九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

人と情報がつながる「世界に開かれた大学」へ

関西医科大学友田 幸一 学長(ともだ・こういち)1977年関西医科大学医学部卒業。金沢医科大学大学院医学研究科感覚機能病態学教授、関西医科大学医学部耳鼻咽喉科学(現:耳鼻咽喉科・頭頸部外科学)講座教授などを経て、2015年から現職。  大阪と京都の中間、京阪電鉄「枚方市」駅前にキャンパスを構え、2018年には看護学部、大学院を新設。英国の教育専門誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション(THE)」による2020年世界大学ランキングでは、国内の私立大学で4位、関西の私立大学では1位と、存在感に注目が集まっている。 ―2028年の創立100周年に向けて。  まずは、2021年4月にリハビリテーション学部の開設を目指しています。本学は先端医療だけでなく、四つあるすべての病院で介護福祉も手掛けています。「出生から介護まで」を実践する医療系複合大学として、リハビリの現場を支える高度な知識と専門的技術を持つ人材を育成します。 国際交流事業も、より活性化します。その拠点になるよう国際交流施設や留学生の居室、患者さんご家族のための宿泊設備などを備えたタワー棟を、2021年に竣工予定です。本学のシンボルとなるでしょう。 同時に、主に発展途上国からの留学生を受け入れる「国際大学院」を開校予定です。4年間の授業料は免除、生活費も支援します。学んだ知識を母国で生かすとともに、われわれも交流を続けながら社会発展に寄与できればと思います。 仮称ですが、「最先端医学研究所」の設立計画も進んでいます。本学の特色を生かした研究テーマを掲げ、ナンバーワンではなくオンリーワンを目指す。まだ準備段階ですが、2~3年で具体化したいですね。 大学の機能拡張に伴い、内部体制の改革も必要でしょう。各部署で立案管理していた企画業務についてはデータを集約し、IRやURA(研究活動の企画・マネジメント)などを強化しつつ部門を整備します。 ―「THE世界大学ランキング」での評価は。  ランキングに入ることが目的ではなく、客観的指標で浮き彫りになる大学の良い点、弱点をしっかり分析することが重要です。調査はそのためのツールと捉えています。 今回、教育面の充実や論文の被引用率などを評価いただきましたが、いかに維持継続するかが肝心。高評価が刺激になって、全体のレベルアップにつながることを期待しています。 医科大学としての専門性を生かし、今後も研究力、教育力の充実に力を注いでいくつもりです。 ―今後は。  本学は女性の医学校として開学した歴史があります。伝統的に女性医師が多く、彼女たちが長く活躍できるよう支援することは、われわれの責務です。 その一環として、2020年4月に「オール女性医師キャリアセンター」を開設しました。女性医師の働きやすい環境づくり、リカレント教育の充実など、今のライフスタイルに合った対応策を、このセンターを拠点に取り組んでいきたいと思います。 関西医科大学グループとしての大規模な構想も考えています。各地の医師会には、本学を卒業した開業医が多く所属しており、世界を舞台に活躍している方も少なくありません。この人脈を生かし、連携を深めることはできないか。そこで実現したいのが「グローバル・コア・センター構想」です。インターネットで国や地域を結び、情報を集約するシステムを構築したいと考えています。 現在進行中の人的交流、経済社会活動、医工連携や海外との研究開発などのデータもすべて集めます。「このような情報・人を探している」「こんなプロジェクトを立ち上げたい」といったニーズに、スピーディーに応えるシステムです。 時間はかかっても、私が担うべき案件として少しずつ充実させていくつもりです。グローバルリーダーになれる医療人を育てるため、今後も名実ともに「世界に開かれた大学」を目指していきます。 関西医科大学大阪府枚方市新町2―5―1☎072―804―0101(代表)http://www.kmu.ac.jp/

