国立大学法人 高知大学 脇口 宏 学長

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社会を幸福にする人材を育てたい

1971岡山大学医学部卒業 1978岡山大学医学部附属病院小児科助手 1979高知医科大学医学部助手 1981高知医科大学附属病院講師 1989高知医科大学医学部助教授2001高知医科大学医学部教授 2003高知大学医学部教授 2004国立大学法人高知大学医学部教授 2008国立大学法人高知大学医学部長兼務 2012国立大学法人高知大学学長就任

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―医学部教授を経て、学長に就任されて2期目、これまでを振り返って。

 現在の高知大学は、2003年に、高知大学と高知医科大学が統合してできた大学です。

 大学全体の運営に関わり始めると、それぞれの学部の学生教育に対する考え方、研究に対する考え方などの違いに気付きました。

 医学部においても、2004年に大学が法人化されますと、国の考え方も変化し、附属病院の収益が重視され、研究より臨床に力を入れる方針になり、研究に割く時間が抑制されてくるという問題も起こってきました。また同年の新たな新医師臨床研修制度によって、現場ではさまざまな混乱もあり、大学で研究をすることは、あまり価値はないのではといった風潮も研修医の間に広がっていました。このような実状を目の当たりにし、大学を何とかしたいという思いで、さまざまな改革に取り組んできました。最も重要かつ喫緊の課題が「教育改革」です。教員の研究は社会のニーズに合っているのか、学生の能力は相対的に評価されているかなど、課題はいくつもありました。

 また、大学の特色・個性を打ち出すことも大事だと考えました。まず、目を付けたのは海に関する研究です。本学の海洋に関する研究は学部を越えて多岐にわたっていましたが、教育・研究組織を一キャンパスに集約することで、情報を共有し、より強化することができると考えました。そのためには、組織改革も喫緊の課題となりました。

 なかでも、地球科学を研究する本学「海洋コア総合研究センター」は、2007年に、統合国際深海掘削計画(2013年10月〜「国際深海科学掘削計画」へ移行)という世界的なプロジェクトにおけるコア(円筒状に海底の地層を切り取ったもの)保管施設として本格的に活動を開始しました。この役割を持つ施設は、世界でもアメリカ、ドイツそして高知の3カ所しかありません。

 また、四国沖には次世代燃料と期待されるメタンハイドレート(メタンガスが凍ったもの)が分布していることも分かっており、本学独自の研究が期待されます。

―昨年度は地域協働学部を新設されました。

 地域協働学部立ち上げの計画を初めて聞いた時、この学部の教育を実現できれば、現代の大学教育に欠けているものがすべて網羅できるのではないかと感じました。

 小児科医として40年以上、子どもの成長に関わってきましたが、現代社会では、子どもの能力を引き出し、育てる場がほとんどないように思います。家庭では子どもに役割を与えていないため、子ども自身の存在意義がわからない。学校教育では、他人と差を付けないような教育のため、本人たちは、他人と違うことを極端に嫌って、個性を伸ばせない。

 一方、地域協働学部のカリキュラムは、座学と地域実習がほぼ半分ずつです。高知県が抱える、地域社会、産業分野、企業などの問題を地域の方と協力して明らかにし、その解決方法を地域の方に提案し、ともに解決しようという学部です。ですから、課題発見・解決能力、説得力、交渉力、といった自分の考えを持ち、それを分かりやすく表現する力が何より必要です。

―「教育」の目的は一体何でしょうか。

 私は、社会人として幸福に生きる能力を与えることではないかと考えます。それでは「高等教育」の目的とはなんでしょうか。個人に加え、社会をも幸福にする力を持たせることだと考えます。

―今後の取り組みは。

 4年前の学長就任時に考えていたことの8割は達成できたと思います。地域に貢献する大学として、国立大学の中でも高い評価をいただきました。地元企業との共同研究なども多数手がけて相互理解も進展しているためか、地域の方にも評価をいただいています。

 県内への定着を目的に就職率を上げることにも力を入れており、県内高等教育機関全体で、2019年度には、2014年度と比して10%アップの36%程度の学生を地元企業に就職させる計画です。

 また、研究は、大学の存在意義そのものといってもよく、研究力を落としてはなりません。このため、2009年に「先端医療学推進センター」を設立し、本学の研究拠点として、まず医学部が最先端医療の研究に取り組んでいます。

 同センターでの研究11は、正規のカリキュラムとして新たに単位認定することで、大学としても、医学生が研究に取り組むことへの正当な根拠を与えました。おかげさまで、とても成果を上げており、毎年、複数の学生が、医師の専門学会で学会賞をいただくこともできております。

 また、この10年間のインパクトの高い論文数の分析によると、本学は、中四国では広島大学、岡山大学についで3位となっています。今後は、総合大学として、哲学を含む優れた教養を身に付けるなど、育成する人材像をより明確にするために、この2年間で、6学部の共通教育を見直したいと考えています。

 国は、研修医制度を含め、東京中心の政策を進めてきましたが、さまざまな形で、そのひずみが現れています。本学のこれからの役割は、地元に若者を定着させ、地域住民が幸せを感じられるように、地域を活性化する教育・研究を推進することです。


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