深めるつながり 急性期と在宅の懸け橋に
山口市にある済生会山口地域ケアセンター。慢性期医療を中心とする「済生会湯田温泉病院」のほか、特別養護老人ホーム、障害者支援施設など12施設を一体的に運営する。この4月、中村洋所長・湯田温泉病院院長が着任。急性期病院での経験をどう生かしていくのだろうか。
―着任して感じる済生会湯田温泉病院の強みは。
当院は済生会山口地域ケアセンターを構成する一つの施設です。センターには介護が必要な方、障害がある方など、さまざまな状態の方がいます。必然的に、当院の患者さんも幅広い年齢層、病態になる。一人ひとりにしっかりと向き合い、対応できる力を持っているというのが、強みの一つだと思います。
慢性期の治療に特化していて、142ある病床はすべて医療療養病床です。源泉が当院から1.5km離れた場所にあり、温泉を使った室内プールも大きな特徴。リハビリテーションなどに活用されています。
―急性期の済生会山口総合病院から赴任。戸惑いはなかったのでしょうか。
就任当初は慣れないことが多かったですね。そこで、まず、私が取り組んだことはスタッフとのコミュニケーションです。病院だけでなく、センター内のすべての施設に運営上の問題や改善点をヒアリングしに行きました。
トップが変わると意見を言いづらいこともある。こちらから声をかけることで、スタッフの信頼を得ていきたいと考えています。
今後は、自分の経験をもとに、新しい診療の柱やシステムを導入したいですね。
私の専門は放射線科です。当院には昨年の12月に新しくCT撮影装置が導入されました。クリニックなどからの精密検査の受け入れを進めたいと考えています。そのためには画像サーバーや結果報告書を作成するレポーティングシステムなどが必要ですので、整備を急ぎたいと思っています。
―済生会湯田温泉病院に、求められる役割は。
山口県の人口は年々減っている一方で、高齢化率は上昇。高齢者の多くは急性期の病院を退院してもすぐに日常生活に戻れるわけではありません。在宅または慢性期の病院との間をつなぐ役割が今後、担っていきたいと思っている部分です。
まずは当院の医療療養病床の一部を回復期の病床に変えることで、急性期の病院からの患者さんを受け入れられるようにしたいと考えています。回復期病床は、山口県の地域医療構想でも不足すると予測されています。地域のニーズは高いはずです。
済生会グループ内での連携も一層強めていきたいと思っています。山口総合病院を退院した患者さんを回復期の病床で受け入れ、当院でリハビリなどを施した後は、地域ケアセンター内の施設、または自宅へ移っていただく。障害者や高齢者、生活困窮者などすべての人にクオリティーの高い医療を提供する。そのためにも、IT化と連携の推進は、欠かせないと思っています。
社会福祉法人恩賜財団済生会支部 山口県済生会 済生会湯田温泉病院
山口市朝倉町4-55
TEL:083-932-3311(代表)
http://saiseikai-care-y.jp/facility/yuda_hospital