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高知の医療に尽くす研究室に伝統と新風を

高知大学 医学部消化器内科学内田 一茂 教授(うちだ・かずしげ)1992年高知医科大学(現:高知大学医学部)卒業、2003年京都大学大学院医学研究科修了。天理よろづ相談所病院、米ペンシルバニア大学留学、関西医科大学内科学第三講座准教授などを経て、2019年8月から現職。  かつての高知医科大学(現:高知大学医学部)の卒業生である内田一茂教授。2019年8月、25年ぶりに戻ってきた。母校への思いと、消化器内科学講座での、今後の取り組みについて話を聞いた。 IgG4関連疾患研究一筋  久しぶりの母校へ  高知大学医学部の前身、高知医科大学の9期生にあたる。「2代目の山本泰猛教授、3代目の大西三朗教授がいらっしゃったこの部屋のいすに、まさか自分が座るとは思いもしませんでした」と感慨深く語る。 研修医を終え、天理よろづ相談所病院のシニアレジデントとして勤務。同院の内視鏡センター部長から京都大学へ異動した岡崎和一先生(現:関西医科大学内科学第三講座主任教授)を頼って、京都大学大学院へと進んだ。 京都大学ではヘリコバクター・ピロリの実験、胃炎の研究、そして自己免疫性膵炎のモデル動物作製などを研究。当時、世界的に貴重だった実験施設を求めて米国ペンシルバニア大学へも渡った。その後、岡崎先生の関西医科大学教授就任に伴い帰国。関西医科大学に勤務した。 専門は、難病に指定されているIgG4関連疾患の病変の一つである自己免疫性膵炎。岡崎先生とともに、以前はミクリッツ病と呼ばれ、シェーグレン症候群の亜型だと誤解されていたIgG4関連疾患を解明し、新しい疾患概念として確立することに貢献した。 岡崎先生から症例調査に取り組むようアドバイスされてから23年。「ずっとこればかりやってきた〝マニア〟です」と笑う。 肝臓研究の伝統継承 膵臓・消化管にも意欲  高知大学の消化器内科学講座は、肝臓研究で知られた教室だ。特に先代の西原利治教授のもとNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)の概念を確立し、抗エストロゲン剤により誘発されるNASHの治療法を発表し、評価が高い。 内田教授は、肝臓の伝統を継承しつつ、膵臓や消化管などもバランスよく診療・研究する教室運営を目指すという。 「肝臓治療の伝統を絶やしてはいけない。さらには、消化器領域で今後重要になる潰瘍性大腸炎やクローン病などのIBD(炎症性腸疾患)、自分の専門である膵臓疾患にも幅を広げていこうと考えています」 研究内容の拡大によって講座の魅力を増やし、学生や若手医師の入局を増やしたいとの考えも持っている。「昔は勧誘しなくても人が集まってきていましたが、昔と今とでは学生の気質も異なります」。講座内に新風を吹かせることで、人材の確保を目指す。 県内の医師たちと協力し第二の故郷に貢献したい  内田教授は千葉県出身。親が高知県出身で、毎年のように四万十市に帰省していた。高知県はゆかりの地。進学先を決める動機ともなった。 学生時代は地方の生活に戸惑いながらも、パワフルで魅力的な教授陣や先輩方、仲間たちに囲まれて研究者としての嗅覚を研ぎ澄ましていった。「定年まで十数年、自分のルーツであり青春を過ごした高知で、人の役に立ちたい。最後のご奉公です」と心境を語る。 超高齢化に伴う人口減、医療資源の偏在という高知県の課題について「超高齢社会のモデルケースとして、高知県に日本中が注目しています。研究者にはチャンスであり、やりがいがある」。さらに、「大学淘汰(とうた)の時代を乗り切るため、研究室の特色を強化して、高知大の価値を高めることにも貢献できれば」と考えている。 そのためには、県内の医師たちと協力し、共に問題解決に取り組む心づもりだ。「人脈を広げたいと思っています。何でも引き受けますので面識がなくても、どうぞ、ご相談ください」 高知大学 医学部消化器内科学高知県南国市岡豊町小蓮185―1 ☎️088─866―5811(代表)https://www.kochi-ms.ac.jp/html/gakubu/kochi1nai.html

