今回は漢方薬
5月16日、福大メディカルホールで、27回目の七隈緩和ケア研究会が開かれた。今回の主催は株式会社ツムラと福岡大学病院腫瘍センター症状緩和チーム。医師など35人の医療従事者が参加した。
今回のテーマは漢方薬で、座長は福岡大学医学部麻酔科学比嘉和夫教授。『痛みを含めた身体症状の緩和に漢方を』と題し、平田ペインクリニックの平田道彦院長が、腱鞘炎や帯状疱疹後疼痛、全身麻酔後の唾液腺障害、書痙などの症例に対し、どのように漢方薬を処方するかを説明した。また強盗に撃たれて大腿部に貫通銃創を負った患者の胸の圧迫感など、心理的因子が絡む痛みにも、機序は不明としながらも漢方薬が有効との例を示した。
平田院長は「それぞれの漢方方剤のイメージを持って応用すれば、単純な病名処方をはるかにしのぐ効果が期待できる。そのために詳細な観察が必要で、患者に何が起きているかを想像して把握することが重要」と述べた。質疑応答で廣田一紀同大麻酔科学部助教の、「処方をする際に薬を何度か試す場合があるが、切り替えの判断はどの程度でするか」の質問に、「頭痛で1か月様子を見ることはない。2週間、症状によって1週間見る。完全ではないが、少し良い場合は続ける。効かないなら、方向が間違っているか何かが足りない。だがCRPS(複合性局所疼痛症候群)に用いる薬など、長く飲まないと効果が出ないものもある。薬の特性は熟知すべき」と答えた。