広島大学病院 腎臓内科 教授 正木 崇生
広島大学病院は大学の附属病院ではなく、広島大学の学部という位置づけをされている。腎臓内科は3年前に医学部の協力講座として新たに創設された。入局者は増えており、スタッフも増加しているそうだ。
―医局の方向性を教えてください。
現在15人くらい大学院生がいます。
直接臨床に応用できる研究ばかりではありませんが、若いうちは絶対に研究をしていた方がいいと思っています。将来医師としての力に必ずなると考えているからです。
研究だけではなく、臨床にも力を入れ、双方をレベルアップしていくのが当面の目標です。
―日本の透析は、世界でもトップレベルだそうですが。
医療の質に関していえばトップレベルです。しかし研究はというと、必ずしもそうとは言えません。
今後、医療・研究の質を高めていく上で、腎臓専門医が増えていくことが必要です。
腎疾患を診ていく上では、血圧・体液・電解質など、管理する項目が多岐にわたります。血圧が下がりにくい症例も多く、シビアな管理が要求されます。
また合併する糖尿病などの疾患も診ていきますので、幅広く勉強していかなければなりません。
今は入局者を増やし、育て、一人でも多くの腎臓専門医を輩出することが、私の使命だと思っています。
―CKDについて教えてください。
医師全体の認識は高まっていますが、まだ充分ではないと思います。進行が緩やかな患者さんが多いため、初期の段階での紹介が少なく、症状が悪化してから来られる例が多い現状です。さらなる地域での連携が重要だと感じています。
診断をしていく上では、検尿と腎機能の検査が大事です。
初期の腎炎で、まだ腎機能が落ちていない段階なら、腎生検を行なうことが求められます。これらについては比較的認識されていると思うのですが、その後少し腎機能が落ち、腎生検が出来なくなった段階で、どのような治療をしていくかについては広く知られていないかも知れません。
学会や関連企業が推奨しているのが、蛋白尿がどれぐらい出ているかを定量で評価して、治療に結びつけていくということです。今は測定をしている医師が少なく、まだ普及していないのが現状で、講演活動等を通じて普及に努めています。医師のみなさんもCKDについてもっと勉強してほしいと思っています。
―腎臓内科の魅力を教えてください。
腎臓病は合併症が非常に多いため、内科の中では総合的に診る分野だと言えます。
「心腎連関」の言葉が示す通り、全身を診ることが出来ます。その中で透析であるとか腎不全などの専門性も発揮出来るため、非常にやりがいも感じられると思います。救急ほど緊急性のある疾患は比較的少ないということもありますし、しっかり考えながら全身を診られることが一番の魅力だと言えます。
―昨年サンフレッチェ広島がJリーグで2連覇し、広島カープもクライマックスシリーズ進出と、広島のスポーツがすごく盛り上がっていますね。
最近は忙しくてスポーツ観戦には行っていません。
以前、医局で野球観戦を企画したことがあるのですが、2回とも台風で中止になってしまいました。
大リーグの球場のような雰囲気があるマツダスタジアムには是非行ってみたいですね。広島東洋カープの本拠地だった、旧広島市民球場には行ったことがあります。独特の雰囲気があって、あれはあれで良かったですけどね。