九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

「救急車を断らない」地域完結型の医療の充実を

獨協医科大学 日光医療センター安 隆則 病院長(やす・たかのり)1986年秋田大学医学部卒業。米カリフォルニア大学サンディエゴ校留学、琉球大学大学院医学研究科循環器・腎臓・神経内科学准教授、獨協医科大学日光医療センター副院長などを経て、2019年から現職。同心臓・血管・腎臓内科主任教授兼任。  獨協医科大学日光医療センターは、2006年開院。急性期医療、高度医療、リハビリテーションを中心に、地域医療支援病院としてさまざまな取り組みを行っている。そのかじ取りを担う安隆則病院長の目指す医療とは。 ―「救急車を断らない病院」を実現されています。  月に約150台、年間2000台ほどの救急車を受け入れています。救急対応は、昼間はファーストコール、セカンドコール、サードコールまでローテーションを決めており、夜間は内科、外科の医師を1人ずつ配置しています。  救急部の部長を兼ねていた副院長時代の2018年に、救急車を断らないための「見える化」を実施しました。救急車の受け入れ件数、患者さんの様子、電話対応、受け入れを断った場合はその理由なども含めて、毎日院内に配信。それにより、理由なく救急車を断ることができなくなります。 特に当直勤務を任された若い医師たちは、患者さんへの対応について、翌朝すぐに先輩医師に相談し始めるなど、この取り組みによって全員のモチベーションに変化が生まれました。 その結果、応需率は格段にアップ。「見える化」の効果は極めて大きかったと考えています。 この救急の「見える化」の実績をさらに広げたいと、病院長に就任した2019年には各病棟の病床稼働率の「見える化」にも着手。救急もあるので、基本的に病床稼働率は90〜95%程度と指示しました。こちらも常に、この数字の範囲で推移しており、成功しています。 ―「地域完結型医療」の取り組みは。  急性期から慢性期まで「切れ目のない医療」を展開するために、一つの病院だけでなく、地域全体で取り組みたいと考えています。 まず当院では、患者さんが寝たきりにならないよう、急性期の段階からリハビリテーションや食事指導を取り入れるようにしています。 例えば、心不全の患者さんに対しては、塩分の摂取量を守ること、運動を定期的にする習慣づくりなどを指導。その後、地域のかかりつけの先生にお戻ししてからも数カ月に一度、当院に通っていただく「二重の主治医」とも言える体制を整えています。 日光市は人口減少が進んでおり、病院同士が協力していかないと地域医療が立ち行かなくなります。そこで、日光市や市内にある多くの医療機関がさまざまな協議を重ね、2019年4月、地域医療連携推進法人「日光ヘルスケアネット」を発足させました。 参加医療機関で医療機能の分担を進め、患者さんの入退院の適正化や、在宅医療の充実化を図っていこうと仕組みづくりを進めています。これらの取り組みがスムーズに動くことで、「地域完結型」の医療が実現できるのではないかと考えています。 ―さらなる取り組みは。  当院は研修施設として、セミナーを多数開催。地域の開業医の先生方にも参加を呼びかけています。 2019年からは、それまで院内対象だった病理医と臨床医による議論の場「CPC(臨床病理検討会)」を院外の先生にも開放しました。院内の医師たちの刺激にもなっており、地域医療の充実と質向上につなげたいと考えています。 もう一つ大きな目標に「日本・アジアの人を〝とりこ〟にする医療サービスの提供」を考えています。学生時代にカンボジアにボランティアに行った経験があり、いつか力になりたいと思っていました。 さまざまな交流はすでに始めており、インドネシアや中国から医師が見学に来ています。観光客対象のインバウンドに限らず門戸を開き、「ここで治療を受けたい」と思っていただけるような質の高い医療とサービスを展開したいと思います。 獨協医科大学 日光医療センター栃木県日光市高徳632☎0288―76―1515(代表)https://www.dokkyomed.ac.jp/nmc/

