医療法人洗心会 荒尾中央病院 松山 公士 院長

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透析とリハビリを軸に"高齢先進地域"を支える

【まつやま・こうし】 ラ・サール高校卒業 1978 鹿児島大学医学部卒業 熊本大学医学部第一内科入局 1980 同医員 1986 熊本大学大学院医学研究科修了 熊本大学保健管理センター助手 1987 同大学医学部附属病院循環器内科助手 1990 三井鉱山三池鉱業所病院(現:社会保険大牟田天領病院)内科医長 1995 同副院長兼循環器科医長 1998 同副院長兼循環器科部長 2016 医療法人洗心会荒尾中央病院病院長

 1960年設立の医療法人洗心会。法人内3病院のうちの一つ、荒尾中央病院は1982年、医療・介護を要する高齢者の受け皿に、と開設された。昨年6月に就任した松山公士院長が見つめる病院の将来は。松山院長と吉田聡事務部長に聞いた。

◎透析需要に合わせた病棟再編

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松山院長(以降、院長)
 荒尾市の人口は約5万4千人。65歳以上を示す高齢化率は約33%です。全国平均が26.3%ですから、荒尾市は高齢化の"先進地域"。当院は、ここで高齢者医療を中心としています。

 昨年、介護療養病床60床を医療療養型に転換しました。この地域には介護領域だけにとどまらず医療がまだまだ必要な高齢の方が多くいらっしゃいます。さまざまな合併症を抱える患者さんのニーズに応えていきたいと思っています。

吉田事務部長(以降、事務部長)
 転換には、もう一つ理由があります。10年ほど前に始めた血液透析の患者さんが増加傾向で、介護保険の介護療養型病床の存在が、その受け入れに支障をきたしていたのです。

 透析のベッド数は32床。段階的に2クールに拡大中で、70人ほどの患者さんの受け入れを目指しています。外来透析は5人のみで、ほとんどが入院透析です。

院長
 透析は今後、非常に厳しい病像の高齢者や超高齢者が一層増えると予想されます。入院透析が必要な患者さんを当院が急性期の病院から受け入れることで、急性期病院の負担も和らげることができるでしょう。

 現在、荒尾・玉名両市と福岡県大牟田市の急性期病院からの患者さんが7〜8割。病病連携がうまく機能していると思います。今後、さらに充実させてニーズに応えていく方針です。

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吉田事務部長

◎先駆的に始めたリハビリ

院長
 リハビリにも、力を入れています。脳血管疾患、運動器、呼吸器、心大血管疾患の施設基準Ⅰを取得。リハビリ目的でこちらに入院される方も数多くいます。

事務部長
  当院は、1986年ごろにリハビリをスタートさせました。当時としては先駆的だったと思います。施設は500平方㍍余り。理学療法士12人、作業療法士6人、言語聴覚士2人とスタッフも充実しています。

院長
 急性期病院から在宅や回復期リハビリテーション病棟がある病院へ移ることができる患者さんは、ある意味「恵まれた方」だと感じています。

 急性期での治療がうまくいっても、認知機能の低下が進んでしまったり、リハビリをしたものの、まだまだ身体機能や認知機能などが回復していなかったりという患者さんは、そう簡単には急性期病院から自宅へ帰せないのです。

 急性期病院は在院日数を短縮しなければなりません。そのため、継続医療が必要な患者さんでも、引き受けてほしいとの依頼がくることもあります。

 患者さんの年齢が高くなると、回復のスピードもゆっくりになります。一つの病院だけで済むケースは少ないのです。

◎知識と技術の向上を

院長
  高齢化によって、医療の必要度はさらに高まります。高齢ゆえにさまざまな合併症を有する患者さんが増え、より高度な医療も求められるようになる。今後、慢性期の療養型病院である当院でも、今以上に濃密な治療も視野に入れなければならないでしょう。医師や看護師をはじめとする職員全員が同じ認識を持ち、幅広く専門的な知識と技術を高めていく必要があります。

 当院の隣に、県地域拠点型認知症疾患医療センターの指定を受けている「荒尾こころの郷病院」があります。特に認知症に対する認識や治療については、大いに感化を受ける環境にあるのではと思っています。

事務部長
 看護部も教育に力を入れています。臨床教育・卒後教育では、実践能力を高めるための「クリニカルラダー」などを導入。看護師の採用面接で志望理由を聞くと「教育体制がしっかりしているから」という声がたびたび聞かれます。

 当院の看護補助者85人の半数ほどは介護福祉士です。スキルが高いことはもちろん、患者さんの評価、ケアプラン立案、介護の提供ができるのが特徴です。

 人件費的には負担が大きくなりますが、その分、良質な介護が提供できるというメリットも大きい。高齢者が多い今、介護の質の担保は必須項目となっています。

◎急性期と慢性期を緩やかにつなぐ

院長
 循環器内科医として、長年、急性期の畑を歩んできました。急性期病院も、高齢者、超高齢者の患者さんが多くなっています。80年代ごろまでは高齢を理由に70代の患者さんに対してのカテーテル検査はあまりしませんでしたが、今は80代、90代のカテーテル治療や各種心臓手術も珍しくなくなりました。

 ただ、先ほど申し上げましたように急性期での治療を終えても、自宅に返すのは難しいという患者さんも数多く見てきました。転院先を探しても、なかなかすぐには適切な施設が見つからず、必要性を実感していたのです。

 ですから今後、当院が目指していくことを突き詰めると、急性期との密な連携に収斂(しゅうれん)されると思います。急性期病院には急性期病院の、当院のような受け入れる立場にある慢性期療養型病院にも慢性期病院なりの事情や思いがあります。急性期と慢性期をうまくジョイントさせていくことが、両方を知っている私の役割なのかなと思っています。

◎時には厳しく

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院長
 日本全体で「ワークライフバランス」を目指す取り組みが進んでいます。私も昨年まで福岡県医師会の男女共同参画委員会の委員を務めていました。その経験から言いますと、この病院の労働環境はいい方だと思います。急性期病院ほどの忙しさはさすがになく、これに関する諸制度や施設も比較的充実。自分のワークライフバランスを第一義に考えて当院に勤務している職員も多数います。

事務部長
 年間休日120日、勤務時間は週37.5時間。有休消化も病院側から勧めています。残業時間もそれほど多くなく、託児所もあります。

院長
 恵まれている環境だからこそ、少し強調しなければならないこともあります。職員にお願いしたいのは、オンとオフのメリハリをしっかりつけることです。休む時間が増え働く時間が短くなるなら、その分、仕事内容を効率よく濃縮させなければ、病院が回らなくなってしまいます。病院が回らないということは、患者さんはじめ、地域医療に対して迷惑がかかるということです。緊張感を持ち、1分1分集中して働く大切さを、職員にしっかりと伝えていきたいと思っています。

医療法人洗心会 荒尾中央病院
熊本県荒尾市増永1544-1
TEL:0968-64-1333
http://www.senshinkai.or.jp/chuoh/


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