長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 循環器内科学教授 長崎大学病院 前村 浩二 副院長

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県内唯一、TAVI認定施設 弁置換術が低侵襲に

ラサール高校卒業 1986 東京大学医学部卒業 1996 同第三内科助手米国ハーバード大学留学 2001 東京大学医学部附属病院循環器内科助手 2005 同特任講師 2008 長崎大学大学院循環器内科学教授 2009 長崎大学病院副病院長(兼任)

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―大動脈弁狭窄症について教えてください。

 心臓には弁が四つあります。その中でも、大動脈弁というのは、年齢を重ねると硬くなって、開きにくくなります。そうすると、心臓が収縮しても、出口(弁)が狭くなっているために、全身に送られる血液量が減少して立ちくらみや失神などを起こします。一方で、狭くなった弁の手前の圧が高くなって、肺がうっ滞(血液が停滞)して息切れが出現します。

 弁が狭いために左心室内の圧が高くなり、心臓はさらに大きな力で収縮しようと過剰に動きます。酸素の必要量が増える一方で、冠状動脈の血流は少なくなるため、胸痛を起こすのです。

 これが大動脈弁狭窄症(きょうさく)で、無症状で進行する時期が長いのですが、症状が出てからからは、約半数の患者さんが3年以内に亡くなっているというデータもあります。

 一度狭くなった大動脈弁は薬で治すことはできませんので、生体弁、または機械弁に取り換える手術が必要です。

―TAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)を導入されたそうですね。

 今年5月に施設認定を受け、7月15日に1回目の手術を実施しました。ほとんどが80代後半から90代前半の患者さんで、9月23日現在、5例になります。

 以前は、80代後半の患者さんや、肺疾患などの合併症を抱えた患者さんには、全身麻酔での開胸手術ができませんでした。しかし、TAVIなら、太ももの付け根の太い血管からカテーテルを挿入し、人工弁を装着することが可能です。開胸せず、心臓も止める必要がないので、患者さんへの負担が少なく、安全性も高い低侵襲手術ができるようになりました。

 TAVIの導入は全国で98番目と、やや後発ではありますが、これまで県外でしか手術できなかったために、手術をあきらめていた患者さんを救えるようになったことは、循環器医として大変うれしく思います。

 開胸手術ですと、体に大きな傷が残りますし、リハビリにも時間がかかります。高齢者の場合は、リハビリの期間中に肺炎などの合併症を起こすこともあり、退院まで平均3週間、1カ月以上かかることもありました。しかし、TAVIなら、順調にいけば2〜3日後には元気に歩くことができます。

 「大動脈弁が開かない」というのは、重篤な症状で患者さんにとっては非常に苦しいことです。昔は手術ができない患者さんに対しては、ターミナルケア(終末期医療)しかできませんでした。TAVIは、そうした患者さんたちを元気にして、不自由のない日常生活に戻すことができる、画期的な手技だと思います。

 ただ、問題は、手術をするかどうかの見極め方です。例えば、認知症の患者さんの場合。自分がどんな治療をされるのか理解できない方は、ご家族が手術を望まれても難しいですね。「カテーテル手術をして、良くなりたい」という気持ちが本人にあるかどうかが重要です。

―TAVIの課題はありますか。

 TAVIは、低侵襲な治療法ではありますが、人工弁を取り付ける位置決めが難しいという問題があります。ほんの少し位置がずれただけで装着箇所に隙間ができ、血液が逆流したり、人工弁が心臓の中に落ちたり、血管の中に飛ばされたりします。そうなると、人工弁を回収するための緊急手術が必要になります。

 わずか5mmのずれが死につながることもあるため、位置決めの際、術者にかかるストレスも非常に大きいですね。

 事故を防ぐために、すでにヨーロッパでは、新しい人工弁が2種類改良され、実用化もされています。

 一つは、装着位置が多少ずれても、人工弁自体が隙間を埋めるようにぴったりフィットするもの。もう一つは、装着のやり直しができるタイプのものです。これまでの人工弁は、一度装着すると、やり直しがきかなかったので、一日も早い認可が待たれます。いずれも現在、日本では治験段階です。

 日本におけるカテーテル手術の技術は年々向上していて、症例数も増加傾向にあります。今後は、さらに低侵襲で安全性の高い手術ができるよう努めたいと思います。

長崎大学病院
長崎市坂本1丁目7番1号
TEL:095-819-7200(代表)
http://www.mh.nagasaki-u.ac.jp/


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