公益財団法人 浅香山病院 太田 勝康 総院長

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人々、地域、社会のために

奈良県立畝傍(うねび)高校卒業 1976 大阪市立大学医学部卒業 1981 同大学院卒業 1982 同大第一内科助手 1987 米国・カリフォルニア州立大学サンディエゴ校メディカルセンターに文部省在外研究員として勤務 1992 大阪市立大学第一内科医局長 1993 浅香山病院内科部長 1997 同院副院長2008 同院一般科院長 2012 同院総院長

 聖徳太子(574ー622)が名付けたという由来のある浅香山。この地で100年近い歴史を持つ浅香山病院は、精神科病院として創設され、ここ20年は精神科医療にとどまらず一般診療にも力を注ぐ。新たな方針などについて太田勝康総院長に話を聞いた。

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―沿革や概要を。

 1922(大正11)年に「堺脳病院」として120床で開設、今年で94年を迎えます。創立者は精神科の髙橋清太郎医師。

 当時は、精神科への偏見も多くあるなかで、髙橋初代院長は「患者にはできるだけ良い環境で療養してもらいたい」という高い志を持って 病院創設に取り組まれたようです。

 高度成長期の1972(昭和47)年は、当院の病床数が一番大きくなった年で、1428床を擁していました。現在は精神科840床、一般診療科223床(HCU・急性期病棟のほか、回復期リハビリテーション病棟や緩和ケア病棟など)、合計1,063床を持つケアミックス型の総合病院となりました。精神科の病床数でみても全国でも有数の大きな規模になっています。

 2012年には、財団法人から公益財団法人に移行することができました。

 精神科の病院として、地元堺市のみならず、大阪府はもちろん、関西全域からも精神科の患者さんを受け入れている当院の役割が、地域社会への貢献が大きく、公益性があると認められたのだと思います。

―特徴は。

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同院のシンボルでもある白塔。1937(昭和12)年に建築された建物。教会建築を取り入れた様式で、堺市の登録有形文化財に指定されている

 精神科医療においては、早くから先進的な試みにも挑戦し、国内でも注目されてきました。

 現在は、超急性期の精神科入院治療を行う「精神科救急病棟(スーパー救急)」2病棟の運営のほか、急性期治療病棟、認知症治療病棟など専門的な機能を整備しています。

 近年、統合失調症やうつ病などの薬物治療はその進化が目ざましく、非常に短期間で効果が表れるようになりました。これまで治療に数年かかっていたものが数カ月で治るようなケースもあります。

 今年の6月からは地域移行機能強化病棟を設けました。1年以上入院している患者さんまたは入院が1年以上に及ぶ可能性がある患者さんに対し、退院後に地域で安定的に日常生活を送るための訓練や支援を集中的に実施します。また、スムーズに在宅に戻れるように主治医を含む多職種連携のもとでサポートしています。

 また、浅香山病院には、サテライトとして大阪市内に難波クリニックがありますので、都心部に住む患者さんが当院にわざわざ足を運ばなくとも、治療を受けることができます。

 メンタルヘルスケアセンター「フィオーレ」は、企業が対象で、対象企業従業員のメンタルヘルスを担当します。他にも、介護保健老人施設、介護老人福祉施設といった福祉施設があり、地域の高齢者を受け入れています。

 精神科の訪問看護を実施しているのも大きな特徴でしょう。退院後、在宅復帰をした精神科の患者さんの生活をサポートすることが目的です。もちろん、何かあれば当院に入院してもらうこともできます。

 一方 、精神科に入院している患者さんが、肺炎にかかったり、外科的な合併症が出たりした場合には、隣接する新病棟や精神科領域にある合併症病棟でいちはやく治療を行います。精神科医療ゾーンと一般診療をする建物は地下道でつながっており入院患者さんがスムーズに移動できます。

―新たな取り組みとして一般診療にも力を入れています。

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病院入口に建てられた碑。地元出身の詩人・安西冬衛から浅香山病院に贈 られた詩が刻まれる。安西は病院を「安息(やすらぎ)の丘」と表現した

 これまで、精神科医療の部分が比率的には高かったのですが、より公益性の高い総合病院を目指して転換を図っています。

 このため、2013年には救急や急性期治療の核となるメディカルタワー東館(第一期棟)を建設しました。HCU(高度治療室)8床を備えるなど急性期に対応する充実した機能を備えています。

 2015年にはメディカルタワー西館(第二期棟)が完成、ここは外来や慢性期病棟の機能を備えています。

 いずれも、初代院長が掲げた「患者により良い療養環境を」という精神を生かした病院づくりにこだわりました。

 例えば、屋外でリハビリができる「きぼうの広場」という屋上庭園を設けました。ここは回復期リハビリテーション病棟につなげてリハビリがしやすい環境になっています。

 緩和ケア病棟にも四季折々の花が楽しめる庭園があり、現在20床で運用しています。どの病棟においても入院中も季節を感じ、安息(やすらぎ)を感じられるような場を提供したいと考えています。

 緩和ケア病棟は現在は9割程度の稼働状況です。近隣の中核病院から紹介された患者さんが中心となっています。臨床心理士による心のケアに力を入れている点が当院の緩和ケアの特長で、その点も高く評価されているようです。また、今年1月には救急センター専用の出入り口も完成。救急車からの患者搬送もよりスムーズとなり、救急搬送による患者増につながっています。

 このように、救急・急性期から慢性期、そして緩和ケアまで幅広く対応できる機能を備え、今後ますます一般診療の充実を図りたいと考えています。

―職員に伝えているメッセージは。

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 医療はあくまでサービス産業の一つだということを常々伝えています。サービス産業は人を相手にする仕事ですから、一人ひとりを大切に対応しなければなりません。われわれ医療人であれば患者さんを大切にするということです。

 そのためには、患者さん目線を忘れてはいけません。当院には、「笑顔で(Smilingly)、安全に(Safety)、科学的に(Scientifically)」というSで始まる三つのモットーがありますので、それを心がけて患者さんに接しています。

 また、「人々のために、地域のために、社会のために、健康と幸せを追求し、信頼される病院を目指します。」という病院の理念は、私も含めて職員全員が名札の裏に大切に入れ、心に留めながら仕事をしています。

 もし、どのような行動をするのか悩んだり、困ったりするような場面があれば、「この患者さんが自分の身内であったら自分はどのように対応するだろうか」と考える。そんなことを常に意識して行動しなさいと伝えています。

公益財団法人 浅香山病院
大阪府堺市堺区今池町3丁3番16号
TEL:072-229-4882(代表)
http://www.asakayama.or.jp/


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