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地域のハブとなり理想の連携を目指す

独立行政法人地域医療機能推進機構 群馬中央病院内藤 浩 院長(ないとう・ひろし)1986年群馬大学医学部卒業。群馬県済生会前橋病院、県立循環器病センター(現:群馬県立心臓血管センター)、原町赤十字病院などを経て、2018年から現職。  独立行政法人地域医療機能推進機構群馬中央病院は「地域医療・地域包括ケアの要」として、地域の医療機関・介護施設との連携を進めている。それを陣頭指揮するのが2018年に院長となった内藤浩氏だ。これまで、さまざまなアイデアを打ち出してきた院長の歩みや今後の展望を聞く。 ―赴任以降、さまざまな改革に取り組んでいますね。  私は2000年に外科医長として当院に赴任し、まずは多職種によるチーム医療を推進しました。最初は栄養サポートチームであるNSTとクリニカルパスチームを作り、次いで感染や緩和などのチームを結成。当時はまだチーム医療を導入している医療機関が少ない時期でしたが、当院ではスタッフの協力や理解があり、比較的早い段階で体制を構築できました。 その後、NSTの取り組みは地域全体にも広がり、2008年には前橋医療圏にある100以上の医療機関・介護施設と連携して「栄養療法ネットワーク・前橋」を始めました。この活動は地域医療連携、地域包括ケアにも一役買っていると思います。 ―地域連携についての取り組みを教えてください。  チーム医療の次に取り組んだのが地域医療連携センターの設置です。センターは地域医療連携室、医療福祉相談室、患者支援室、入退院センターで構成され、患者さんのスムーズな受け入れと、後方連携の医療機関・介護施設との関係強化に努めています。現在、スタッフは総勢22人で、病院の運営面でも重要な役割を担っています。 また、2016年には地域包括ケア病棟60床を開設し、2018年には「地域包括ケアチーム」を立ち上げました。地域包括ケアに求められるのは高度・急性期医療だけではありません。当院には総合的に診療できる医師がおらず、患者さんのニーズに応えられないこともありました。そこで外科・内科などの医師や地域医療連携センターのスタッフでチームを結成し、みんなで患者さんを診る体制を整備したのです。その取り組みの一つとして、現在は摂食機能訓練などのパスを作り、患者さんに対して誤嚥(ごえん)性肺炎の予防や口から食べられるための診療を行っています。 その他、情報発信にも力を入れています。医療機関などを対象にして、定期的に地域連携カンファレンス、学術講演会、出前講座などを開催。地域の方々に対しては市民公開講座や、院内でのミニ健康教室を平日の月曜から金曜まで毎日開催しています。私としては医療の提供だけでなく、このような活動を通して地域に根づくことも重要だと感じています。 ―その他の病院の強みは。  スタッフに恵まれていることは大きな強みの一つです。チーム医療や地域医療連携センターなど、私が新しいことを始める際も一体感を持って協力してもらい、それが結果的に病院の評価にもつながっています。スタッフ同士の仲も良く、全員でダンスを踊って動画を撮影したり、毎年夏に行われる納涼祭も一体となって盛り上げてくれたりしています。今後もこの雰囲気は大切にしたいですね。 ―今後の展望は。  現在、当院には503人の登録医がおり、年間の紹介患者数は1万件を超えようとしています。これは大きな財産ですので、今後も地域医療連携を中心に据えて、地域に必要とされる病院を目指します。 私がイメージしているのは「ハブ」です。当院が中継地になることで病院や介護施設などがつながり、地域全体が一つの医療機関として機能する形が理想ですね。今後は少子高齢化などの影響で、これまで以上に病院だけでは医療が完結しない時代となるでしょう。 その中で当院には何が求められているのかを常に考えながら、地域医療のために貢献したいと思います。 独立行政法人地域医療機能推進機構 群馬中央病院前橋市紅雲町1―7―13☎027―221―8165(代表)https://gunma.jcho.go.jp/

