発展する町の期待にもっと応えられる病院に
都心まで鉄道で約30分。利便性の高いコンパクトシティを形成し、子育て環境の充実などを進める鎌ケ谷市は、8月に人口が11万人を突破。住みよい町としての魅力を高めている。市の医療を支える鎌ケ谷総合病院は地域のニーズに応えるとともに、訪日外国人向けサービスの充実など、新たな取り組みにも積極的だ。
―どのような経緯で開院したのですか。
公立病院がない鎌ケ谷市は、その機能を担うことができる医療機関の開設を望んでいました。救急医療を強みとしている徳洲会グループであることなどを理由に「鎌ケ谷総合病院」の建設が決定。2007年9月にオープンし、患者さんの受け入れを開始しました。
段階的に診療科の充実を図るなど、職員が一丸となってより良い病院づくりに努め、開設3年目には満床が続くようになりました。昨年、緩和ケア病床、回復期リハビリテーション病床を開設。きめ細かな地域のニーズに応えられるよう努めています。
また、2011年、病院の6階を入所、7階を通所として併設した介護老人保健施設「しんかま」の100床も、空きがほぼない状況です。自宅への復帰を目指す方をリハビリなどで支え、受診が必要な場合はすぐに鎌ケ谷総合病院と連携して対応します。
―がん医療を強みの一つとしています。
患者さんの多くは、がんを「誰もがなり得る病気」として捉えるようになってきたと感じています。だからこそ、できるだけ住み慣れた地域の中でいい治療を受け、生活を続けていきたい。そんな要望が高まっているようです。
当院が開設時から強く意識している合言葉は「がん難民を出さない」。検査、手術、抗がん剤、放射線治療、「がんと診断されたときから始まる」緩和ケアと、がん医療をトータルに提供できる体制を整備してきました。
全19床で構成する緩和ケア病棟は最上階の9階にあります。晴れた日には「スカイラウンジ」から富士山やスカイツリーを望むことができます。
緩和ケア病棟の開設当初は私が病棟責任者を務めていたこともあって、「自分が患者だったら、どんな病棟なら落ち着いて過ごせるだろうか」と想像しながら、スタッフのさまざまな意見を取り入れて雰囲気づくりを進めていきました。
専用キッチンや談話室なども備えており、患者さんとご家族がプライベートな時間を過ごせるよう配慮しています。
―今後の動きを教えてください。
救急医療、小児救急医療、障がい者歯科外来、女性外来の開設。当院が鎌ケ谷市の医療の中心を担っていく上で、地域で特に診療機能の維持が求められている領域があります。
現状、小児科医の不足によって小児救急は午前9時から午後10時までの受け入れとしているなど、まだ整備が必要な部分があります。引き続き医師の確保に努めたいと思います。
今年9月に「JМIP(外国人患者受入れ医療機関認証制度)」を受審しました。当院は鉄道で成田空港から30分、羽田空港から60分ほどの距離。近年、日本の医療サービスを目的に来日する外国人は増加傾向で、当院にもお越しになります。
JМIPを取得し訪日外国人が安心して利用できる治療環境を整備するだけでなく、人間ドックや各種がん検診など、健康管理センターのメニューもアピールしたいと考えています。院内の案内看板などの多言語化も進めています。
また、海外の医療者との国際交流にも力を入れていきます。今秋、カンボジアの医師、看護師、薬剤師が当院で研修する予定です。
私たちの医療が「決まりきったもの」にならないよう、組織がもっと成長するために、積極的に新しい刺激や仕組みを取り入れていきたいと思います。
社会医療法人社団 木下会鎌ケ谷総合病院
千葉県鎌ケ谷市初富929-6
TEL:047-498-8111(代表)
http://www.kamagaya-hp.jp/