志を高く持って、あえて厳しい環境に

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愛媛大学大学院医学系研究科医学専攻 病態制御部門外科学講座消化管・腫瘍外科学分野 教授 / 愛媛大学附属病院副院長  渡部祐司

1983 愛媛大学医学部医学科卒業 愛媛大学医学部付属病院研修医 1988 愛媛大学大学院医学系研究科博士課程卒業 ドイツGöttingen 大学生化学研究所Hannover 医科大学にて研究 1990 愛媛大学医学部附属病院第二外科助手 1997 愛媛大学医学部第二外科講師 2004 愛媛大学医学附属病院助教授 2009 愛媛大学医学部附属病院消化管・腫瘍外科教授 2011 愛媛大学医学部附属病院副病院長(経営管理担当)
■外科学会専門医・指導医 消化器外科学会専門医・指導医、内視鏡外科学会評議員 消化器病学会評議員 内視鏡外科学会技術認定医 癌治療認定医暫定教育医 食道学会食道科認定医 日本外科学会代議員 消化器がん外科治療認定医 日本消化器病学会四国支部評議員(幹事) 日本生体医工学会ME研究推進委員会委員 日本生体医工学会中四国支部評議員 
■日本臨床外科学会 日本消化器外科学会 日本外科学会 日本内視鏡外科学会 日本癌治療学会 日本癌学会 日本食道学会 Bio-Medical Materials and Engineering 日本大腸肛門病学会 腹腔鏡下胃切除研究会世話人 など。

 愛媛大学医学部が出来て40年。以前、外科は、第1外科、第2外科と2つの講座制をとってきた。しかし5年前に外科講座の再編成があり、臓器別に消化管・腫瘍外科学、肝胆膵移植外科学、心臓血管・呼吸器外科学の3つに分けた。

 渡部教授の消化管・腫瘍外科学講座で対象とする疾患は、食道癌・胃癌・大腸癌などの消化管癌、炎症性腸疾患、小児外科など。医局員14名、大学院生4名で、診療・研究・教育を行なっている。

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―教室の概要を教えてください。

 当大学の外科の特徴は、全国でもかなり早い段階の平成2年に内視鏡手術を始め、その後外科の各領域で内視鏡外科手術(低侵襲手術)を開発・導入したことだと思います。

 私がアメリカに渡って手術を学び、導入したのですが、教育が非常にむつかしいという現実に直面しました。そこで平成16年12月に私の発案で、低侵襲トレーニング施設を設立し、定期的に講習を行なっています。

 この施設では、まずコンピューターでの手術シミュレーターを使い、若い医師の訓練をします。 次の段階では、豚を使ったトレーニング、最後に、全国で6校のみ許可された、人間の遺体を使ったトレーニングをします。これは、もっとも臨床に近いものです。

―昨年、ダヴィンチSiを導入しましたね。

 従来の内視鏡手術では、おなかの中を平面画像でしか見ることができず、術者が慣れるまでに時間がかかっていました。ダヴィンチSiでは、3次元画像で見られるので、奥行をつかみやすいという利点があります。

 従来の内視鏡手術では鉗子の動きが制限されるのに対し、ロボットアームには複数の関節があるので、人間の手では不可能な動きが可能であるという点も大きなメリットです。またロボットを操作する手の動きと患者さんの手術器具の動きがコンピューター制御されることで、手のブレも補正され、非常に精密な手術が可能です。

 世界でダヴィンチの主流はSiです。日本では、厚生労働省の認可が、なかなかおりずに旧モデルのSが主流でしたが、現在では、SとSiをあわせたダヴィンチの導入台数は世界第2位です。

 当大学でのダヴィンチSiでの前立腺癌手術数は30例です。今後は、腎臓腫瘍、食道・胃・大腸、婦人科、呼吸器外科の手術をスタートする予定で、その準備が最近、整いました。

 私の専門分野の一つに温熱療法があります。この療法の研究促進のため、愛媛大学発のベンチャー企業として株式会社アドメテックを設立しました。

 がん細胞は約43度で消滅します。「熱」によって蛋白を変性させ、細胞の自然死を利用し、患者さんにできるだけ負担をかけることなく患部を治療する方法を研究した結果、これまでほとんど利用されてこなかった温度帯(50℃から60℃前後)の熱をゆっくり患部へ浸透させる治療法を開発しました。

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 この治療法は外科的手術に比べ低侵襲で、薬剤を使用しないので、副作用が少ない、放射線の被ばくがないなど多くのメリットがあります。

 現在、ペット医療用に臨床応用され、多くの優れた効果を確認しています。

―趣味がギターだそうですね。

 院内のクリスマスコンサートで、山下達郎の「クリスマス・イブ」を演奏しました。

 好きな音楽のジャンルは、ジャズとボサノヴァです。少しコードが複雑ですが、ジョアン・ジルベルトも好きですね。自宅にスタジオを作って演奏、録音もしています。

 仕事が終わったら気分転換にギターを弾きます。頭を休めるにはとてもいいと思います。

―医師を志したきっかけは。

 機械が好きで、高校時代から工学部に行きたいと思っていました。大学では一年間電子工学部にいたのですが、次第に人間工学に興味が出てきました。しかし電子工学部から人間工学部への転部はできませんでした。

 それなら医学部に入って工学的な研究をやろうと考え、愛媛に帰り、愛媛大学の医学部に入学しなおしました。

―医師を目指す人へのメッセージを。

 「高校で成績が良かったから、医学部に進む」ではなく、本当に医師になりたいという強い思いがある人に医学部に来てもらいたいと思います。

 医師は大変な仕事です。私の年齢になっても新しい技術が出てくると勉強しなければなりません。

 ソチ五輪で銀メダルをとった葛西選手のように、何歳になっても努力し続ける姿勢が外科医にも必要です。医学の進歩は、日進月歩なので日々修練し続けなければなりません。

 人生の何年かを患者さんのために、夜も寝ずに手術に費やす。例え12時間、18時間かかろうと手術をやりとげるという覚悟がある人が求められます。成績は関係ありません。

 医師という仕事が本当に好きであれば、ぜひ目指してほしいと思います。決して華々しい仕事ではなく、生活も不規則で、体力的につらいかもしれませんが、精神的な充実感はあると思います。

 若い人はプライベートを大事にする傾向がありますが、志を高く持って、あえて厳しい環境に飛び込んでいってもらいたいですね。


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