山陽小野田市民病院 山本 智久 院長

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独自性と情報収集で病院運営のかじを取る

【やまもと・ともひさ】 福岡県立鞍手高校卒業 1981山口大学医学部卒業 同麻酔科入局 1983 倉敷中央病院 1985 済生会下関総合病院 1993 山口大学医学部附属病院講師 1997 小野田市立病院(現:山陽小野田市民病院) 2015 山陽小野田市民病院院長

―2015年に新病院をオープンしました

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 老朽化が進んでいた旧病院の建て替え計画が持ち上がった2005年ごろ、「本当に市民病院が必要なのか」という議論が起こりました。

 車で10分弱のところに山口労災病院(313床)、20分ほどのところに山口大学医学部附属病 院(736床)という二つの急性期病院がある。215床の急性期病院である当院の「不必要論」が噴出したわけです。

 そんな中、存続と新築が決まった大きな理由は、当院がこの山陽小野田地区の救急患者の3分の1を受け入れていたことでした。

 こうして、2012年に着工し、2014年10月に開院。2015年4月には、グランドオープンしました。

―新病院の特徴は

 従来の公立病院にはないような建物を造りたいと考え「個室重視型の病院」を掲げました。旧病院は多くの部屋が1室6床。一人ひとりの空間が狭く、プライバシーも保てませんでした。

 新病院では療養空間の快適さを追求。個室を従来の2倍の73室に増やし、いわゆる大部屋も4床室に変更。1床当たり最低8平方メートルを確保しました。

 さらに太陽光や雨水の利用、高効率照明器具の導入、高断熱外壁の設置など環境や省エネに配慮した設計で、建築物の総合環境性能評価「Casbee」の最高ランクの認証も受けています。

 災害時にも医療が継続できるよう、耐震性が高い鉄骨造を採用。水害を考慮し地下室は造らず、受水槽は2階、エネルギー諸室は最上階の9階に配置しました。今、災害拠点病院の指定に向けた準備を進めているところです。

―診療面での方向性は。

 周囲の病院との「すみ分け」を進めています。

 その中で、透析センターがあるというのが当院の一つの特徴です。透析を受けている患者さんには、高血圧や心不全など重症な循環器疾患を合併している人も多くいます。当院には常勤の循環器内科医師が在籍しているため、重度の合併症がある人でも受け入れて透析ができます。

 二つ目は産婦人科です。常勤医が男女各2人。今年の7月からは4人体制になり、外来をしながら、緊急の帝王切開にも対応できる体制が整いました。

 2016年の分娩数は年間335件。安心して出産できる医療機関があるということは、少子化、過疎化を抑止する力の一つになるのではと思っています。

 私が担当するペインクリニックも特色と言えるでしょう。外来は1日平均25〜26人。入院は10人前後。患者の6割ほどが帯状疱疹後の神経痛を訴える方です。

 帯状疱疹の出現は、ワクチンの登場である程度抑えられるようになってきました。しかし、高齢者ほど帯状疱疹から神経痛に移行する確率は高まる。患者数はまだしばらく増加する見込みです。

―改善してきたことは。

 「患者サービス」という意識をつくることに、前院長も私も力を注いできました。

 そして、患者への細やかな心遣いやサービスの向上を目指し、接遇研修などを重ねてきました。院内には患者さんの満足度を上げるための戦略を練るチームが発足し、アメニティーの充実などに取り組みました。

 今は病院食にも特色を出せないかと検討を進めています。入院している患者さんにも、おいしいと感じてもらえる食事、季節が感じられるような食事を提供したい。いくつかの種類から食事を選択できるシステムなどを模索中です。

―課題だと考えていることを。

 大きな壁は医師の高齢化です。常勤医の平均年齢は50歳に手が届きそうです。

 ここは救急病院ですから当直があります。内規では、55歳以上は当直をしなくてもよいと定めていますが、それでは当直体制が維持できなくなりつつある。医師獲得の困難さもあり、頭が痛い、というのが正直なところです。

 しかし、当院は山大の附属病院から近いという利点があります。大学病院から非常勤医師に来ていただいたり、当院での診療と大学での研究を両立したり、柔軟な働き方を選択してもらうことが可能なのです。

 新病院建設前は大学病院に近いからこそ「不必要論」も出ましたが、逆にメリットもある。そのメリットを生かしたいと考えています。

 新病院建設と同時に院内保育所も開設しました。当院の職員の子どもだけでなく、山陽小野田市内の医療機関で働く人や入院患者さんのお子さんも預かっています。

 今、当院の常勤医27人のうち女性医師は8人。看護師にもその他の医療職にも女性が多数。女性抜きで病院を運営していくことは考えられない時代です。女性が退職する大きな原因となる出産、子育てをサポートすることは、職員の福利厚生だけでなく人材確保にもつながると考えています。

―今後の展望は。

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 国が在宅移行を推進しています。しかし私を含め、多くの人は家族を自宅で介護して看取るということに「慣れていない」。不安で自宅に戻れないという人も多くいると思うのです。

 そこで昨年9月、在宅療養後方支援病院として動き出しました。

 在宅療養中の患者さんはかかりつけ医の先生を通じて当院に登録。登録患者に異変が起き、当院の在宅療養担当医が「必要だ」と判断した場合にはいつでも入院を受け入れます。

 私と事務担当者が地域の在宅医を一人ひとり訪問して説明。現在、登録している患者数は10人ほどになります。これまでに2人を当院で看取りました。

 「何かあったら当院で引き受けます」と表明し、実行することで、患者さんや家族、在宅医の先生の不安を取り除きたい。登録患者数は今後、さらに増えてくると予想しています。

 新病院建設時には、将来を見越して施設整備。80列マルチスライスCT、血管造影装置などの医療機器も導入しました。

 また、広報面では、ホームページのリニューアルやラジオ出演、市民向けの健康講座開催など、さまざまなことに取り組んできました。

 目新しいことはないかもしれません。でも、私自身に優れた経営感覚があるわけではないと思っているからこそ、アンテ ナを張り巡らせて情報を収集し、当院でできそうなことに必死で取り組んできたつもりです。

 今後は、専門的なスキルを持った医師を招いて、周辺でされていない専門医療を提供するなど、ほかの医療機関との「すみ分け」を一層図っていきたい。

 今の施設や設備を生かしながら、職員の資格取得支援など、人材育成にも力を入れ、安全で良質な医療を追求したいと思っています。

山陽小野田市民病院
山口県山陽小野田市東高泊1863-1
TEL:0836-83-2355(代表)
https://sanyo-onoda-city-hosp.jp/


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