働きながら父親の介護をした経験を持つワーク・ライフ・バランスコンサルタント、渥美由喜氏(内閣府地域働き方改革支援チーム委員)が9 月下旬、福岡市内で介護従事者や一般市民向けのイベントで「仕事と介護、育児の両立について」をテーマに講演。
「ワーク・ライフ・バランスの向上は幸せになるための道しるべ。そのためには介護や育児から逃げずに家族が協力して取り組むことが必要だ」と述べた。
また育児や介護によって離職する人を減らすために企業や事業所がすべき取り組みとして、働く人一人ひとりの多様性を認め個性を組織で生かす概念「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」を紹介。企業は育児や介護をしながら仕事に取り組む社員の生活を支援し、仕事面ではやる気が出るように鼓舞してほしいとした。
「目先の業績向上などに目を奪われるとD&Iは後回しになる」と指摘した渥美氏。「地道に続けることで、従業員一人ひとりの良さが引き出され、組織に対する個人の貢献度が高まって強い企業体質になる」と語った。
渥美氏は近年、介護離職が増えていることに対し「介護の平均負担額は月7万円程度。介護保険をフル活用して就労を継続してほしい」とアドバイスした。
118人が聴講。メモを取るなど、熱心に耳を傾けていた。