公益社団法人 地域医療振興協会 伊豆今井浜病院 小田和弘 病院長
新病棟建設
来年4月に新病棟がオープンします。従来の4人部屋中心の60床では患者さんの受け入れに不具合が生じることが多かったため、賀茂医療圏で余分となった病床のうち100床を新病棟で受け入れました。50床は回復期リハビリテーションにする計画で、同じ病院の中だけで医療を完結させることを目指します。
病院は地域のニーズに沿って機能を高めていく必要があります。この地域のニーズとしては急性期医療の充実がまず第一にありますが、高齢化が進んだために療養的な機能も求められています。これからは、とくに脳卒中についてのリハビリ機能が重要になってくるでしょう。
現在、この地域で脳卒中のリハビリに通う方や重篤な急性疾患の患者さんは天城峠を越えて行かなければなりません。この「天城越え」をしなくてすむような医療を実現したいというのが、21年前に当院に来た当初からの願いであり決意でもあります。
来年、新病棟には回復期リハの病床を用意しますので、ある程度は理想に近づくことができるのではないでしょうか。あとは、さらに高齢化が進むでしょうから包括ケア的な機能が必要になるでしょうね。
在宅医療の推進
国の方針でもある在宅医療の充実にむけて、昨年、伊豆今井浜病院在宅医療推進協議会を設置しました。24時間対応の在宅医療提供体制を構築するため、協議会は連携と機能の補完の場となります。参加しているのは、医師や福祉、介護の関係者、歯科医師や薬剤師などで、多職種連携は今後非常に重要になります。
人口減少と高齢化が進むなかで、国も「協議会を設置して一体となって医療と福祉を守る」という計画を出しています。今後はどこの地域でも同じような試みが進んでいくのではないでしょうか。
ここは高齢化率40%を超えた、ある意味では先進地域ですので、この地域でうまくいけば参考になるようなことがあるでしょう。まだ始まったばかりで完成した体制ではありませんが、当地域の取り組みがモデルケースになってくれるとうれしいですね。
後進の医師にむけて
研修医制度が変わって、都会の有名私立病院が研修先として人気です。しかし、専門医制度が始まると専門医指導者が充実している大学への回帰現象が始まるでしょう。
当院は準公的病院という位置付けをいただき、自治医大の卒業生を派遣してもらいました。月に1回程度、車で1時間かけて私と外科の副院長が巡回診療に行っていますが、そういう活動が認められたのだと思います。
地域の第一線で行う医療の醍醐味(だいごみ)は、なんといっても地域とのつながりを実感できることです。また、この地域は自然が豊かで食事もおいしい。温泉も出ますし(笑)、ぜひ、当院においでください。