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NICU再開、診療科増設地域 ニーズに応える病院に

独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院小村 伸朗 院長(おむら・のぶお)1988年東京慈恵会医科大学医学部卒業。同附属病院消化管外科診療部長、西埼玉中央病院統括診療部長、同副院長などを経て、2018年から現職。東京慈恵会医科大学外科学講座客員教授兼任。  西埼玉中央病院は、診療科目の充実を目指している。周産期医療では、2018年に新生児集中治療管理室(NICU)を再開した。小村伸朗院長が目指す病院は、地域が必要としている医療の提供。地域医療支援病院として、地域の医療機関との連携の強化に力を入れている。 ―病院の特徴は。  質の高い医療の提供を目指し、当院で診断・治療・フォローアップまでを担うことのできる「自己完結型医療」を目指しています。 外科領域においては、私の専門である消化器外科を中心に、高度な手術にも対応。就任以前は腹腔鏡の手術はあまり行われていなかったのですが、今は胃がんや大腸がん、胆石などの手術に導入しました。日本内視鏡外科学会の技術認定医も常勤で2人、非常勤で2人在籍しています。 さらに、診療科の充実を目指しています。耳鼻咽喉科は入院設備を有し、手術件数も順調に伸びています。ここ数年の動きとしては、呼吸器内科、精神科を常設。2019年10月から泌尿器科も医師が3人になりました。今後、高齢の患者さんが増えることを考え、呼吸器内科、整形外科、泌尿器科は、さらなる拡充を図っていきます。 ―NICUを再開しました。  この地域は産科、小児科のニーズが高いこともあり、一時休止していたNICUを、2018年7月、6年ぶりに再開しました。病床数は3床、新生児科医は1人の体制です。 再開当初は35週1800グラムまでの受け入れから開始。最終的には、32週1500㌘までの受け入れを目指しています。また、周産期で難しい呼吸管理のトレーニングも順調に進み、NICUが軌道に乗ってきたことで、産婦人科で制限していた双胎妊娠の受け入れも再開しました。 所沢市内でNICUがあるのは当院のみ。その他、防衛医科大学校病院に未熟児室があります。地域の産科病院に、定期会議などを通じて、当院のNICUを紹介。地域の周産期医療に貢献できるよう努め、将来は、6床まで増床したいと考えています。 周産期医療は、診療報酬上、経営的には不採算部門に挙げられることの多い領域です。しかし、将来を担う子どもたちを守ることも国立病院機構のあるべき姿と捉え、整えていきたいと思っています。 ―地域医療支援病院としての役割は。  地域の医療機関と連携し、地域医療の一翼を担いたいと思っています。そこで院長、各科部長、そして地域医療支援室のスタッフで、地域の医療機関に出向き、顔の見える関係をつくるよう心掛けています。その成果の一つとして、最近では、紹介率80%、逆紹介率65%に達しています。 紹介いただいた患者さんに関しては、しっかり情報をお伝えしています。入院が長期になる場合には、数回にわたって連絡をします。外科であれば、手術した時、退院した時、病理結果が出た時など。「この病院に送って大丈夫」と思っていただきたいですね。 救急医療については、4~5人の当直体制を整え「断らない救急」に取り組んでいます。その結果、救急の応需率は年々上昇。ただし、小児科は人員が不足しているので、2次救急のみの対応です。 病院経営は簡単ではありませんが、黒字化できたら職員に還元したいと思っています。患者さんに気持ち良く接するためには、職員の職場環境をより良いものにしていく必要があります。 職員が「ここで働いて良かった」と思える病院とは、自分の家族が病気になった時に、「ここで治療を受けさせたい」と思える病院だと考えています。黒字経営を実現し、職員が幸せになることが、結果として患者さんのためになると信じています。 独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院埼玉県所沢市若狭2―1671 ☎04―2948―1111(代表)https://nishisaitamachuo.hosp.go.jp/

