守れ透析 腎臓病患者連絡協議会の取り組みから

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次世代に伝えたい過去・現在・未来

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熊本腎臓病患者連絡協議会(熊腎協)
熊本市中央区黒髪6-11-22
TEL:096-345-2583
堤田知夫会長(71)と今井政敏事務局長(58)

今井さんは自営業を営んでいた28年前に発病し、3年間収入が途絶えて自殺も考えた時に透析導入、患者会の存在により医療の負担が軽減した。堤田会長とともに「今ある命は患者会の労苦の賜物」と語る。

ちょうど年次総会を終えたところで、今は県内の全透析施設をまわって、入会者を増やす取り組みをしているところ。週3回の透析日を除いた時間を使い、2か月かけて回るという。「最近は個人情報保護法もあって勧誘が難しい。患者会の意義を理解してもらい、最低限の情報は教えてもらえるよう奮闘しています」と両氏は話す。熊本市はCKD(慢性腎臓病)対策を推進しており、患者代表として講演する機会も多いという。

透析には電気と水が不可欠で、昨年の計画停電の時、関東では患者も施設も右往左往した。熊本は透析施設協議会を中心に、医師も参加して災害対策の指針などを作成している。

目下の課題は組織化と活性化。県全体の患者は約5,900人で、会員は2,300人。「一番弱い人の声を吸い上げて制度に反映させるために、組織率の確保は重要。患者の全国平均年齢は67歳ですが、熊本市は69歳、郊外ではさらに高齢化が進んでいる。新しく何かを始めようとしても、人が集まりにくいのが現状」と表情はきびしい。

組織率が下がってきたため最近の厚労省の言い分は「組織率3割の患者会が総意を代表していると言えるのか。未加入の7割は満足し、あなたたちが不満分子なだけじゃないですか」だそうだ。

患者会ができた40年前はベッド数も透析機械も少なく、費用も高額で、少数の患者しか透析を受けられず、導入年齢も50歳以下だけに限られ、自殺者も多かったという。

文字通り必死に国の援助を得る運動をしたからこそ今の制度があると今井さんは言う。「でも最近の人たちは既存の制度に満足し、それがずっと続くと思い込んでいる。昔を知らない会員の『国がなんとかしてくれる』という姿勢は問題」。

何年か前に夜間透析や祝祭日の費用がカットされそうになった時、衆参議員会館前に座り込んだのは高齢の患者たちだった。そんな厳冬時代に患者とともに制度を作り上げた医師の声を残さねばと、熊腎協結成40周年記念として「40年のあゆみ―一人一人の声を集めて」を発行し、当時を知る医師に寄稿してもらった。

透析の歴史を知らない若い医師には、患者会を単なる組合活動のように捉えている人も少なくない。患者会だけでは何をするにも不十分で、医師だけでも国は動かない。両者が組み合って初めて法案化の動きへ繋がることがあると二人は話す。

「患者会は医師の補完団体」という先人の言葉を今の医師に理解してもらえれば、患者の考え方も分かるはず、と言う。

「今の私たちの運動の恩恵を享受するのは10年後の患者。言い換えると、私たちが受けている恩恵は10年以前の先輩方の活動のおかげ。次の世代へ今ある透析制度を、未来を残すには若い医師の理解が必要不可欠です。そのためには、当時のことをよく知る医師にもっと表舞台に出てきてもらいたいと思います」。

「私たちの動ける範囲は限られているのです」

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大分県腎臓病協議会(分腎協)
大分市今津留3-4-25田原ビル1 階
TEL:(097)553-0578
伊達伸久会長(70) と太田正記事務局長(45)

分腎協は1976年、透析施設の一室で始まった。現在の事務所は会員所有のビルの一室。

公務員だった伊達会長は、村会議員となった3年目に発病。告知は青天の霹靂で、頭が真っ白になったという。しかし病気と闘いながら議員を務めたのち、分腎協の会長となって5年目を迎えた。

「患者になって14年。初めて透析を受けた時はすっきりした感じでした」と当時を振り返る。

組織の拡大が課題
全国の腎臓患者が声を上げるまでは透析を受けられずに亡くなった人も多く、先人の苦労の上に今の制度があると伊達会長は回顧する。
大分県全体の腎臓病患者は3829人で、そのうち1120人が会員。
組織拡大が課題で、最低 でも50%の組織率を目指したいと話す。
今年6月の総会には150人が参加した。今は県下33の患者会加盟施設を訪問してさらなる協力を求め、未加入の施設にも入会を依頼している最中。
昨今は保険制度も整い、誰もがいつでもどこでも安全に透析ができる。そのため「患者会に入って何のメリットがあるんだ」という態度の若い患者もいる。勤め先に透析を隠す会社員もおり、そんな実情があって未加入患者の理解を得るのは厳しい。
新たに見えてきた課題
大きな震災が起こった時、腎臓病の患者は避難だけではすまない。透析施設の維持や復旧が不可欠なことを医師会や技師会、県・市役所に逐次要望しており、講演会にも取り組んでいる。もう1つはCKDのこと。糖尿性の腎炎も増えているので、県内各地の保健所とも話し、バランスのとれた食事などの啓発活動をお願いしている。
患者会の発展めざし
会員の高齢化で役員の確保も問題。幸い大分市の病院に通院している太田事務局長に来てもらうことができた。
「これからの患者会のためにバリバリやってもらいたい。今後ももっと患者同士の対話を深めて患者会を充実させるのと同時に、各県との情報交換を進めていきたい」と伊達会長は期待を寄せる。
理解してほしいこと
多くの病院は協力を求めると賛同してくれるが、会員を集めるのは患者会の仕事で、病院の役割ではないとあしらわれることもある。ある病院では患者会に協力的な看護師長が移動し、新しい看護師長が非協力的だったために、その病院の患者会が消滅したこともあったという。
「医療に携わる人たちにお願いしたい。患者会も精一杯がんばっているので、スタッフの協力をぜひいただきたい。透析患者は一泊したら次の日は帰らねばならず、私たちの動ける範囲は限られているのです」。

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