指導に時間がかかります。それにも関わらず、アレルギー疾患は喘息を除いて診療報酬上の指導料が認められていないことも専門医が増えない原因です。

 日本小児臨床アレルギー学会は、アレルギー疾患の正しい知識やセルフケアを患者さんやその家族に指導する役割として、学会認定の資格「小児アレルギーエデュケーター」を2015年に創設しました。

 しかし、学会の認定資格であるため診療報酬上の指導料が認められておらず、現在有資格者は400人ほどしかいません。

 日本アレルギー学会では、「小児アレルギーエデュケーター」を統合し、小児に限らずアレルギー全般に対応できる資格「アレルギーエデュケーター」と、その指導料を認めるための評価を担う第三者機関の設置を進めており、来年度中の始動を目指しています。

 現行のアレルギー専門医制度では、皮膚疾患を診る皮膚科、耳や鼻の疾患を診る耳鼻咽喉科などと異なり、内科は呼吸器内科、循環器内科、消化器内科と多岐に渡るため、足並みがそろいにくくなっています。

 今後、第三者機関ができれば、アレルギー診療でも「皮膚アレルギー」「呼吸器アレルギー」といった形で診療報酬の保険点数が付き、各診療科が足並みをそろえてアレルギー診療ができるようになるでしょう。

―近畿大学におけるアレルギー治療の特徴を教えて下さい。

 私が教授を務める「呼吸器・アレルギー内科」は西日本でもトップクラスの症例数を誇り、大阪府だけでなく、東は静岡県、南は福岡県から患者さんが来ます。

 外来で圧倒的に多いのは「喘息」。年間管理数は約2000人です。

 子どもの場合、風邪でも「ぜーぜー」「ヒューヒュー」といった呼吸困難「喘鳴(ぜんめい)」が起こりやすく、喘息なのかどうか判断しにくいため、細やかな問診と喀痰検査で診断します。ほとんどの患者さんは連携する医療機関や紹介元にお返しします。

 病棟は現在34床。間質性肺炎や重度のCOPD(慢性閉塞性肺疾患)で入院される方が多いです。高齢で肺炎を発症する方が増えてきており、病床稼働率はほぼ100%で、病床も年々増床している状況です。

―今後の展開を教えて下さい。

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 近畿大学医学部附属病院は、西日本、特に南大阪におけるアレルギー拠点として10月「アレルギーセンター」をオープンしました。

 耳鼻咽喉科や皮膚科、内科をはじめとする各診療科と連携し、定期的にカンファレンスを実施。アトピー性皮膚炎や喘息、食物アレルギー、花粉症、ハチ毒などさまざまなアレルギー疾患を適正に診断し、治療の道筋を立て、この地域におけるアレルギー治療の標準化に貢献していきます。同時に医師の育成にも大学の使命として取り組んでいきます。

 本学の農学部、大阪大学医学部と共同で「花粉症緩和米」を開発しています。スギ花粉の中でも抗原性の強い一部のエピトープ(抗体が認識する抗原)だけを入れるので、抗原全量を摂取する「経口免疫療法」と比べてもアレルギー反応を起こしにくく、また米なので毎日摂取しやすいというメリットがあります。

 現在はコストを抑えるための研究に取り組んでいるところです。医師が薬として米を処方する日も間近です。

 日本アレルギー学会理事長としては、すでに始めているインターネットを使用した「アレルゲン免疫療法(減感作療法)eラーニング」などの学習法の他、年間費の徴収といった業務的な部門でも積極的にIT化を進めていく方針です。

―リフレッシュ方法は何ですか。

 病院長としての病院における業務と、理事長としての日本アレルギー学会における業務で多忙を極めており、最近は趣味のゴルフにもほとんど行かれずにいます。

 いろいろなことに興味を持つ性格ですので、時間が取れたら音楽のコンサートや歌舞伎、文楽に行きたいと考えているのですが、当分は叶いそうにありせんね。

近畿大学医学部附属病院
大阪府大阪狭山市大野東377-2
TEL:072-366-0221(代表)
http://www.med.kindai.ac.jp/huzoku/


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