福岡女学院看護大学 片野光男 新学長

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社会のより良い"道具"となる

【略歴】1974 年九州大学医学部卒業、同第一外科入局。 国立小倉病院、国立中津病院、佐賀医科大学(現佐賀大学医学部)消化器外科助手を経て、1981 年米カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校留学。1999 年、九州大学大学院医学系研究科腫瘍制御学分野教授に就任。2003 年九州大学大学院医学研究院先端医療医学部門教授となり、先端医療医学部門長、医学研究院長・医学部長、医学研究院附属ヒト疾患モデル研究センター長、医学研究院附属総合コホートセンター長を歴任。2015 年4月に九州大学名誉教授となり、同年8月より現職。

 今年8月に就任した福岡女学院看護大学の片野光男学長。2008年に創設された同大学の4人目の学長となる。九州大学の教授、そして医学部長などを務めてきた片野学長に話を聞いた。

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■高い専門性と豊かな人間性の看護識者に

 福岡女学院看護大学は、高い専門性を身につけた、人間味豊かな優しい看護識者を育て上げることを目指しています。

 教育内容の中で、独自性の高いもののひとつが、毎日20分のチャペル礼拝です。幅広い職種の人々のお話を聞くチャンスと、自分自身と向かい合うための大切な時間が準備され、さまざまな悩みや疑問に対応してくださる宗教主事の先生がおられます。

 福岡を代表する福岡東医療センターに隣接する、非常に恵まれた環境にあることも、特徴のひとつです。また、古賀市との協定により、学生が市議会の議場で地域医療について直接意見を述べる機会も与えられています。

 学習設備の総面積は九州の看護大学でもっとも広く、さらに現在「看護シミュレーションセンター」も敷地内での建設が進められています。

■看護を通じて、より多くの社会貢献を

 私の人としての目標は「社会のより良い道具となる」こと。この"道具"という言葉の是非はともかく、「世のため、人のために役立つよう、奮闘努力する」ということです。医師でも、看護師でも、それは同じことだと思うのです。

 この福岡女学院看護大学にいる学生も教職員も、「看護を通して、より多くの社会貢献をするため、各々の役割をもって、ここに集っているのだ」ということを常に意識して取り組む必要があります。

■医療者が持つべきは、良い目と良い耳

 私はまず、この福岡女学院看護大学をキリスト教の愛の精神に基づく日本で一番美しいキャンパスに作り上げたいと思います。門をくぐり、足を踏み入れると、優しさの中に凛とした心情が自然とわいてくる、森に抱かれるヨーロッパの大学のようなキャンパスです。

 そして、学生と教職員には、就任時に、こう提案しました。

 「志高く、身を整え、敬意を持ってキャンパスをくぐりましょう。門をくぐる時は、空を見上げるようにしてみてください。大きなものだけでなく、小さなものも見えてくるようになるはずです。そして、門を入ったら、心の時間軸を長めに調節し直してみてください。昨日までの悩みは小さくなり、今日からの目標が見えてくるようになります。道端や建物の中では、顔を上げ、中央ではなく、端を、さっそうと歩くようにしてください。自分がなぜ、何のためにここにいて、どこに向かおうとしているのが見えるようになるはずです」と。

 看護、医療に携わる人間が意識すべきなのは、「目と耳」です。じっと見つめる、話を聞く、ということは忍耐を意識しないとなかなかできません。医療行為について説明しようとすれば、5分以内で話すことができます。でも、患者さんの話を聞くとなったら、10分聞いても、十分ではないのです。

 良い目、良い耳を持つことができれば、良い口、良い手は伴ってきます。そのために私が意識的に行ってきたことが、空を見上げ、心の時間軸を長めに調節し直し、廊下や道の端をさっそうと歩くということなのです。

 また、このキャンパスでは、誰もひとりぼっちにならない、させないようにしたいと思っています。孤高ならいいのです。誰かがひとりぼっちになっているとき、必要なときに気付き、寄り添うことのできる、五感豊かで優しさを持った学生であってほしいと思っています。

■医療の限界を認める。諦めるではない

 私の専門は消化器外科学。研究分野は、「免疫学を基盤とする腫瘍制御学」です。がん性腹膜炎の患者さんとの関わりが多い中で、私の中には2つの思いが生まれました。1つは「限界、死を認める」ということです。限界を認めることと、あきらめるということは、似て非なるものです。医療の限界を認めるためには、私自身の心の背骨を鍛える必要がありました。結果として、「まずはすべてを受け入れる」ということが、私の生き方の基本となりました。

 2つ目は「不完全な選択を認める」ということです。たとえば、患者さんが望む「がんを治してほしい」という第一希望がかなわない場合、残りの選択肢から選択しなければなりません。患者さん、ご家族はもとより医療従事者にとっても、悩ましい作業になります。でも、そこでもっとも重要なことは、出した結論には、患者、家族、医療関係者が積極的に賛同するということです。

 このようにして、まずすべてを受け入れることを基本に、「受け入れたならば、それを良と信じ、希望する」という生き方が加わりました。日々の課題についても、「誠心誠意、人と向き合う」「物事の限界を認める」「不完全な選択を認める」という視点で対峙(たいじ)してきましたし、これからもそうありたいと思います。


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