大阪市立十三市民病院 大川 清孝 病院長

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淀川区内唯一の公的病院として区民の健康を支える

【おおかわ・きよたか】 大阪府立北野高校卒業 1979 大阪市立大学医学部卒業 大阪市立大学医学部第三内科研修医 1981 大阪市立大学大学院医学研究科修了 1989大阪市立城北市民病院第一内科医長 2001 大阪市立総合医療センター消化器内科部長 2003 大阪市立大学医学部臨床教授 2008 大阪市立大学医学部客員教授 2010大阪市立住吉市民病院病院長 2011 大阪市立十三市民病院病院長

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◎病院の役割と地域連携の推進

 当院の運営理念は、「市民に信頼され、地域に貢献する病院」です。地域の患者さんや開業医の方々、さらに近隣の病院から信頼されて、地域の中核病院としての役割を果たすことが最も大きな役割であり使命でもあると思います。

 「地域」という概念ですが、交通の便の極めて良い大阪市のような大都市では、その意味が違ったものになると思います。

 どういうことかというと、たとえば私自身は、出身の大阪市立大学や大阪市内の公立病院を中心に働いてきましたが、これまであまり特定の地域を医療圏として意識しませんでした。通常の行政区を越えて患者さんが来ることはよくあることですし、近隣の患者さんが電車などの公共交通機関を使って少し離れた大病院を受診することもあるからです。

 その点、淀川区内で唯一の公的病院である当院の場合、淀川区の住民の方に健康上の問題が生じた場合、どんなことであっても受診できる病院であることこそが、あるべき姿です。まずはそこを目指したいと思います。

 日本全体としては少子高齢化がますます進むと予測されていますが、大阪市については2026年の段階でも人口が少し減るだけで、淀川区については高齢化率もわずかに上昇するだけだといわれています。

 働く若い世代が住む活気のある町という印象ですが、数年前に淀川区内を東西に結んでいた大阪市交通局のバスが廃止され、代わって運行していた区役所の福祉バスも2015年9月末に廃止されたため、距離が近くても当院に通うのが不便な地域ができました。

 さらに、当院はかつて阪急電鉄十三駅から徒歩で5分くらいの場所にあったのですが、移転で十三駅と神崎川駅の真ん中、あえて言えば「中途半端な場所」に建てられました。電車で来院する方の割合がかなり減っており、とくに高齢者の方にとってバス路線の廃止はかなり大きな影響を与えていると思います。今後は送迎バスを運行するなど、なんらかの工夫が必要になるでしょう。

◎断らない医療へ

 私が5年前に院長に就任するまでは、開業医の先生からの紹介を断ることも少なくありませんでした。就任してからは、「診療が可能であれば紹介を断るべきではない」と、再三、意識改革を促してきました。

 その結果、現在は当院で診療できない疾患以外で断ることはほとんどありません。紹介患者の入院についても、調整や手続きに手間取らないように2年前からトリアージナースを置いて時間を短縮しました。

 また、地域の医療機関と連携強化を図るため、開業医のみなさんに当院の医療内容を紹介する「地域連携だより」を年に4回発行しています。

 実際に顔を合わせて話すことも重要ですので、2015年度は、約150軒の医療機関を訪問しました。

 昨年度は後方支援のための地域連携会を開設しました。この会は近隣の療養型病院、有床診療所、老人ホーム、介護老人保健施設、訪問看護ステーションなど、15施設で構成し、退院やその他施設への入所を円滑にするため、当院で年に3回の会合を開いています。

 このような努力の甲斐もあって、私が就任した2011年に26%だった紹介率は今年度の前半は46%にまでなりました。目標としている50%まであと少しというところです。

◎政策医療を提供

 当院を中心とする半径5㌔圏内にはたくさんの病院があり、そのなかには600床、700床規模の病院が3院あります。地方都市では市民病院が地域で最大の病院であることがほとんどだと思いますが、大阪市内においては必ずしもそうではありません。

 淀川区には約18万人の住民が暮らしており、規模としてはひとつの地方都市として考えることも可能です。区内とその周辺には、淀川キリスト教病院(東淀川区)、北野病院(北区)、済生会中津病院(北区)など名だたる大病院がそろっていますが、そのなかで当院が果たすべき役割を考えると、やはり政策医療の提供は大きな使命といえるでしょう。具体的には結核医療、さらに小児周産期医療と内科救急を政策医療と位置付けています。

◎地域医療支援病院の指定を目指す

 紹介率がある程度上昇したこともあって、近いうちに地域医療支援病院の指定を受けたいと考えています。承認されるには「紹介率50%」という基準がありますが、これはクリアできると思います。逆紹介率は70%が基準で、これについても65%まで近づいているので大丈夫でしょう。

 問題は救急車の搬送台数です。年間1000件という基準がありますので、今年度の達成は難しいかもしれませんが、2年ほどかければ基準に到達できると考えています。

◎急性期病院であることをつらぬく

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 地域医療構想などを踏まえると、大阪市内の急性期病院は4000床程度が過剰だということになりそうです。今後、急性期病院として生き残るためには地域医療支援病院の指定や365日24時間の2次救急が必要になるでしょう。

 もっとも、大阪市内には数多くの病院がありますので、24時間救急にしても当院だけが担当するという状況にはならないと思います。急性期病院が地域医療構想などである程度定義し直された部分もありますので、重症度や入院単価などはっきり基準が見えてきたものについては、当院として対応を急ぎたいと思います。

地方独立行政法人 大阪市民病院機構 大阪市立十三市民病院
大阪市淀川区野中北2-12-27
TEL:06-6150-8000(代表) http://www.osakacity-hp.or.jp/juso


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