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外科医を育てる 環境を育てる

関西医科大学外科学講座関本 貢嗣 主任教授(せきもと・みつぐ)1981年大阪大学医学部卒業。八尾市立病院、大阪大学大学院医学系研究科消化器外科、国立病院機構大阪医療センターなどを経て、2019年から現職。  大腸がんに対する腹腔鏡下手術の第一人者。腹腔鏡の黎明(れいめい)期から、その発展とともに歩んできた関本貢嗣主任教授。次代を担う外科医育成のために招聘(しょうへい)されて9カ月。今後の青写真をどう描くのか。 駆け出し時代 海外論文を手がかりに  医学生になったときから外科医志望。心臓血管外科か消化器外科か迷ったが、「当時の阪大消化器外科では、若いうちから術者になれた。その指導方法が決め手でしたね」と語る。 八尾市立病院勤務時代、腹腔鏡下手術に関する英語論文に目が留まった。海外で腹腔鏡手術が始まったのは1980年代後半。日本では1990年に帝京大学で初めて胆のう摘出術が行われたばかり。それが発表される前の出来事だった。 当時、博士号取得直後の駆け出しだったが、すぐに院長に直談判。手術機器メーカーの協力を取り付けて、1991年、人生初となる腹腔鏡下胆のう摘出術を行った。幸いトラブルなく成功。「振り返ると、この経験が人生のターニングポイントでしたね」 直後に異動した長吉総合病院でも機器を導入してもらって継続。次に移った大阪逓信病院では、初の腹腔鏡下大腸がん手術に挑んだ。「いろいろな条件がうまく重なってできた手術。手術説明のホワイトボードの写真は、今も手元に残しています」 当時、腹腔鏡下での大腸がん摘出は例がなく、書いた論文は即、ジャーナルに掲載。基礎研究での業績もあり、40歳を前に母校に助手として招かれたことが今につながっている。「周囲の協力を得て、たまたま早くから腹腔鏡発展の波に乗れた。運に恵まれたと思っています」 若手に執刀の機会を  教授として人材育成を担う立場となった今、若い人にできるだけ執刀のチャンスを与えている。「1000例の経験に1例足しても進歩につながりますが、10例の経験に次ぐ1例のほうが学べる内容は絶対に大きい。とにかく経験し、覚えていくことです」 自身がライフワークとする骨盤内臓全摘術などの超拡大手術は到底、一人で完遂できるものではない。助手が機能的に働いてこそ、高度な手術が可能になる。「先日1例終えたところ。やり遂げたことがメンバーの自信につながったと思います。徐々に広げていけたら」 外科医不足の一因には、一人前になるのに時間がかかりすぎる側面もあると話す。「学生や初期研修医が来たときに、彼らが身近に感じるような年代の若手が執刀するところを見せておきたい。ここで学びたいと思う魅力的なカリキュラム、研修制度を充実させます」 北河内医療圏のがん手術を担う  若手を指導する中堅の意識改革も大事だと話す。「指導者とはどうあるべきか。怒っているのか指導しているのか、あいまいになっていないか。指導時の言動を客観視してほしいと、何度も伝えています」。育てるのは後継者だけではなく、教室の環境そのものだと心にとどめている。 人員不足による業務負担を減らし、医局をさらに活性化するため、中途採用に向けても動いてきた。「この春から、数人決まりました。獲得には難儀しましたが、来てもらう価値はあると思っています」 大学のある北河内医療圏は、枚方市、寝屋川市、守口市などがあり、範囲が広く、かつ人口が多いエリア。「ここは、がんセンターの機能をそろえる施設。症例数が多く、大学病院ならではの仕事ができることは、やりがいにつながるのではないでしょうか。互いに刺激し合って成長していけたらと期待しています」 関西医科大学外科学講座大阪府枚方市新町2―5―1☎072―804―0101(代表) http://www3.kmu.ac.jp/surg/

