生駒市立病院 遠藤 清 院長

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目指すのは先進医療都市生駒の実現

【えんどう・きよし】 1987 滋賀医科大学医学部卒業滋賀医科大学医学部附属病院第一外科入局 2009 大垣徳洲会病院院長 2012 阪奈中央病院院長 2017 生駒市立病院院長

 奈良県北西部に位置する生駒市。大阪府四条畷市や京都府京田辺市など他府と隣接し、大阪府のベッドタウンとしての顔も持つ。そんな生駒市で市民が安心して暮らせる町を作るために、生駒市立病院が取り組んでいることとは。

◎生駒市の救急医療体制

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 この地域の急性期医療を担っていた病院の一つ、市立生駒総合病院(196床)が、老朽化などを理由に2005年に閉院。

 それ以降、生駒市では2次救急医療を担う病院が不足し、約12万人いる市民の4割ほどは市外の病院を受診するようになりました。

 新病院の開設を求めて集まった2万2000人の署名と市民の声に応えるべく、当院が2015年に開院。

 一般病床203床、HCU(高度治療室)7床で稼働しており、24時間365日体制で、生駒市の救急要請の約3割を受け入れています。

 救急車応需率は2017年11月が87%、12月は91.8%と高い水準を維持。医師と診療科の整備が不十分であるため当院が目指す応需率100%には及びませんが、極力当院で受け入れるようにしています。

◎今年のテーマはコンプライアンス

 小さな子どもがいるなどの理由で病院に行けない患者は少なくありません。親の介護で家を空けることができず、受診が遅れて乳がんが進行した患者など、さまざまな理由で病院に行けない方をこれまでたくさん見てきました。

 当院では「いつでも誰でも来やすい病院」を目指し、今年のテーマを「しやすい」を意味する「コンプライアンス」にしました。

 その取り組みの一つとして、職員の子どもを預かる院内保育所の保育士らが、長時間の検査や外来手術を受ける患者の子どもの面倒を一時的に見ています。

 また徳洲会の理念「生命(いのち)だけは平等だ」という志で初診選定療養費はいただいていません。

 低侵襲治療や先進医療は病院として備えるべき機能だと思います。しかし、今、目指すのは生駒市民が求める医療に応えること。軽症だからと門前払いするのではなく、どんな医療にも最善を尽くすことが「いつでも誰でも来やすい病院」を作る要素だと考えています。

 病院の立ち上げのために動き、開院後もあらゆる場面で支援してくれている市民団体「NPO法人生駒の地域医療を育てる会」とは、開院後も定期的に話し合いの場を設けています。「市民病院」として地域に寄り添うために、市民の声に耳を傾け、病院運営に反映させるべく今後も努めていきます。

◎生駒市立病院としての使命

 目下の課題は「医師の確保」と「診療科の整備」です。常勤医を増やし、脳神経外科や心臓血管外科、耳鼻咽喉科などを開設して診療科を充実させて、提供できる医療の守備範囲を拡大することで、生駒市民に限らず広く患者の要望に応えていきたいと思います。

 市内の輪番病院以外では当院が唯一24時間の院内薬局体制、血液検査、CT・MRI・レントゲン撮影を実施しています。今後は日曜や祝日も通常診療や手術をするような診療体制を構築したいと考えています。

 医療体制の充実以外にも、この病院を「知ってもらう」ことが大事だと考え、インターネットを使えない方でも手に取って読むことができるツールとして広報誌を製作することにしました。今春の発刊を予定しており、今から非常に楽しみです。

 市民を対象にした「医療講演」を月に数回開催しています。当院の医師や医療スタッフが講師となって、毎回それぞれの専門分野について分かりやすく講義しています。

 問題は、院内で開催するため興味のある人しか来ないこと。当院をまったく知らない人にも広報するために、今後は積極的に外に出ていこうと考えています。

 私が大垣徳洲会病院(岐阜県)にいた時は、地元で開催されるお祭りでブースを持ち、AEDの使用方法と救急蘇生法に関する出張講座をしました。病院のことを知らない人もたくさん集まり、興味を持って聞いてくれたので、病院のことを広くアピールできたことに手応えを感じました。

 受け身でいるのではなく、たとえどんなに人が少ないところにでも行って、情報を発信していくことが大事であると考えています。

 現在、生駒市では当院を含めた五つの病院が急性期医療を担っています。それぞれに得意領域があり疾患に応じて各病院を受診できる一方で、どこを受診すればいいのか分からないという患者も存在します。

 当院を知ってもらうことで、どこを受診するか迷ったら「生駒市立病院に行こう」と思ってもらえる病院を作っていきたいと思います。

◎手術は「絵」で残す

 信仰する宗教上の理由で輸血できない患者の場合、術中に出血が増えたら中断することを前提に手術が行われます。

 出血させない、またいつでも中断できる手術ということで、通常の手術と進め方が異なることがあります。術前検査を自分の目で詳細にチェックし、手術の流れを確認し、手術に臨みます。

 このような非定形的な手術だけでなく、ある程度大きな手術の手術記録を、私は絵に描いて手術記録を残しています。

 手術記録を手描きで残すことで、改めて手術を検証することができ記憶に定着しやすい、手術風景を思い浮かべて描くためリアルな絵を残せるといったメリットがあります。

 「どんな患者も受け入れる」ことを信念に診療している私のもとにはさまざまな患者が訪れます。

 そのため絵による手術記録も婦人科腫瘍や血管疾患、腎臓、肝胆膵、消化器というように多岐に及びます。出血を抑えた手術法を確立し、信仰する宗教などの理由がある人だけでなく、一般の患者にも応用していきたいと考えています。

◎地域に開かれた病院作りを目指す

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 奈良県は中規模以上の私設病院数が人口に対して少なく、車で1時間ほど離れた地域から救急搬送されてくる患者も少なくありません。

 どんな患者も当院をはじめとしたこの地域で受け入れ、他府県に流出するのを防ぎ、地域完結型の医療を実現したいと考えています。そのために患者だけでなく、地域の開業医にとっても「患者を紹介しやすい病院」を目指します。

 地域の開業医の中には紹介した後の患者の様子を気に掛ける医師もいらっしゃいます。そこで、登録し、セキュリティーチェックを受ければいつでも、当院に来て紹介した患者の様子や、カルテ、検査結果に目を通すことができる仕組みを作りました。

 生駒市全体が一つの医療機関であるような地域医療体制の構築と医療内容の充実で「医療先進都市生駒」の実現を目指します。

生駒市立病院(指定管理者 医療法人徳洲会)
奈良県生駒市東生駒1-6-2
TEL:0743-72-1111(代表)
https://ikoma.tokushukai.or.jp/


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