福岡市中央区の福岡平和ビルで5月18日、リンパ球バンク㈱が免疫療法のセミナーを行ない、120人の参加があった。
同社の提携先である東洞院クリニック(京都市中京区)が提供するANK免疫細胞療法(ANK療法)を説明するもので、同様のセミナーは全国各地で月に数回行なわれている。
ANK療法は、患者から採取したNK細胞を培養して点滴で患者本人に帰すもの。1クールの費用はおよそ400万円。
㈱千鳥饅頭総本舗の取締役も勤める原田広太郎取締役は「千鳥屋の先代社長であった父は、余命宣告後この治療を受けて元気になり、一人でも多くの人が助かるようにと、当社を設立しました」とあいさつした。また医療法人ひわき医院(北九州市戸畑区)の樋脇一久院長は、大腸癌と膀胱癌の重複癌に罹患した自身の父親を治療した経験などを説明した。術後に取り残したがんが沢山あったが、ANK療法2分の1クールを実施し、7年経過した現在も元気だという。若い肉腫の患者2人にもANK療法を実施、5年以上経っても再発しないという。「手術後のANK療法は、予後良好だ」と、外科医としての感想を述べた。
セミナー後の質疑応答は次の通り。
- Q 抗がん剤投与の前に相談に来た方が良いか。
- A がんと診断されたら、すぐに相談に来てほしい。抗がん剤は、効果がある間は投与すればいいが、免疫細胞が痛むので、投与前に採取・培養し、凍結保管する。抗がん剤が効かなくなったらANK療法に切り替えるのが1つのパターンだ。
- Q 血液のがんも治療できるのがANKの特徴か。
- A ATL(成人T細胞白血病)など、治療実績は多い。血液中にがん細胞が混入してもANK療法であれば、培養中に、混入がん細胞を全滅させることも可能だ。他の免疫療法は、実際には、がん細胞を殺せず、培養器の中で、がん細胞が増えてしまう。直接がん細胞を殺せること、点滴のたびに強い免疫刺激による免疫副反応を伴うこと、この2点が他の免疫療法と決定的に違う点だ。