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公立病院の責務を追究 医療格差のない地域へ

松戸市立総合医療センター烏谷 博英 病院長(からすだに・ひろひで)1982年千葉大学医学部卒業。君津中央病院、京都大学医学部脳神経外科、国保松戸市立病院(現:松戸市立総合医療センター)技術局長、同診療局長などを経て、2014年から現職。  国保松戸市立病院が移転し、2017年末に名称も新たに開院したのが松戸市立総合医療センターだ。東葛北部保健医療圏の基幹病院、そして広域の患者を受け入れる3次救急医療施設としての期待を背負う。「公立病院だからこそ果たすべき役割がある」と烏谷博英病院長は話す。 ─病院について。  3次救急と小児・周産期医療に力を入れています。東葛北部保健医療圏には、3次救急医療機関が当院を含め2カ所しかありません。松戸市は県境にあることもあり、隣接する東京都葛飾区やその隣の足立区、埼玉県の三郷市や八潮市などからも重症患者を受け入れています。 東葛北部保健医療圏唯一の地域周産期母子医療センターと、小児医療センターを設置。全国的に小児科医不足が叫ばれる中、当院には30人の小児科医がいます。病棟、PICU(小児集中治療室)、小児夜間急診と、3人の当直体制が取れているのは大きな強みだと考えます。PICUは、県内はもちろん、全国でも数少なく、ドクターヘリも有効に使いながら対応しています。 今、出生1万人当たりNICU25~30 床が求められている一方で、産科の閉鎖が相次ぐなど、周産期医療には課題が山積みです。われわれは高い専門性と総合力を備えることで「子育てしやすい松戸市」であり続けるための一翼を担っていきたいと思っています。 ─病院長としての試みは。  「すべての人に『来てよかった』と思われる病院を目指します」を理念にしています。患者さんだけでなく、医療スタッフが気持ち良く働き、患者さんに優しくできるようにしたいという考えから、掲げました。風通しの良い組織づくりや協力関係の下、医療に尽くせる環境をつくることは、私にとっての課題です。 医療レベルを保ったり、新しい取り組みを行ったりするためには、研修医にとっても「来てみたい病院」でなければいけないと考えます。研修2年目のプログラムをフリーにし、研修医自身が主体性を持って取り組むシステムにしました。今、当院での研修希望者数は、採用人数に対して約5倍の応募となっています。 地域との連携も重要です。一つは外来化学療法室の活用。沿線に、がん診療に関して高い専門性を持つ病院が点在しているため、他院で手術した患者さんにも放射線治療と抗がん剤治療を行っています。また、緩和ケアにおいては、当院で病状を落ち着かせ、在宅に戻ったり、緩和ケア病棟に転院したりできるよう、連携を強化しています。 この地域は脳神経外科医が多いのですが、医師数に恵まれていても、当番医制で1カ所に患者さんを集めていては、時間との勝負の治療はできません。そこで地域の脳卒中診療担当医で集まり、松戸市消防局の協力を得て「脳卒中から市民を守ろう!」をスローガンとする「松戸脳卒中ネットワーク」を立ち上げました。 救急隊が受け入れ病院の1カ月先までの態勢を把握・評価することで、常にすぐに治療できる病院に患者さんを搬送できる仕組みをつくりました。後遺症を少なくし、ADLやQOLを損なわずに済むよう、松戸市からネットワークを広げていきたいと思います。 ─今後は。  新病院移転時に、高精度放射線治療装置を導入しました。ピンポイントの照射が可能で、高齢でも治療が受けられます。高齢男性に増えている前立腺がんの治療に積極的に取り入れたいと思っています。 医療に「隙間」があってはいけません。3次救急や小児・周産期医療が病院経営での不採算部門になろうとも、「隙間」ができないように埋めるのは公立病院の役割です。黒字部門の拡大に努めながら、信念を持って医療を提供していきます。 松戸市立総合医療センター千葉県松戸市千駄堀993―1☎047─712─2511(代表)https://www.city.matsudo.chiba.jp/hospital/

