2019 年に新病院が開院 「恕の心」で円滑なチーム医療を
◆4月に院長就任
3月末までは末永裕之小牧市病院事業管理者が院長を兼任していましたが、4月から専任となり、私が院長に就任しました。
2019年に新病院が完成する予定で、今年の秋から基礎工事を開始する計画です。隣の土地に新病棟を建てたのちに今の病院を壊して駐車場にしますので、イメージ図(右下写真)のような姿になるのは2021年以降でしょう。
当院は住宅地の中にあり、周辺道路の幅がそれほど広くないので、工事期間中は住民の方にご迷惑をおかけします。また、この土地は近くに名古屋空港があるので高さ制限があります。限られた面積で高層化もできないという制約が多い中でも工夫を凝らした設計にしました。
現在の建物は、1981(昭和56)年以降の新耐震基準を満たしています。しかし、先日の熊本地震では震度7の地震が2回続き、耐震基準を満たしていても損壊する建物が出ました。
この地域では30年前から南海トラフ地震が起こると言われ続けています。災害が起こっても継続的に医療を提供するため、新病院は最も信頼性のある免震構造にしました。
今の病院は築30年。5期に渡り増改築を繰り返しているので動線が複雑で、まるで迷路のようです。患者さんにはご迷惑をおかけしているので、まずは動線を整理します。また、現在の病室は7人部屋などもあり、患者さんのニーズに応えきれていない状況です。
新病院は最大でも4人部屋にし、個室率も現在の20%から40%にする予定です。療養環境を改善し、患者さんに優しく、さらには高次医療にも対応できるような病院にして、尾張北部地域の基幹病院としての役割を果たしていきたいと考えています。
◆先端医療に対応
医療機器の進歩で機械が大型化していますので手術室を拡大し、スムーズに対応できる体制を整えていかなければなりません。
現在、外来の化学療法室は15床ですが、だんだん手狭になってきています。新病院は、化学療法室を30床にします。
放射線治療の機械は1台から2台に増やし、より多くの患者さんが治療を受けられるようになります。またPET―CTも導入する予定です。
◆現場に赴き、自らの目で判断したい
院長になって3カ月。以前より臨床の現場にかかわる時間が減っています。時間の許す限り現場に足を運び、生の声を聞きたいと思っています。やはり現場から離れてしまうと不安なのです。何かトラブルがあった時には現場に赴き、自分の目で見て判断しないといけません。
院長室のドアは普段から開け放っており、職員が気軽に相談に来やすい雰囲気づくりを心掛けています。
◆密接なコミュニケーションを
今後、ますます高齢者が増え、合併症を抱える患者さんも増えてくるでしょう。合併症の対応にチーム医療は不可欠です。当院は病院理念に「恕(じょ)の心」を掲げています。これは末永前院長が常々言ってきたことで、思いやる心、許す心などを表す言葉です。
私は昨年までの2年間、副院長として院内の医療安全を担当していました。病院内では日々さまざまなトラブルが起こります。それを精査していくと職員間のコミュニケーション不足によるトラブルが目立ちました。
恕の心を患者さんに対してだけではなく、職員同士も持とうと考え、病院の標語に掲げました。これからは職員同士がお互い恕の心で接することで、より気持ちよく仕事ができるような環境づくりをしていきます。
新病院が開院するとハード面が充実します。その時にソフト面もハードに負けないように職員の意識も改革していかなければならないと考えています。病院に期待し、モチベーションが高まっていると思いますし、求人の応募数も増えてきています。これが契機となりマンパワーが増えるきっかけになればいいですね。
小牧市民病院
愛知県小牧市常普請1丁目20番
☎0568・76・4131(代表)
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