マンパワーを集結し、新病院への道筋を
川西市の急性期医療を担う中核病院。2022年には市立川西病院と合併し、川西市立総合医療センター(仮称)として再スタートする。変革期を迎えた病院運営を担うべく院長に就任して半年余り。経過と展望を聞いた。
―就任後、特に注力してきたことは。
当院の責務は第一に、急性期医療をしっかり全うすること。その核が救急です。以前は各科で救急外来を担当していましたが、2年前から救急専門医を迎え、現在は2人体制で受け入れ。夜間は院外から当直の先生に来てもらって対応してきました。
昨年の救急受け入れ件数は2194件。市内の要請の4分の1ほどです。不応需率は15〜16%だったのですが、これを10%以下に減らすことを目標に掲げました。まずは現場に足を運び、各医師と話をすることから始め、医局会でも稼働率や重症度、在院日数など現状と目標値について議論しました。
結果、5月以降は6〜8%程度にまで低下。現場の意識の変化が数字に表れてきました。今後もさらに応需率を上げていきたいと思っています。
そのためには、救急科専門医と各科のドクターがいかにうまく連携できるかが肝心です。課題を一つずつ、地道に解決していくしかないと思っています。
―4年後、新病院が立ち上がります。
市立川西病院と合併し、約400床の総合医療センターとなります。ベッド数は2病院の合計より約150床の減。となると、目指すべきは、より急性期に特化した、いわゆる高度急性期医療ということになる。それに対応できる体制を、この4年間でつくっていかなければなりません。
来年4月からは、母体である医療法人協和会が市立川西病院の指定管理者となります。情報交換しながら、一番いい形で開院できるよう計画を煮詰めていくつもりです。高度急性期を担うのに最も重要なのはマンパワー。当院の職員はやや年齢層が高いので、いかに若い人材を集めるかがカギ。大学医局と調整を進めているところです。
建設予定地は、ここから500mほど北側にあるキセラ地区。完成すれば川西市のシンボル的な存在になるでしょう。市立川西病院は北に7kmほど離れていますので、その跡地には診療所を整備する計画です。
われわれには、川西市民の医療は市内の病院で完結したいという願いがあります。今も救急要請の4分の1は市外に出ていますので、新病院では可能な限り受け入れていきたいですね。
さらに、阪神北圏域全体を見る必要があるでしょう。圏内にある市立伊丹病院にも統合を含めた再編案が持ち上がっていますし、互いに補完し合えればと思います。
―統合に向けた体制づくり、人材育成に関しては。
教育にはより力を入れていきます。千里にある法人の研修センターでは、看護師だけでなく全職種を対象に研修を実施。年間計画に基づいてプログラムを用意し、興味・レベルに応じて参加してもらっています。
さらに今後は、医師の研修や評価システムにも力を入れていくことになるでしょう。これまで学会参加などの機会はあったものの、医師個人の技量に大きく左右される一面があったのも事実。今後は、スキルアップのための環境も整えます。
自分を向上させられる、頑張った分だけきちんと評価してもらえる、しっかり働きつつオンオフの切り替えができる。そんな、医師にとっても魅力ある病院にしていかなければと思います。
開院に向けて課題は山積みですし、周囲の協力なくては成し遂げられないことばかりです。ワンマンにならないよう、現場の声を拾い上げながら一歩ずつ進んでいくつもりです。
医療法人協和会 協立病院
兵庫県川西市中央町16-5
TEL:072-758-1131(代表)
http://www.kyowakai.com/kr/kr.htm