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新築移転から5年 さらに地域に愛される病院へ

IMSグループ 医療法人財団 明理会 行徳総合病院畑中 正行 院長(はたなか・まさゆき)1991年大阪医科大学医学部卒業。東京女子医科大学、板橋中央総合病院副院長などを経て、2019年から現職。  2020年、設立40年という節目を迎える行徳総合病院。2015年に現在の地に新築移転し、ちょうど5年となる。これまで高度急性期医療を中心に、地域で高まるニーズに合わせて診療の幅を広げてきた。就任して2年目を迎えた畑中正行院長に、これまでの取り組みと今後の展望について聞いた。 ―院長就任2年目です。  前任の板橋中央総合病院の患者層は、比較的高齢者が多かったのですが、行徳総合病院があるこの地域は、都内に通勤する方が多いベッドタウンです。日本では多くの地域で人口減少や高齢化が課題となっていますが、ここは人口増加が見込まれています。お子さんがいらっしゃる比較的若い世帯が多く、年齢層が幅広いという特徴があります。 その中で、当院は2015年に現在の場所に新築移転してきました。以前病院があった場所と離れていることもあり、この地域での認知度はまだまだ低いと感じています。もっと、地域に愛される病院を目指して、取り組んでいきたいと思います。 診療体制を充実させていく中で、高度急性期医療は、当院の大きな強みです。救急車の受け入れは、年間約5000件以上。高速道路のインターチェンジから近いこともあり、市川市だけでなく船橋市、習志野市からも受け入れています。 より多くの方を受け入れるためにはマンパワーの充実が必要です。実は千葉県は全体的に医師がかなり不足しており、どの病院も苦戦しているのではないでしょうか。研修などの教育環境を充実させ、若い研修医たちがこの病院に残ってくれるよう努力していきたいと思っています。 ―地域連携のための取り組みは。  急性期を中心に、回復期リハビリテーション病床45床、地域包括ケア病床35床も有しています。急性期から回復期を経て、開業医の先生にお任せするなどといったことができるよう、地域連携をより強めていきたいと考えています。 就任してから「地域連携カンファレンス」を開催しており、診療が終わった遅い時間に集まっていただくのですが、開業医の先生と広く情報交換ができる場となっています。 地域住民に向けては、がんや生活習慣病などの病気に関する知識を得ていただくための啓発活動も行っています。「ふれあい健康サロン」での講演活動のほか、年に1回、当院で開催する「行徳健康フェスタ」は5回目を迎えました。血圧・体脂肪測定ブースや講演イベントなど、毎年好評をいただいています。 これらの活動を通して、開業医の先生、地域住民の方々にもっと当院を知っていただきたいと思います。 ─新しいセンターが2020年春に誕生します。  2020年4月に「心臓病・血管病センター」を開設します。循環器内科医に加え心臓血管外科医も常勤し、カテーテル治療など、循環器疾患を総合的に治療できる体制を整えます。 同じく4月に「てんかんセンター」もスタートします。てんかんは、患者さんが潜在的に多いと言われていますが、この地域には専門的な医療機関がありませんでした。専門的な診療体制を整えることにより、これまで日常生活に不安があった患者さんも安心して暮らせる治療を提供していきたいと考えています。 医師を確保し、診療科を充実させることは、大きな目標でありますが、まずは「あらゆる世代の患者さんを診る」という意識をもっと徹底していきたい、と感じています。 外来患者数は、私の院長就任以来増加傾向にありますが、さらに今の倍近い数を受け入れたいと考えています。質の高い医療を通して地域貢献、社会貢献していくことが、私たちの役割であると思っています。 IMSグループ 医療法人財団 明理会行徳総合病院千葉県市川市本行徳5525―2☎047―395―1151(代表)https://gyo-toku.jp/