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「子どものためなら何でもしよう」を実践

社会医療法人 真美会 中野こども病院荒木 敦院長(あらき・あつし)1985年関西医科大学医学部卒業。米アイオワ大学神経内科客員研究員、大阪府済生会野江病院小児科部長などを経て、2019年から現職。  小児科医の中野博光氏が1966年に開設した「中野こども病院」。全国でも数少ない民間の小児科専門病院だ。「子どものためなら何でもしよう」という理念を日々実践するため、新院長が進める新たな取り組みとは。 地域に根差す小児科  「病院のことは知っていましたが、着任して改めてその責任の重さを感じています」と表情を引き締める荒木敦院長。  大阪市東部に位置する旭区にある中野こども病院には、府内全域から患者が訪れる。閑静な住宅街の一角にあり、シックな外観の病院建物は周囲になじむ。旭区は地域の特産品や団体を「旭区ブランド」として毎年認定。今夏、同院もその一つに初めて選ばれた。「地域にとって自慢できる病院になってきたのかもしれません」と笑顔を見せる。  外来延べ患者数は年間約6万1000人。病床数79床に対し年間の入院患者数は約3千800人。365日24時間の小児救急を実施し、救急車の受け入れ台数は年間約2000台超。少子化社会の影響とは無縁の右肩上がりの実績だ。   小児科ならではのにぎやかな待合室。そこでは「保育士」と首に名札を掛けた女性が子どもたちに目を配る。今年4月から外来に保育士を配置する。  もともと病棟を中心に保育士19人を配置し、患児の世話を担当。保育士と看護師が仕事を分担することで、医療の質が上がったという。合わせて臨床心理士、栄養士など多職種の虐待防止チームも活動。入院中に親や子どものSOSに気付くこともあるようだ。  外来の保育士は「診察までの待ち時間に世話をしたり、親に声掛けをしたりして安心してもらう。経営的には厳しいかもしれませんが『子どものためなら何でもしよう』という理念からも必要でした」  敷地内では病児保育も実施。その需要は年々増加し、2018年は年間約2000人を超える利用があった。「おそらく国内の病児保育の施設でもかなり上位ではないでしょうか」 神経発達外来の患者が増加  荒木院長の専門は小児神経分野だ。院長になった現在も「神経発達外来」で小児神経専門医として臨床に当たる。小児神経専門医の数は少なく、同院の診療体制も、もっと充実させていく必要がある。  同外来では自閉スペクトラム症や注意欠如多動症といった発達の偏りである「神経発達症」が増加している。 これまで毎月50人前後だった患者数が、荒木院長の外来がスタートしてからは約300人に上る。  「神経発達症は子どもたち自身も困っていることが少なくない。周囲が早く気付き、不安のない環境をつくることが大事」だと言う。 働き方改革も考慮主治医チーム制導入  現在、常勤医が10人。小児科医が減少する中、研修先としても人気のようだ。「小児科の研修ができる所が少ないため、当院が受け入れ施設となっている側面もある」  小児科医は女性が多く、働き方改革も考慮して「主治医チーム制」を導入した。複数の主治医であれば、休みの取得も比較的柔軟に対応できる。また、若手医師の夜間勤務ではペアでベテラン医師が待機。夜間勤務の翌日は必ず休む体制も徹底する。  今後の課題については「医療的ケア児のトランジションの問題と医療の質向上への取り組み」と考えている。質向上のために、週1回の医局会やステップアップセミナーを始め、自らも講師として話をする。「中野こども病院の取り組みが全国に知られることで、小児科医療の質の向上に貢献できれば―」。挑戦する日々が続く。 社会医療法人 真美会 中野こども病院大阪市旭区新森4―13―17 ☎06―6952―4771https://nakano-kodomo.or.jp/

