〈いのち〉を受け止める町へ

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ケアタウンそして市民ホスピスへ

 超高齢社会、多死時代を迎える今、患者、障害者、その他社会的弱者といわれる人々が豊かに暮らし、尊厳をもったケアを受け、安心して最期を迎えることができる町作りが必要とされる。

 「人権運動であるホスピス運動は巷に進出してきた」と米沢慧氏は言う。第21回日本ホスピス・在宅ケア研究会全国大会(2013年7月6日)、第38回日本死の臨床研究会年次大会(2014年11月1日)の山崎章郎氏、二ノ坂保喜氏、米沢氏による講演の一部を紹介する。

 ケアタウン小平の取り組み=市民、在宅看取りを経験した遺族がひろめる地域ホスピス運動

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 「病院で死ぬということ」の著者、山崎章郎氏が地域ホスピス活動を人口約18万人の小平で始める際、医療・介護にかかわる人々が同じ屋根の下、顔の見える関係を保てる拠点作りを目ざした。

 2005年にオープンした「ケアタウン小平」には在宅療養支援診療所、訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、デイサービス、共同賃貸住宅等が配されている。

 その後、ケアタウン小平の在宅ホスピスケアにて看取りを経験した遺族が集い、遺族会は「ケアの木」と命名された。

 ケアタウン小平のボランテイア約80名の2〜3割は遺族である。地域で看取りを経験した人々が、今度は地域で「いのち」を受け止める活動を広めている。ケアタウン小平で開催されるフェスタは、地域住民と一緒に〈いのち〉を考える機会となる。山崎氏はケアタウン小平を「がんがあっても、認知症があっても、最後まで人権が守られ、尊厳と自律をもって暮らせることを保証するコミュニテイ」と表した。〈いのち〉を受けとめられる町の条件と考えられる。

 小さなたねの物語=ひかりちゃんが教えてくれた「豊かな生活」。いのちの姿が見える町づくり

 20年以上在宅ホスピスを実践している二ノ坂保喜医師は、2011年から重症児とその家族のレスパイトケアを目的に、地域生活ケアセンター「小さなたね」を運営している。

 「小さなたね」の開設は高度障害児・ひかりちゃんとの出会いがきっかけだ。二ノ坂氏は病院でも自宅でも大勢の多職種専門職が彼女の成長のために丁寧にかかわる様子を目にし、「ひかりちゃんの生活が豊かである」ことを知ったが、両親の介護疲労に対応できるレスパイト・サービスが少ないことが気がかりとなった。そのころ、地域に開かれたイギリスのこどもホスピスのことを知り、その「柔軟な発想力と実行力」「在宅の生活を補完する役割」はコミュニテイに「ケアの力」を育むきっかけ(拠点)になるのではないかと発想し、「小さなたね」が始まった。

 ひかりちゃんの父親は「重症児は『はだかのいのち』を持つ」と語る。障害児やその家族の日常生活は、生死が隣り合わせであることを意識せざるを得ない。デリケートな〈いのち〉をもつ障害児が生きられる社会では、どんな人でも生きることができるであろう。つまり、重症児は〈いのち〉のトップランナーであり、彼らの声なき声に耳を澄まし、小さな「いのち」を見つめることは〈いのち〉を受け止める町の創造につながると二ノ坂氏は語る。
(鐘ヶ江 寿美子)


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