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患者ファーストの精神を診療、教育、研究に

東京大学医学部附属病院瀬戸 泰之 病院長(せと・やすゆき)1984年東京大学医学部卒業。国立がんセンター(現:国立がん研究センター)、癌研究会(現:公益財団法人がん研究会)有明病院などを経て、2019年から現職。東京大学大学院医学系研究科消化管外科学教授兼任。  「東京大学メディカルタウン構想」を掲げた最先端医療の拠点新棟の建設など、ハード面の整備が一段落した東大病院。そのプロジェクトを引き継ぎ、2019年4月から運営のかじ取りを任された瀬戸泰之病院長。より良い医療を実現するために、課せられた次なるテーマとは。 ―現状の課題はいかがでしょうか。  今取り組んでいる課題は、財政状況の改善です。「東京大学メディカルタウン構想」において、新たな建物の建設が続き、財政は決して良い状況とは言えません。 改善に向けて、KPI(重要業績評価指標)を設定。主な指標として挙げているのは、ベッド稼働率、新規入院患者数、院外処方率といった三つです。 ベッド稼働率については、まず各診療科や病棟の責任者と面談し、課題の把握に努めました。これまでは、「早めに退院」を意識して、取り組んでいたのですが、DPC(診断群分類包括評価)で定められた入院期間を理解しつつ、適正な入院日数を導入。入院日数が大幅に延びたわけではないものの、目標としていた稼働率85%で推移しています。 当院の病床数は1264床と非常に多く、少子高齢化で、今後は入院者数が減少すると予想されています。そこで2020年4月をめどに、病棟を一つ閉鎖する予定です。これにより、稼働率はさらに良くなるでしょう。 重要なのが、新規入院患者数の増加です。そこで、着任後に、東京都、千葉県や埼玉県の医師会に出向き、ごあいさつをさせていただきました。これまで当院の病院長としてはこのような活動はあまりしてこなかったかもしれません。しかし、この活動が、新規の入院患者さんのご紹介につながっていくと思います。 あいさつに伺う中で、「初診の際すぐには受けてくれない」「患者さんを紹介するのにハードルがある」という声をいただきました。すぐに、初診の受付と入院の病床運用のワーキンググループを設置し、改善に取り組んでいます。 ―診療や研究で力を入れていきたいことは。  一つは臓器移植です。肝移植、腎移植、肺移植、心臓移植と、2018年度は年間70件を実施しています。東日本には移植施設が少ないため、当院が果たすべき役割は大きい。移植を希望する方も増えており、この分野の必要性はますます高まると考えています。 課題はマンパワーでしょう。移植手術は予定できるものではありません。常に移植を実施できる体制を整備することが、東大病院のミッションの一つだと考えています。 また、全国に11カ所あるがんゲノム医療中核拠点病院としても認定されています。これまでは研究がベースでしたが、「がん遺伝子パネル検査」が2019年に保険適用となり、これまでの研究を、いかに臨床や診療につなげていくかが、課題になってきています。 2017年に設置された「ゲノム診療部」では、全科横断的な遺伝医療の実施を目的としています。今後は、患者をサポートする認定遺伝カウンセラーなど、人材を確保し、さらなる充実を図っていきます。 ―「患者さんファースト」を掲げられています。  大学病院の最重要ミッションである診療、教育、研究という3本の柱に取り組む方針はこれまで通り変わりありません。 ただ、長年臨床に携わってきた経験から、より良い医療人を育成する教育も、研究も、すべては患者さんにつながっていると考えています。診療、教育、研究すべてにおいて「患者さんファースト」は共通しているコンセプトだと思います。世界に誇る最高水準の医療を目指すためには、まず「患者さんファースト」を実践しなければならないと考えています。 東京大学医学部附属病院東京都文京区本郷7―3―1☎03―3815―5411(代表)https://www.h.u-tokyo.ac.jp/