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新しく訪問看護と オーバーナイト透析をスタート

医療法人 回生会 宝塚病院 馬殿 正人 理事長・院長(ばでん・まさと)1975年関西医科大学卒業、同附属病院第2内科入局。2009年宝塚病院院長、2017年から現職。日本内科学会総合内科専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。  地域に必要な医療を―。その方針をもとに、循環器疾患や脳血管疾患といった急性期医療を中心に運営する宝塚病院。市内の救急搬送受け入れの多くを担っている。一方、高齢化を背景に医療を取り巻く社会環境も大きく変化するなか、新たな取り組みを模索する。 ―宝塚市内初の病院としてニーズの高い医療に対応。  1956年に開設、64年目を迎えています。市内初の病院でしたので、開設当初から救急の受け入れも多く、現在も市内の救急車の約3割、多い時には約4割を受け入れています。救急医療に対応していく中で私の専門でもある循環器疾患や脳血管疾患といった分野の診療が病院の特徴になっていきました。  もう一つの柱は透析医療です。市内に人工透析を実施する医療機関がほとんどなかったことから、地域にとって必要な医療を提供したいと考えました。  中でも当院に泊まり、夜間に透析をするオーバーナイト透析に力を入れています。透析治療を受けながらも、フルタイムで働き続けたいという若い患者さんに好評です。 ニーズに応えて9月からは従来の月曜、水曜、金曜に加えて、火曜、木曜、土曜と、日曜を除く週6日間治療を実施します。  仕事が終わってから来院し、それから治療がスタートしますので、職場を早退する必要もありませんし、眠っている間に終了します。治療としても、日中の透析よりも長い8時間をかけますので、血中の毒素がしっかりと除去できるというメリットもあります。透析患者さんの「働きたい」という希望に応えることも、社会の「働き方改革」に貢献しているかもしれません。 ―医師確保、定着のために実施していることは。  2次、3次救急に携わっているため、当直はハードな業務になります。その負担がなるべく重くならないように、当直医は翌日必ず休みを取得するようにしており、基本的には週休2日になっています。  医師の確保は病院を運営していく上で、基本的な前提。働き方を考える上で、職員とのコミュニケーションを大事にしながら環境を整備しています。  学会認定の研修施設にも選定されていますので、若手医師の教育は大切にしています。特に、「心臓しか診られません」「脳しか診られません」では、医師としての幅を狭くしてしまいます。  当院のような地域密着型の病院で対応できるよう、研修医の先生には、透析をはじめ一般的な呼吸器、消化器など分野にかかわらず多様な経験をしてもらいたいと考えています。マルチプレーヤーを育てることが、当院の大きな役割の一つだと考えています。  また、女性医師の増加に伴って、女性も働きやすい職場環境をつくることは、当然のことだと考えています。産休、育休の取得はもちろん、短時間勤務なども柔軟に取り入れています。幸い医師同士が互いに気遣いながら支え合う雰囲気もできています。 ―運営の課題は何でしょうか。  地域の高齢化が進んでおり、当院がどれだけ対応できるのかは課題です。家族がいる方はまだ良く、独居の方も決して少なくありません。  そのことを踏まえ、4年前には地域の要望に応えようと「すみれ訪問看護ステーション」をスタートさせました。現在約10人の看護師が地域で在宅の患者さんをサポートしています。  当院の急性期治療後の病院やクリニックとの連携も欠かせません。  また、在宅の患者さん、介護施設の職員の方に「万が一」の時のために、私自身に直接つながるという直通番号を示したカードを渡しています。「困った時には連絡をください」と声をかけて渡すようにしています顔を知ってもらうだけでも安心感につながるのではないでしょうか。 医療法人 回生会 宝塚病院兵庫県宝塚市野上2―1―2☎0797―71―3111(代表)http://www.takarazuka-hospital.com/

