この本は、薄い、軽い、小さい。だから、バッグに忍ばせやすい。しかも、帯にそそられる。
「指導者になってよかった!」「来年もやってみよう!」「はじめて先輩になるひとのためのお守り本」
特に最後の「お守り本」という言葉の神秘性に心を奪われた。
扉を開くと、実にシンプルな作りである。「新生活」の移ろいと共に読み進められるよう、「春夏秋冬」の四季に分けて章立てされている。見開きごとに「おみくじ」のような綴りになっており、今日を占うようにページをめくる。分厚い教育書を読み慣れた熟達者にも、サラリと編まれた本書は、「原点」に立ち返るきっかけをくれるかもしれない。
現実の「一番のお守り」は、自らが学び、実践し、失敗や成功を繰り返す中で得た「実体験」であり、恐ろしいかな「一番の落とし穴」もそこに潜むということを、私たちは痛みと共に身体で記憶していく。「成功・失敗」のどちらか一方では、人の目はきびしい。加えて着地点は「成功」でなければ、人は納得も支持もしない。先生も生徒も、親も子も、八卦見(はっけみ)も、みな同じ「人間」の結果なのだ。そこに情も利も、快く流れたらいい。ちなみに、私の心に飛び込んできたのは、次の「おみくじ教訓」だった。
―「覚悟を強さに変える」(秋の章 九番)