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段階的に改革を推進5つの「高める」を実現する

医療法人社団総生会菅 泰博 理事長(すが・やすひろ)2000年東京医科大学卒業、2008年同大学院医学研究科修了。同外科学第一講座(現:呼吸器外科・甲状腺外科)、神奈川県立がんセンター、国際医療福祉大学三田病院などを経て、2012年医療法人社団総生会麻生総合病院病院長、2014年から現職。  理事長となって6年。麻生総合病院の病院長に就いてからは8年となった。段階を追って、着実に法人に変化をもたらしてきたリーダーは、今、「人事制度改革」という大きな仕事に着手しようとしている。 ―これまでの取り組みを。  麻生総合病院の病院長に就任した時、「5つの『高める』」を、法人の目標として掲げました。五つとは、「法人の社会的価値」「経営の透明性」「コンプライアンス(法令遵守)の意識」「公平性」「職員のロイヤリティ」。最初に着手したのが「経営の透明性」です。 まず病院内の情報を可能な限り職員と共有することから開始。安全対策、出張手続きなどのマニュアル類や就業規則、労使協定などをすべてデータ化し、院内の端末から閲覧可能に。属人化していた業務の減少にもつながっています。 次に共有したのが、患者さんの情報。電子カルテの構成を変更し、それぞれの患者さんのカルテに、「カンファレンス」という項目を設けました。病棟機能に対応した入院期限、その患者さんに関する話し合いの内容、それぞれの職種の視点で気づいたことなどを、患者さんに関わるさまざまな診療科・職種の人が掲示板のように書き込んでいきます。 一人の患者さんの治療方針を、一職種だけの視点で判断すると、誤った方向に導かれてしまうこともあります。情報共有には、それを防ぐ効果もあります。 また、共有した情報をもとに、それぞれの職種がインフォームドコンセントを実施することで、患者さんやご家族に病院として一体感ある説明ができているとも感じています。 情報共有はコンプライアンスにおいても重要です。ルールを共有・明示することで、根拠を持って問題点を指摘できる。「ハラスメントは許さない」ということも常々職員に伝えており、正規職員にはハラスメント研修の受講を指示。9割ほどが研修を終えています。 また、退職者に対する面談を直属の上司、他部署の管理職と2段階で実施。その報告を受けることで、「真の退職理由」を把握することも心掛けています。本当の理由を知ることで、離職率を下げるための効果的な対策が検討できると思っています。 ―現在、注力されていることは。  まさに今、取り組んでいるのが「公平性を高める」ことです。個人病院だったころの名残で、いまだ不統一な面がある賃金制度などに着手しようとしているところ。目標としているのは、働き方改革でも言われている「同一労働同一賃金」です。 一般的に医療・介護業界の人件費は増加傾向であり、一方で、次の設備投資も考えなければならない。診療報酬改定の動向を注視していても、今後、経営的に右肩上がりでいけるほど甘くはないと感じています。 そこで、この4月、人事制度改革プロジェクトを発足させます。人事考課の評価項目に、求める職員像10項目を盛り込み、賞与に反映させることはできないか。若手を含め、頑張れば昇給できる仕組みを実現したい。そんなことを考え、検討を重ねています。 職員には苦笑いされることもあるのですが(笑)、ラグビーW杯日本代表チームのスローガンにあやかって、法人の2020年の目標は「ONE総生会への意識改革」。 救急医療と整形外科を強化する麻生総合病院、運動器疾患だけでなく脳血管疾患の患者受け入れを充実させる麻生リハビリ総合病院。さらには訪問看護ステーションや介護付き有料老人ホームなど、法人内にはさまざまな機能を持った施設があります。 リアルタイムなベッドの空き状況、月ごとの平均在院日数、その日の予定入退院、稼働率目標など、法人全体の動きも各施設設置の端末で見ることができます。人事制度改革の実現で、それぞれの職員の希望するキャリアや家庭環境などに応じた異動も円滑になるでしょう。職員が生き生きと働き続けることができる法人を目指していきたいと思っています。 医療法人社団総生会神奈川県川崎市麻生区上麻生6―25―1☎044―987―2522(代表)https://www.souseikai.net/