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性暴力被害者への支援力を地域で底上げしていく

ふじたみつえクリニック藤田 光恵 院長(ふじた・みつえ)1979年京都府立医科大学卒業。京都第一赤十字病院、九州大学医学部附属病院(現:九州大学病院)心療内科、関西医科大学心療内科学、社会医療法人西陣健康会堀川病院などを経て、2003年から現職。  心療内科を柱にした、ふじたみつえクリニックを2003年に開設。内科医の経験を生かし、体と心の両面からのアプローチで診療に当たる。2015年ごろからは、性暴力被害者のサポートにも取り組んでいる。 ―性暴力被害者のサポートに当たっています。  性犯罪、性暴力の被害者の支援を、各機関が連携しながら包括的に実施しようという狙いで、都道府県に最低1カ所「ワンストップ支援センター」を設置することが国の方針で決定されました。相談機能などをセンターに集約することで、被害者の負担をできるだけ少なくしながら、心身の回復への道筋を見つける狙いがあります。  京都府では2015年に、府が民間団体ウィメンズカウンセリング京都に運営を委託する形で京都性暴力被害者ワンストップ相談支援センター「京都SARA(サラ)」を設立。行政、医療機関、警察、弁護士会、民間団体などが連携しながら支援活動に取り組んでいます。  被害を受けた方の中で、医療的ケアが必要な場合は、京都SARAや警察などからの紹介で当クリニックを受診。被害を受けて3カ月以内での受診が多いのが、その特徴です。 ―性暴力被害者へのカウンセリングについては。  性暴力被害は、女性だけでなく男性やLGBTの方、子どもなども被害に遭う可能性があることを認識しておく必要があります。  また、性暴力の被害者の二次被害も課題です。性暴力の被害者が勇気を出して相談をしても「なぜ、そんなところに行ったの」「なぜアルコールを外で飲んだの」というようなまるで被害者を責めてしまう発言を家族や医療者がしてしまうこともあります。  性暴力の被害者は特に自責感情が強い。急性期の対応が不適切な場合、その後の回復にも影響を及ぼしかねません。  また、「加害者が知り合い」というケースが、7割から8割というデータも。知人を訴えにくいために、被害を明らかにするのが難しいという問題も少なくありません。  京都SARAができてから、急性期治療が必要な性暴力被害者の方が増加しています。逆に言えば、これまでは被害を受けても相談する場が分からなかったのかもしれません。ようやく明らかになってきた性暴力の被害は、氷山の一角ではないでしょうか。  当院でも被害を受けて数年後、数十年後にPTSDなどの症状で受診されるというケースがあります。そのような事態を少しでも避けるためにも早期の治療の重要性を感じています。  このためには、性暴力に対する地域の支援力の底上げをしていくことが重要だと考えています。  京都SARAのようなワンストップ支援センターと医療機関との連携はその一つ。医療者に対して、各地の支援センターがどのような活動をしているのか、情報を発信していくことが鍵になるのかもしれません。  また、急性期の被害患者に早期対応できる精神科、心療内科の施設を増やすことも課題です。特に若い世代の医師に性暴力被害者の診療を積極的に引き受けてくれるように働きかけたいと考えています。 ―京都SARAの立ち上げから関わられています。  さかのぼると、学生時代から社会的な問題に興味がありました。それらを解決したいという思いから医師を志し、当初は内科医として地域医療へ。患者さんと接するうちに体の症状と心の問題が密接に結びついていることに気付き、内科から心療内科に軸足を移すことになりました。  女性の患者さんの診療では、女性が社会的に置かれている立場など、社会的な問題にも目を向ける必要があります。京都SARAの活動は、これまでの経験がすべて生かされているように感じます。 ふじたみつえクリニック京都市中京区二条通寺町東入榎木町95―1 延寿堂第2ビル4階☎075―211―8466http://fujita-m-clinic.com/

