4月1日に新病院が開院 急性期から在宅までシームレスな医療を
今月1日、土庄中央病院、内海病院が統合し、小豆島中央病院が開院した。
初代院長に就任した佐藤清人氏に統合の経緯や今後の取り組みなどを聞いた。
ー統合の経緯を聞かせてください。
全国のへき地や島しょ部の病院は、どこも頭を悩ませていると思いますが、ここ小豆島においても医師不足は深刻な問題でした。
特に救急対応や当直業務をする人員が不足していたため、一人ひとりの業務量が増大し、次第に疲弊して辞めていく。そして残された人間は、さらに負担が重くなるという負の連鎖に陥っていました。
小豆島の土庄町には土庄中央病院、小豆島町には内海病院と、2つの公立病院がありました。それぞれ365日24時間の救急に対応していましたが、それぞれ負の連鎖でそれが困難となってきました。そこで両者を統合すれば乗り切れるのではという機運が高まり、統合が決定したのです。
開院に至るまで、両町、両町議会をはじめ、香川大学、岡山大学、自治医科大学、香川県医師会、香川県など多くの関係者のご支援とご協力をいただきながら事業を進めてきました。
小豆島中央病院の開院は、小豆医療圏域の中核病院として、地域住民への質の高い医療を将来にわたり提供することが目的です。
これまで土庄中央病院や内海病院が培ってきた、医療、保健、福祉、介護など関係施設との連携を一層強化し、地域包括ケアの中核として、地域住民の健康・安全・安心な暮らしを創出する役割を果たし、全国に先駆けた先進モデルとして、その存在価値を示していきたいと考えています。
統合するに当たり、頭を悩ませたのが病院の立地です。内海病院は土庄中央病院に比べると建物も新しく、ベッド数は196床ということで、新病院を建設せずに内海病院の建物をそのまま使えば良いのではとの意見も多く出ました。
しかし、それだと土庄町から遠く、不便です。そこで、両町のほぼ中間に位置するこの場所に新病院を建設することに決まりました。
ー新病院の特徴は。
一般病床185床、療養病床40床、感染症病床4床、結核病床5床の計234床。標榜診療科13科でスタートしました。常勤医師数は、現在24人、7月からは25人体制となります。
病院のスタッフは、約330人で、診療部、看護部、薬剤部、臨床技術部、事務部、企画情報室、診療支援室の5部2室の組織体制で運営していきます。
新病院では専門的な医療に過度に特化することなく、プライマリ・ケアを主体とした、地域に密着した総合的な医療を提供していきます。
また、離島における公的病院として、救急医療体制を強化し、島外への患者搬送の減少を図るほか、周産期医療、小児医療、人工透析、結核、感染症医療などの政策的医療を提供します。
小豆島では開業医が激減、かつ高齢化してきているので、中核病院でありながらも、かかりつけ医の役割も担わなければなりません。また当院は療養病床も備えているので、慢性期の患者さんの受け皿にもならなければなりません。
外来の診察室と検査部門は1階に集約していますが、産婦人科だけは病棟も外来も4階に設置し、入院も外来も一元的に管理できるようにしています。
産婦人科ではLDRルームを3部屋設置しました。ここでは陣痛(Labor)から、分娩(Delivery)、産後の回復(Recovery)までを同じ部屋で過ごせます。従来は陣痛が始まったら病室に入り、その後、分娩室に移り、お産が終わったら、へとへとの状態で病室に帰ってもらっていました。今後は妊産婦さんにとって心身の負担が少ないのではないかと考えています。
基本理念は「地域のみなさんに寄り添う病院として期待され、親しまれ、信頼される地域の中核病院をめざします」です。「ゆりかごから、墓場まで」ではありませんが、急性期から慢性期、在宅まで、シームレスな医療を提供するのが、われわれの使命です。
―今後の抱負を聞かせてください。
平成の大合併でも2つの町は1つになりませんでしたが、医療に関しては小豆島が1つにならなければなりません。
先月行われた選抜高等学校野球大会に小豆島高校が出場し、島はとても盛り上がり、住民のみなさんがひとつにまとまりました。
私たちも職員一丸となって島民のみなさまに包括的かつ、良質な医療を提供しなければならないと考えています。