信念は"見捨てない"こと 世界に誇れる医療と介護を
「日本の医療、介護の質を世界中から手本にされるレベルに引き上げたい」。平成医療福祉グループの武久洋三代表は静かに情熱を燃やす。四国に始まり近畿、関東。医療施設を中心に介護施設や学校などを展開するグループの存在感は、各地で増している。
―成り立ちについて。
現在、26の病院とクリニックがあり、介護施設、看護師とセラピストの養成校なども合わせて76施設を展開しています。兵庫県、大阪府を中心に、グループ全体では8200床、およそ1万4000人の職員が働いています。
最初の一歩は1984年、徳島市に60床、職員20人で開設した病院(現在の博愛記念病院)でした。当時、市内には非常に多くの急性期病院がありましたが、高齢者をしっかりと診ることのできる医療機関は、ほとんどありませんでした。
私の専門領域は、老年医学やリハビリテーションです。「高齢者医療はこれからの時代に欠かせない」と確信していました。実際、オープンしてみると、病院のベッドはすぐに満床となりました。
当初から私の考えは一貫しています。急性期の治療を終えた患者さんを速やかに受け入れ、行き届いたリハビリによって早期の自宅復帰を実現すること。
今でこそ当たり前のことだと思われるかもしれませんが、1980年代には主流ではなかったのです。それでも「良質な慢性期医療で地域に貢献していく」という当院の姿勢は少しずつ周囲に理解され、患者さんやご家族、開業医の先生に信頼していただけるようになりました。
そうした中で、しばしば「経営難の病院を引き受けてもらえないか」「後継者が見つからない」といった相談を持ちかけられるようになりました。
―頼られていたのですね。
「絶対に見捨てない」という思いは、当グループに共通する理念です。
高齢者は、治療を終えてもさまざまな事情で自宅に戻ることが難しい方が少なくないのです。そんな方々に地域での行き場をつくろうと、当院の周辺に、特別養護老人ホーム、老人保健施設などを開設しました。
医療から介護まで多様な機能を備えることできめ細かなニーズに応え、「絶対に見捨てない」という理念を形にしていきました。
―活動は広域に。
2009年、横浜市に開設した特養をきっかけにして、関東での展開にも力を入れています。
人口が集中している東京は、慢性期医療や介護施設へのニーズが高まり続けています。ただし、地価や人件費がネックとなって、医療機関や介護施設の数が需要に追い付いていない。関東圏でも医療過疎の地域が発生しているのはそのためです。そのような地域で長く医療、介護を提供することこそ、私たちの役割ではないかと感じています。
2012年、二子玉川にグループの旗艦病院として「世田谷記念病院」を開設しました。急性期後の患者さんを支えてきた私たちの経験を、すべて注ぎ込んだ病院です。
高齢者の在宅生活を支援していくために、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟、医療療養病棟を整備。すべての病棟で積極的なリハビリテーションに取り組んでいます。
また、2013年に日立横浜病院を引き継ぎ、「平成横浜病院」として地域のかかりつけ医機能、救急医療などを担っています。
「慢性期医療に携わりたい」と、多くの医療者が当グループに集まってくれるようになりました。医療者は豊かな心と確かな技術が求められますから、教育をおろそかにすることはできません。グループ主催の学会、勉強会なども高いレベルを目指しています。
私たちの自己研さんは患者さんの利益に直結します。さらには超高齢社会への貢献という側面でも意味があることだと思うのです。
平成医療福祉グループ
徳島市勝占町惣田9(博愛記念病院内)
TEL:088-669-2166(代表)
http://hmw.gr.jp/