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男性の悩みに向き合い解決策をともに見いだす

関西医科大学 腎泌尿器外科学講座 松田 公志 教授(まつだ・ただし)1978年京都大学医学部卒業。同附属病院泌尿器科、大阪赤十字病院、京都大学医学部附属病院泌尿器科外来医長などを経て、1995年から現職。  泌尿器外科における腹腔鏡手術に注力し、男性の不妊症、更年期障害も専門とする松田公志教授。開設当初はあまり知られていなかった男性更年期障害の専門外来も、今や多くのメディアに取り上げられ、患者が急増。今日も男性の悩みに応えている。 ―腹腔鏡手術を早期に始めた泌尿器科の一つです。  開始は1990年。まず精索静脈瘤(りゅう)の手術、翌1991年に腎摘除術、副腎摘除術を行いました。1990年代は「大きく切る」から「小さな傷で治す」への変革期。2000年には前立腺全摘術が始まり、適用はさらに広がりました。それに貢献する役割を教室が担い、非常に面白い時代を生きたと実感します。 日本内視鏡外科学会の技術認定制度の発足や運営にも携わりました。泌尿器科の認定医は現在1709人。日本泌尿器内視鏡学会員4000人強のうちの38%、泌尿器科専門医の23%強です。最終的な試験として定着したと思います。 その間、私たちの講座では、どうすれば技術を早く習得できるか、科学的に分析することを一つの研究テーマに取り組んできました。例えば、ダビンチ手術時の姿勢に関する研究では、熟練者と初心者を比較し、より効率的な動きを導き出しました。 今は、より体感的にトレーニングできるシステムの開発に取り組んでいます。これは、腹腔鏡でもダビンチでも利用可能。ビデオに映し出された熟練者の手元の映像に、自分の手を重ねて動かしながらトレーニングするものです。2年後くらいの完成を目指しています。 ―男性不妊症の取り組みは。  体外受精のない時代には、患者さんの閉塞した精管同士や精管と精巣上体をつなぐ、精路再建手術を数多く手掛けてきました。開通率は精管閉塞で90数%、精巣上体閉塞で約85%。4割が自然妊娠に至りました。 そのうち体外受精、顕微授精が始まり、精路再建手術はかなり減りました。しかし、負担の多い体外受精に比べてメリットは大きい。今でもいい治療法だと思います。 大きな進歩は、精子の凍結保存でしょう。特にがん治療前のAYA世代が利用できるよう、もっと広めていけたらと思います。当院には、泌尿器科と産婦人科による「生殖医療センター」があり、精子や卵の凍結保存や体外受精を行っています。がんセンターと協力して、AYA世代の支えになれたらいいですね。 ―男性更年期障害について。  男性不妊症外来で検査すると、男性ホルモンが非常に低い人がいます。そうした方に対して健康回復のため男性ホルモンを注射するのですが、ある患者さんが「モノクロの世界が天然色になった。輝いて見える」と。驚きましたね。それが男性更年期障害の治療を始めるきっかけとなり、2002年に専門外来を開設。以来1000人強を診てきました。  加齢により男性ホルモンの分泌が下がることでさまざまな症状が現れます。大きくは、①うつ的な症状、②筋力が弱る、汗をかく、眠れないといった体の症状、③勃起しにくい、性欲がないといった性機能の低下です。 三つの症状に当てはまる患者さんのうち、特に男性ホルモンが低い4割の方に注射。その5割強の患者さんに改善が見られました。男性ホルモンが有効でない場合には、うつ病など他の病気が考えられるので、その場合は心療内科などを勧めています。  患者さんの多くは50~60歳で、加齢とストレスに悩まされる年代です。「注射で元気が出ている半年間のうちに、生活を見直しましょう」といったアドバイスをしています。 一番大変な時期を乗り越えると、また元気になる人が多くいらっしゃいます。男性ホルモンの力で前向きな人生を過ごす。そのサポートを続けていきます。 関西医科大学 腎泌尿器外科学講座大阪府枚方市新町2―5―1☎072―804―0101(代表)http://www7.kmu.ac.jp/urology/

