福岡大学病院 病院長 田村和夫
新年あけましておめでとうございます。
過ぎ去った昨年のことは忘れ、今年の夢を語りたいと思います。まず、病院長としては、若手医師、メディカルスタッフが育ち、患者さんにとって適切な医療が行われ、みなさん元気になって自宅に帰られることが一番うれしいことです。当院のミッションは「あたたかい医療」です。これはいろんな意味を包含しています。医療ですから、狭い意味では疾病を持った患者さんの診療となりますが、広い意味で言えば、まず病気にならないようにする一次予防、病気になっても早期発見早期治療(二次予防)が治癒にはかかせません。年内には、「予防・抗加齢・再生医療センター」を開設し、近隣の住民の方の疾患予防について対応できる窓口としたいと思います。
次に、当院で研修している福岡大学医学部医学科・看護学科、薬学部の学生、他大学、専門学校で学んでいるリハビリテーション学科、栄養学科の学生が100%国家試験または資格試験にパスすることを祈念しています。医学科の当院の研修医マッチング率は2014年度は100%でしたが、最終的な研修医の充足率はそこまでいきません。とくに当医学科の卒業生の合格率が、福大病院の研修医の充足率に大きく影響しますので、6年生の最後の頑張りに期待しています。
私は、病院長に就任して1年1か月が過ぎ、本病院固有のいろんな問題が見えてきました。ハード面、ソフト面双方にいろんな、解決のできない問題がありますが、解決できる部分は、最終的には「個人の能力」「コミュニケーション・組織力」と「パッション」に依存します。毎日のように発生するインシデント、アクシデントをみていますと、これらのどこかに問題があります。1月には当院初の親睦会を開催し、多職種間の懇親を深めるとともに、お互いにもっとも良い仕事相手と考えている人を推薦してもらい、集計してグッドプラクティスパートナーを選んで表彰します。3月には、2014年1月から12月に発表された優れた研究や論文の口演と表彰を予定しています。これは、医師ばかりでなく、看護師、薬剤師、その他の医療技術職員(放射線技師、検査技師等)、それぞれ2名程度公平な審査のもと選びます。病院は人を相手にしているだけに、忙しいうえに時間的なけじめがつけにくく、なんとなく毎日が過ぎていきます。私はこの一年で進めてきたことの一つは、日常の診療に流されることなく、研究マインドで疑問を疑問として残すことなく解決に努力すること、EBMの推進とEBMのないものについては、エビデンスの創出をめざすことでした。
硬い話になりましたが、今年がみなさまにとって良い年になりますことを心よりお祈りします。