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「医療はインフラ」 より良い地域医療の実現へ

社会福祉法人恩賜財団 済生会支部神奈川県済生会横浜市東部病院三角 隆彦 院長(みすみ・たかひこ)1981年慶應義塾大学医学部卒業。平塚市民病院、済生会宇都宮病院、済生会横浜市東部病院副院長・心臓血管外科部長などを経て、2011年から現職。慶應義塾大学医学部客員教授兼任。  高度急性期医療、重症外傷、最先端のがん治療、災害時の医療に貢献する済生会横浜市東部病院。その根底にあるのは、現状に満足しない姿勢だ。「医療とはインフラである」と語る三角隆彦院長に、横浜市東部地域におけるこれからの医療体制について聞いた。 ─院長就任から10年目になります。  開院と同時に副院長に就任し、この病院と共に13年間、歩んできました。院長に就任した2011年は、病院の体制が整い始めた頃。以降、病院の柱である高度医療、救急医療、そして「常に一歩先の医療」の実現に取り組んできました。 がん治療では、手術支援ロボット「ダビンチ」、腫瘍にピンポイントで照射できる放射線治療装置「サイバーナイフ」を導入。心臓弁膜症治療では、経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)を導入し、確実に実績を積み重ねています。 救急・災害医療では、県内外で発生した災害に対応するための訓練や研修を経た「神奈川DMAT指定病院」の指定を2011年に受けました。 2014年からは、24時間365日重症外傷救急搬送を受け入れる「横浜市重症外傷センター」としての役割も担っています。 ─現在の取り組みについて教えてください。  高度な医療機器の導入に当たっては、現場の医師からの「このような医療を提供したい」という声が元になっています。 導入した医療技術をしっかりと生かしていくには、資金だけでなく、医療者の教育も欠かせません。技術習得のための医師の海外留学をサポート。TAVIの導入の際には、循環器内科医を1年間オランダへ、計2人派遣しました。重症外傷に対する高度な救急医療を学ぶために、救急科専門医が米国に留学。その時の経験が、「重症外傷センター」の設立につながっています。 より高度な医療、先進的な医療を、横浜市東部地域で提供できる病院へと発展できたのは、ある程度の規模があり、教育に投資できる余裕があったからです。病院経営を取り巻く状況は年々厳しくなってきています。今後も同じように取り組めるよう、考えていく必要があります。 ─地域における役割は。  当院は急性期病院であるため、患者さんはいずれ回復期や慢性期の病院へ転院、あるいは、在宅に戻ります。ところが、横浜市は全体的に病床が不足しており、転院できない患者さんも少なくありません。 地域包括ケア病床も、まだ十分ではなく、地域全体の医療・介護体制の調整が、急務だと考えています。回復期リハビリ病床、慢性期病床は、周辺地域に少しずつ整備されてきていますが、横浜市東部地域ではまだ不足しているのが現状。東部地域全体で考えていくべき課題でしょう。 私は「医療はインフラ」だと考えています。例えば、鶴見区を中心とした双方向の情報ネットワークシステム「サルビアねっと」では、地域の病院、クリニック、薬局、介護施設をつなげています。ここでは、参加の同意を得られた住民の方の電子カルテや受診履歴、過去の薬の処方歴、アレルギーなどの情報共有を行っています 地域の病院や介護施設などがしっかりと連携し、患者さんの経過に応じた医療や福祉が提供されて、初めて安心して生活できると思います。 「健全な病院経営」が叫ばれていますが、決められたルールの中では、なかなか難しい。その中で当院がこの地域で担うべき役割は何なのか、私ができることは何なのか。横浜市では医療機関がお互いに切磋琢磨(せっさたくま)し、質の高い医療を提供してきました。これからは地域とさらに協力し、より良い仕組みづくりに努めていきたいと思います。 社会福祉法人恩賜財団 済生会支部 神奈川県済生会横浜市東部病院横浜市鶴見区下末吉3─6─1☎045─576─3000(代表)https://www.tobu.saiseikai.or.jp/

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