医療法人 社団誠療会 成尾整形外科病院 院長 成尾 政一郎
成尾整形外科病院は、昭和52 年に脊椎外科を主体とする整形外科専門病院として開院し、地域に根差した治療を行っている。腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症の手術件数が九州でトップ、全国でも10 位以内だ。患者さんの侵襲を最小限にするためや、インプラントを使用した脊椎固定術の安全性を考慮するために、手術用ナビゲーションシステム等最新の医療設備を導入。さらにリハビリや看護体制の充実も図っている。 病院機能評価Ver.5 の認定、電子カルテ・オーダリングシステムの導入、DPC 対象病院など、ハード面・ソフト面共に充実している。
開院以来、整形外科の中でも特に脊椎をメインに治療しています。以前は県外からの入院患者さんが多かったのですが、現在は全体の3割ほどになりました。鹿児島、大分、宮崎、福岡県は筑後地区の患者さんが多いです。
昨年より脳性小児まひ、脳卒中などで問題となる運動機能障害や変形などの後遺症に対する機能改善を診療する医師が入職し、股関節脱臼・先天性内反足・斜頚診など他の病院ではあまりない筋肉の手術「OSSCS」整形外科的選択的痙性コントロール手術を行なっています。
―脊椎手術が多いですね。
開院当初は、脊椎外科を専門に診る病院がなく、九州各地から患者さんが来ていましたが、現在は他の病院でも診療を行なっているため、競争が激しくなりました。特に熊本は激戦区です。今後の方針としては、脊椎外科だけでなく、関節外科を強化し、さらに力をいれていくことが必要です。
―これから整形外科が果たす役割は。
高齢化にともない、ADLが落ちている人が増加しています。痛み、しびれから解放されるようお手伝いし、患者さんのQOLを向上させることが、整形外科の果たすべき役割だと思います。
高齢者は脊柱管狭窄症が多く、20代〜40代の人は、椎間板ヘルニアにかかる人が多いです。ヘルニアになる人の特徴は、体が硬い人が多く、職業はあまり関係がないですね。初期の症状は腰痛だけの人も多いので、ストレッチなどを行なうことも重要です。痛みがあったら我慢をせず、一度専門医に診てもらうことをおすすめします。
―脊柱管狭窄症の手術は低侵襲手術をしているそうですね。
できるだけ体に負担を与えないよう顕微鏡や内視鏡を用いた低侵襲手術を行なっております。
手術後は当院でしっかりリハビリをして、自宅での運動療法を指導し、自宅に帰ってもらう術後治療にも力を入れています。
ヘルニア、狭窄症も原則、保存治療を行なっていますが、経過が良くない患者さんに対してのみ手術を行なっています。
―空手道教室をしていると聞きました。
千唐流空手道、なるお空手道場を週1回、土曜日に当院のリハビリ室で行なっています。礼儀・礼節を重んじる空手を通じて、地域の青少年育成に少しでも貢献できれば
―職員に常々、言っていることはありますか。
とにかく患者さんの目線に立ち、すべての患者さんに笑顔で優しい看護を心がけるよう指導しています。それが医療の基本だと思っています。手術で治すことはもちろんですが、プラスアルファで接遇面の充実も大事です。口コミで患者さんが増えているのが当院の強みです。
―職員が明るくチームワークが良さそうです。
勉強会や親睦会などを全部門で協力して開催しております。院内で行なう「学研ナーシング」や院外での勉強会にも各部門が積極的に参加し、情報の共有を図っています。
職員に対して接遇面での勉強会も繰り返しやっています。職員間のコミュニケーションも向上し、笑顔も増し、患者さんに喜ばれることで職員の意識もさらに高くなっています。
年に一度、当院と大分、広島、岡山、富山の5つの整形外科病院で、毎年、医師、コメディカルのスタッフを集めた勉強会をしています。同程度の病床数を持つ病院で開催しており、大変刺激になります。
これから医師を目指す人は、技術だけでなく患者さんといかにコミュニケーションをとって信頼関係が構築できるかが大事だと思います。目を見て話し、触診をすると、患者さんも安心されます。
仕事を通じて信頼を得られるように、日々人格形成をしていくことが求められていると考えています。