医療法人幸雄会 古原医院(福岡市) 古原 雅樹 院長
―病院の特徴を聞かせてください。
循環器内科、一般内科、小児科の診療をしています。私の専門は循環器内科と腎臓。人工透析のベッドは22床あり、入院も10床あります。
高齢化に伴い、入院透析の方が増えてきているのが近年の特徴です。また、通院が困難になってきたという患者さんに対応するため、ご自宅から当院までの無料送迎もしています。
―夜間の透析も可能だそうですね。
当院が人工透析を始めたのが21年前。それと同時に夜間透析も始めました。
一般的に、透析には1回3〜4時間かかり、それが週に3回必要です。仕事をしている人が日中に通院するとなると、かなりの負担になります。患者さんが自分らしい生活を送りながら治療をするという意味でも、夜間透析は必要だと思いますね。
博多駅や空港からも近いので、透析が必要な方の出張や旅行中の受け入れもしています。
―そのほかに特徴を挙げるとすると。
治療の際、西洋薬だけでなく漢方薬を使うことが多いのも、当院の特徴です。漢方薬は、症状はあるけれど、検査しても病名がつかない「未病」という状態のときに、有用だと思うんです。
―漢方を使うようになったきっかけは。
開業したばかりのころ、まだ小学生にもなっていない女の子が咳ぜんそくで当院に来ました。ほかの大きな病院に行っても治らない、と。当時、私は漢方の勉強会に行き始めたころでしたが、少しでも良くなればという気持ちで「五虎湯」という漢方を処方したんです。
すると3日としないうちに咳が治まりました。当院に初めて来た時には咳でゆがんで苦しそうだった女の子の顔がすっかりかわいくなり、「先生ありがとうございました」と。あの時はうれしかった。漢方を本格的に勉強し始めたのはそれからです。
―漢方だけを使うというわけではないんですね。
例えば、高血圧の患者さんには血圧を下げる西洋医学の薬を処方します。でも、高血圧の方の多くが症状として訴える朝の頭痛などに対しては、漢方薬を併用する。透析の患者さんがよく訴えるかゆみを抑えるのにも、漢方を使います。
患者さんに毎日を気持ちよく、快適に過ごしてほしい。そのために、漢方を使っているんです。最近は、朝起きることができないなど、起立性調節障害に悩む子どもにも漢方を処方し、効果が出ています。
漢方は「同病異治、異病同治」。同じ病気でも違う薬を使ったり、違う病気でも同じ薬を使ったりします。何年も使っていますが、まだまだ奥が深い。もう少し深めていきたいと思っています。
―最後に、若い医師に願うことを。
パソコンばかり見て患者を見ない、話を聞かない、そんな医師にはなってほしくないですね。臨床は患者さんを診てこそ。「病気治して患者治さず」ではいけません。
患者の訴えを医師がきちんと聞けば、それだけで気分が楽になったり体調が良くなったりすることがあります。また患者さんが医師を信じなければ治るものも治りません。信頼される医師になる努力が必要だと思います。