地域の幅広い医療ニーズに応える
1976年鹿児島大学医学部卒業。鹿児島大学医学部附属病院、鹿児島市医師会病院神経内科医長などを経て2014年から現職。
鹿児島市医師会病院は、開院以来、地域の中核病院として急性期医療を担ってきた。近年は地域の医療ニーズに応えるかたちで分野を広げており、地域医療に果たす役割はますます重要になっている。
―病院の沿革と現況について聞かせてください。
当院は鹿児島市医師会の開放型共同利用施設として1984年に開院しました。「患者様の意思と権利を尊重し、会員や地域の医療ニーズに応え、安全で質の高い医療を提供する」ことを基本理念に掲げ、鹿児島市医師会会員であるかかりつけ医との密接な連携のもとに鹿児島の急性期医療を担う病院として35周年を迎えます。
1998年には九州で初めての地域医療支援病院の認定を受け、これまで会員のアンケートなどを参考にしながら、医療ニーズの変化に応じた診療科・病棟の再編などを行ってきました。近年では2013年に緩和ケア病棟を新設し、地域連携をさらに進めていくために2014年には地域包括ケア病棟も開設。急性期から在宅医療支援まで、シームレスな医療を提供する環境を整えています。
当院の病床数は255床ですが、現在はHCU8床、急性期病棟123床、地域包括ケア病棟46床、緩和ケア病棟27床の合計204床で運用しています。急性期病棟のうち4階は女性専用病棟に特化し、看護師も全員女性を配置してアメニティの向上を図っています。会員および、地域の方々からのニーズに応えるために、柔軟な姿勢で診療科や病棟の再編を検討しています。
―近年は在宅療養支援まで行っているそうですね。
2016年6月から「在宅療養後方支援病院」として運用を開始し、登録された患者さんについては24時間365日体制で、必要に応じた入院の受け入れを行っています。
患者受け入れ体制については、まず在宅診療を行っている「かかりつけ医」が当院に患者さんの情報を事前登録。その後、3カ月ごとに、患者さんの診療情報などを提供していただいています。
患者さんの急変時にはまず急性期病棟で受け入れ、やむを得ず当院で入院治療が行えない場合は責任をもって入院可能な医療施設へと紹介します。当院での急性期治療を終えた後は、多くの場合、地域包括ケア病棟でリハビリなどを行い、最終的に在宅復帰できるように支援します。
登録患者数は毎年増加し、2018年12月現在で累計約1000人が登録されています。今後も増え続けることが予想されますので、さらに多くの職種や関係部署が連携して医療やケアを提供できる体制を整えていきたいと考えています。
限られた人員や設備の中で幅広く地域医療を支えていくためには、単独の医療機関では限界があります。当院では鹿児島大学医学部とその附属病院をはじめ、近隣の公立病院、民間医療機関、開業医と緊密に連携し、お互いに補完し合いながら、地域医療の一翼を担っていきたいと考えています。
―人材育成などの取り組みについては。
当院は、日本産科婦人科学会認定連携研修施設、日本消化器病学会認定施設などさまざまな指定を受け、医療技術の向上と優秀な医療人育成のために、各分野の専門医が指導にあたっています。
プライマリ・ケアが学べる臨床研修指定病院としても広く門戸を開いて独自の研修プログラムを実施しています。地元の鹿児島大学をはじめ、全国の大学医学部から幅広く研修医を受け入れています。また、メディカルスタッフも充実しており、13人の認定看護師など高い技能を持った職員が在籍しています。
今後も地域医療を担う病院として安全で質の高い医療を提供し、患者さんに満足していただけるよう職員一同まい進していきたいと思います。
鹿児島市医師会病院
鹿児島市鴨池新町7-1
TEL:099-254-1125(代表)
https://www.city.kagoshima.med.or.jp/