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第28回日本小児泌尿器科学会総会・学術集会 道を究める

 7月3日(水)~5日(金)、佐賀市で「第28回日本小児泌尿器科学会総会・学術集会」が開催される。九州での開催は、2005年の第14回以来の2回目。佐賀市では初めての実施となる。会長を務める佐賀大学医学部泌尿器科学講座教授の野口満氏に、3日間の見どころなどを聞いた。 知恵を集めて「究める糧」に  日本小児泌尿器科学会は、泌尿器科、小児科、小児外科が中心となり、さまざまな専門領域の協働によってさらなる発展を目指しています。 どのような世界にも共通することだと思いますが、発展を支えるのは「その道を究めたい」という熱意でしょう。そこで、今回のテーマを「道を究める」としました。小児泌尿器科領域の診療や研究に関わる、各分野の第一線で活躍されている方々から学ばせていただく。そして「先人の叡智」を、究めるための糧とする。 そのような思いから設定しました。ポスターもテーマに合わせたコンセプトで作製しました。佐賀に縁があり、芸術などの「道を究めている」方の協力を得て完成させたものです。 講演のキーワードは「脳」と「AI」  まず、エキスパートの方々が登壇する二つの招請講演。「小児における下部尿路機能の発達と障害」では、米ピッツバーグ大学泌尿器科の吉村直樹先生が講演。座長を東海大学医学部付属大磯病院泌尿器科の宮北英司先生が務められます。 脳機能の発達と膀胱機能の発達には、密接な関連があることが知られています。近年の研究成果により、そのメカニズムのさらに深い部分が明らかになりました。非常に興味深いお話が聞けると思います。 「患者顔貌による先天性形態異常症候群の診断補助システム」の演題でお話しいただくのは、長崎大学原爆後障害医療研究所人類遺伝学の三嶋博之先生です(座長:関西医科大学小児科・金子一成氏)。AIを活用した新たな医療技術が次々と生まれています。三嶋先生の講演では、AIを取り入れて進められている「患者の顔写真の情報に基づく診断技術」の「いま」を知ることができます。 また、シンポジウムの一つに「究めるための小児泌尿器科の基礎研究」を組み込みました。基礎研究の最新の動きに触れることができるプログラムを用意したことも、今回の特徴に数えられると思います。 乳幼児からAYA世代まで  小児泌尿器科領域の疾患に関心がある方に、ぜひお越しいただきたいと思っています。およそ150のプログラムは、特にファーストタッチの役割を担っている小児科の先生方に、きっと役立てていただけるのではないかと思います。 この「小児泌尿器科」という名称から、対象は「子どもだけに限られる」というイメージが強いかもしれませんが、長期的な視点をもつことも重要です。なぜなら疾患がある子どもたちは成長し、いずれ成人するからです。 そうした視点を踏まえて、乳幼児期からAYA世代と呼ばれる30歳前後までを見すえた対応のことなども発信します。若手の先生方にも、多くの参加を期待しています。「やはり小児泌尿器科は大切な領域だ」といった認識を高め、「とても興味深い分野」であることを伝えることができる3日間にしたいと思っています。 教育セミナーをはじめ、実践的な内容のプログラムなども用意しています。毎回、日本小児泌尿器科学会総会・学術集会では、興味深い内容が取り上げられます。新しい診断や医療技術の開発が進む中、今回も、多様な知識を提供できるのではないかと思っています。みなさんがこれらの情報を吸収し、その結果、より良い医療につながっていくことを願っています。 佐賀での開催は初めてですから、この機会に、県内の観光名所や文化なども楽しんでもらえたらうれしいですね。 学術集会の主なプログラム ●小児における下部尿路機能の発達と障害(招請講演)7月4日(木)午前10時35分~同11時25分吉村 直樹氏[米ピッツバーグ大学泌尿器科]●患者顔貌による先天性形態異常症候群の診断補助システム(招請講演)7月5日(金)午前11時25分~午後0時15分三嶋 博之氏[長崎大学原爆後障害医療研究所人類遺伝学]●究めるための小児泌尿器科の基礎研究(シンポジウム)7月4日(木)午前11時25分~午後0時15分西尾 英紀氏[名古屋市立大学小児泌尿器科]浅沼 宏氏[慶應義塾大学泌尿器科]辻 章志氏[関西医科大学小児科]岡和田 学氏[順天堂大学小児外科] 会期:7月3日(水)~5日(金)会場:ホテルニューオータニ佐賀 運営事務局:株式会社PLANNING FOREST☎06-6630-9002学会HP:http://jspu28.jp/ 佐賀大学医学部泌尿器科学講座 教授会長 野口 満 氏(のぐち・みつる)1987年長崎大学医学部卒業、同泌尿器科学教室入局。佐世保共済病院泌尿器科、長崎市立病院成人病センター、米ミシガン州立大学在外研究員などを経て、2015年から現職。

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