医療法人 一信会 大分整形外科病院 大田 秀樹 病院長

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脊椎領域すべてをカバー 精度をもっと上げていく

【おおた・ひでき】 1981 防衛医科大学校卒業 防衛医科大学校病院 1983 九州大学整形外科学教室 1984 門司鉄道病院(現:JR九州病院) 1985 九州大学病院 福岡市立こども病院 1988 大分赤十字病院 1989 総合せき損センター 2005 大分整形外科病院病院長

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―近年の傾向として感じることは。

 当院の年間の手術件数は1000例を超え、ここ数年の傾向として脊椎関連の手術が増加。600例を下回ることはありません。

 高齢になるほど神経が通る脊柱管の変形によって圧迫を起こす「脊柱管狭窄症」や、腰が前かがみに曲がってしまう「腰椎後弯症」などを発症しやすくなります。団塊の世代がまさに「かかりやすい年齢」に入っていますから、少なくともこれから先の十数年、手術を希望される方が増えていくでしょう。

 つい先日も80代の患者さんに背骨の矯正手術を実施しました。当院にお越しになる前にも他院にて複数回手術を受けており、脊柱再建が非常に難しい患者さんでした。難しいケースを受け入れる役割も、ますます求められていくのではないかと思います。

 脊椎の変形は痛みやしびれだけでなく、腹部の圧迫で摂食が困難になったり、排尿障害を引き起こしたり、筋力が衰えて歩行機能に影響を与えたりします。QOLの低下を招く上、腰の曲がりと寿命には関連があるとも指摘されています。

 当院では低侵襲手術にも力を注いでおり、国内初の脊椎内視鏡手術が実施されたのが1990年代とされていますが、ほぼ同時期に当院でも導入しました。

 腰椎椎間板ヘルニアには内視鏡を使用した低侵襲手術、頸椎椎間板ヘルニアに対しては顕微鏡を使用した手術。骨粗しょう症による圧迫骨折では骨セメントの注入など、整形外科専門病院としてあらゆる症例に対応できるのが強みです。

 手術の件数を重ねていくことも大事ですが、不可欠なのは一人一人の患者さんの話を丁寧に聞き、要望や心情を察知することだと思います。

 MRIなどの検査で、私たちはほとんどの症例で症状がこれからどう進行していくのか、手術が必要かどうかなどを判断できます。ただし、痛みを取り除いてほしいと思いながらも、すぐに手術を決断できる患者さんばかりではありません。

 特に高齢の患者さんは迷っている間に症状が悪化したり、体力が落ちてしまったりして、手術のハードルが上がってしまうことも少なくないのです。そうした場合は手術をお勧めするばかりでなく、薬やブロック療法を継続するなどさまざまな提案をしながら信頼関係の構築に努めます。

―やはりキーワードは高齢化でしょうか。

 大分県内各地の医療機関の依頼を受け、当院の医師たちが診療活動に取り組んでいます。

 私は毎月、国東半島を訪れています。大分市内とその他の地域で、高齢化や医療資源の現状に開きがあることを実感しますね。患者さんの中心は80代前半。交通手段がなかったり、連れて行ってくれるご家族がいなかったりして病院へ行くことができず、手術を望んでも受けることができない方がたくさんいます。

 整形外科の分野では近年、高齢者の脊柱変形が重要なテーマとして採り上げられています。例えば腰椎後弯症の手術は背骨を削り、金属のインプラントで矯正します。手術によって劇的な改善が期待できますが、変形の範囲が広ければ手術の侵襲も大きくなるため、どなたでも適応となるわけではありません。

 手術が可能な場合は体力を考慮して2回、3回と分けて実施することになります。患者さん本人が十分に理解し、モチベーションを保てるかどうかの見極めが必要です。

 術後も体をかがめてものを拾ったり、靴下を履いたりといった日常の動作がうまくできないことがあります。

 ですからご家族や周囲のサポート体制など、術後の患者さんを支える環境についてもしっかりヒアリングします。高齢者の脊椎疾患が増加していく中、手術の可・不可だけでなく「どこまで治療の必要があるか」をもっと議論していく必要があると考えます。

 啓発活動が進んでいる中でも、まだまだ骨折して初めて自分が骨粗しょう症だったことを知る方も少なくありません。薬物療法の選択肢も広がりましたので、早期に発見して治療に取り組めるよう、情報発信にも努めたいと思います。

 脊椎手術とともに人工関節手術の件数も上昇しています。関節リウマチについては薬物療法が進歩し、多くのケースで進行を抑えることができるようになりました。やはり目立つのは加齢に伴う変形性関節症です。

 膝や股関節の変形は患者さんによって進行度に幅があります。関節内注射やリハビリで効果がない患者さんには人工関節置換術を勧めています。

 人工関節は一度手術をすれば20年ほど、あるいはもっと長期にわたって問題なく使用できると考えられます。今後は自然な動作を可能にする可動域がより広いタイプも登場するでしょう。

―今後の治療はどのように変わるのでしょうか。

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 脊椎疾患の領域に関して、海外では人工椎間板など「可動性のあるインプラント」の臨床応用が広がっています。長らく日本では認可されていませんでしたが、使用成績を調査する目的で、一部の医療機関で治験が始まりました。

 脊椎に対する国内の主流はいまだ固定術。やはり人間本来の生理機能とは異なる治療のため、新たな痛みや生活の質を低下させる原因にもなり得るのです。最新の動向を知るためにも当院では職員の学会参加や発表、臨床研究などを奨励しています。新しい知識を継続的に吸収し、見直すべき点があれば改める。常に前進していくことが大事だと思います。

 高難度の脊髄髄内腫瘍なども、この分野で第一線にいる脳神経外科のドクターとのネットワークを駆使して治療に当たっています。また、患者さんを長期的にケアしてくれる回復期リハビリ病棟をもつ医療機関との連携も、近隣から遠方まで年々広がっています。役割分担を明確にすることで、それぞれの強みを生かしていきたいと思います。

 この3月、当院は設立30周年を迎えます。これまでと変わらず、すべての領域をカバーし、地域との連携を深め、一例一例の精度を高めていくことに集中します。

医療法人 一信会 大分整形外科病院
大分市岩田町1-1-41
TEL:097-552-5151
http://oitaseikei.jp/


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