第72回福岡大学病院がんセミナー

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理学療法士と言語療法士が術前術後リハビリの大切さを説明

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聴講者の質問に答える井手拓言語療法士(右)と井上雅史理学療法士。左は司会の田中俊裕臨床腫瘍学講師。

入院前の生活を早く取り戻すことが目的

 福岡大学病院腫瘍センターがん相談支援部門が主催するがんセミナーが、12月20日、福大メディカルホールで開かれた。ほぼ毎月行なっており、72回目。

 冒頭に臨床腫瘍学の田中俊裕講師が「リハビリを受けると癌の治療成績が良くなると論文などでも言われ始めている」と話し、理学療法士の井上雅史氏が術後のリハビリについて解説、言語療法士の井手拓氏は嚥下訓練を中心に話した。

 井上氏は術前術後リハビリの理由を、「安静によって生じる障害や合併症の予防、そして早期回復」とし、「最近では術前から取りかかるのが一般的」と語った。

 「手術後の傷口の痛みで大きな咳ができないため、肺に溜った痰が出しづらく、身体も動かしにくいため、さらに痰がたまるなど悪循環になり、肺炎や無気肺などの合併症を引き起こす。出来るだけ早く身体を動かした方がいい」。さらに「筋肉が弱くなるのも問題。身体が硬くなったり、骨が弱くなったり、腸の動きが弱くなって癒着も起こりやすくなり、床ずれやひどい立ちくらみなども起こる」と話した。

 それを防ぐため、手術に備えた準備運動として、①深呼吸の練習、②腹式呼吸の練習、③ストレッチング、④筋力トレーニング、持久力トレーニングなどを挙げた。

 手術後は、早ければ翌日からリハビリを始める場合もあるとして、最初は寝た状態で体を動かす↓ベッドから体を起こす↓足を下げた座位↓車椅子↓立位↓歩行の順で進め、「リハビリの目標は、安静によって生じる合併症を予防し、入院前の生活を、できるだけ早く取り戻すこと」、とまとめた。

 井手氏は、嚥下(えんげ)障害=誤嚥による誤嚥性肺炎発症の流れを説明し、嚥下機能低下の原因として、①脳梗塞で嚥下運動を行なう筋肉が悪くなる、②放射線治療の副作用で粘膜炎、唾液の減少、③化学療法の副作用による粘膜炎や味覚障害、④手術で摂食嚥下に関与する器官の形態や機能の変化などがあると話した。そしてセミナー参加者に、30秒間に何回唾液を飲み込むことが出来るかのテストをさせ、「3回以上が正常、それ以下だと嚥下の力が弱くなっているとの疑いがある」とした。

 嚥下障害の症状として、むせたり、咳が出たり、食欲が低下して痩せて来たり、喉に食物残留感があったりするとし、その対応として、のど越しが良く誤嚥しにくいものを食べ、一口の量を調整する、誤嚥しにくい姿勢として体を30度〜60度後方に傾ける、口の中を清潔にして肺炎予防、などを紹介した。そして会場に向け、食事前の首や肩の体操、口唇や舌の運動、口の中のアイスマッサージなどを紹介した。

 聴講者から、食べたあとすぐ横になるのはよくないかと質問があり、井手氏は、「夜寝ているあいだに逆流して気管に入ることがよくある。2、3時間は体を起こしていた方がいい」と答えた。

 次回73回目は2月28日午後1時から同会場で、臨床心理士の篠田真理子氏が、「緩和ケア=心の問題について考える」をテーマに講演する。入場自由で参加無料。


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