大阪医科大学附属病院 内山 和久 病院長

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「潤滑油」となって職員の個性を伸ばす

【うちやま・かずひさ】 1983 大阪医科大学卒業 1985 京都大学第2外科 1988 和歌山県立医科大学第2外科 2002 同准教授2004 UCLA Liver Transplantation Center留学 2011 大阪医科大学外科学講座一般・消化器外科教授 2014 大阪医科大学副病院長兼務 2016 大阪医科大学附属病院病院長

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◎出てくる杭は「どんどん育てる」

 2016年4月、病院長に就任しました。

 同年10月12日、当院が定期的に開催している「医療に係る安全管理のための職員研修」の第50回事例検討会で講演。内容は「大阪医科大学附属病院の現状とこれから」をテーマにしました。

 当院のガバナンスを確立する中で、私がどのような役割を果たしていきたいと考えているのか。それは「潤滑油」だと伝えました。

 あくまでも当院の中心は、ここで働く約1800人のスタッフです。職種にかかわらず自由に意見を述べ、アイデアを出し合ってほしい。

 それを見守り、育てることが私の仕事だと思うのです。間違った方向へ進んでしまったときだけ、軌道修正すればいい。

 その意味で、職員がのびのびと働くための「潤滑油として機能したい」と表現しました。

 2011年、一般・消化器外科の教授として大阪医科大学に赴任したときから、同様の教育方針を掲げてきました。

 手術が得意な人には徹底的に手術のスキルを高めてもらう。研究が向いている人には、思いきり研究に打ち込んでもらう。「出る杭(くい)は育てる」ことを徹底したのです。

 年間1000例弱だった当科の手術数は、現在1500余り。西日本エリアの大学病院でも上位の実績を維持するようになり、入局者の増加にもつながりました。

 この経験を踏まえて、病院の運営でもスタッフの個性を伸ばし、それぞれの強みを集めることが大事なのではないかと考えたのです。

 真に患者さんのことを考えた医療を実践しようと、職員の発案によるさまざまなプロジェクトが活発化しています。

 医療安全推進部は、年間活動テーマを設定。今年度は「傾聴のすすめ〜1分の傾聴から信頼と安全が生まれる〜」としています。

 「傾聴」が必要なのは医師と患者さんの間だけではありません。医療者間でも心がけるべきで、職種や職位の壁があってはならない。年間活動テーマとして明確な言葉にすることで、意識を共有しています。

 また、毎年、「医療事故防止標語」を募集。理事長賞、病院長賞などを選出するなど、職員の参加意識を高めています。

 インシデントレポートを積極的に提出した部門の表彰も実施しています。医療安全は、すみやかな情報開示と防止策の構築が鉄則。「報告する文化」の醸成に注力しています。

◎ツインタワーが大阪医科大学の象徴に

 ここ10年ほどの動きをみても、当院は地域医療から先端医療まで、多様な取り組みを進めてきました。

 2009年6月、JR高槻駅直結のビルに、人間ドック事業を中心に展開する「大阪医科大学健康科学クリニック」をオープン。

 2015年7月には、高槻市玉川新町に当院の附設医療施設として、ケアミックス型病院の「大阪医科大学三島南病院」が開院しました。

 昨年3月、当院の西側に中央手術棟が竣工(しゅんこう)しました。ハイブリッド手術室やダビンチを導入した手術室など20の手術室を備え、ICUは従来の8床から16 床に増床。

 2015年に9000件余りだった年間の手術件数は、2016年、およそ1万780件に伸びました。

 2018年6月、地下1階、地上3階の施設「関西BNCT医療研究センター」開設を予定しています。

 BNCT(Boron NeutronCapture Therapy) とは、次世代のがん治療法と言われる「ホウ素中性子捕捉療法」のことです。

 ホウ素はがん細胞に取り込まれるという特徴があります。

 がん患者さんにホウ素薬剤を投与して熱中性子線をあてると、ホウ素と中性子が核反応を起こし、放射線を発生させてがん細胞を死滅させます。ホウ素を取り込まない正常細胞にはほとんど影響がありません。

 つまり、がん細胞を「選択的に」破壊することができるのです。

 現在の適用は頭頸部がんと脳腫瘍。センターの開設により、適用の範囲拡大を目指します。

 今後の最大の事業は、新病棟の建設です。

 2019年4月から5号館を取り壊し、2020年に着工。2021年、北棟として12階建てのタワーが完成する計画です。

 北棟の完成後、隣接地に同じく12階建てのタワーである南棟を建設。ツインタワーで最先端の医療を提供する将来像を描いています。

 2017年度末、新名神高速道路の高槻〜神戸間が開通予定です。今秋、高槻〜川西間が一部開通すると言われています。

 これまで高槻市にはインターチェンジがありませんでした。今回の工事で高槻ジャンクションとインターチェンジが整備され、名神高速道路、新名神高速道路へのアクセス性が格段に高まります。

 当院が主にカバーする三島医療圏(高槻市、茨木市、摂津市、島本町)において、患者さんの流れが大きく変わることが予想されます。

 神戸医療圏、豊能医療圏、北河内医療圏、乙訓医療圏。これらの地域から新たにやってくる患者さんたちの期待、ニーズにも応えていくことになるでしょう。

 現在、当院は主に1次・2次救急を担当していますが、3次救急の体制整備も見すえています。

◎進化する外科医療の魅力を伝えていきたい

 医師臨床研修マッチングは、7年連続でフルマッチです。今年度も、55人の募集に対して3倍の希望者でした。

 卒業生が大学院に戻ってくる割合も高いので、研究活動も活発です。

 大阪医科大学のキャンパス内には、「ヒポクラテスの木」とも呼ばれるプラタナスが植えられています。

 日本医史学会理事長などを務められた新潟の整形外科医・蒲原宏先生が、ギリシャのコス島から持ち帰った種子を発芽させた中の1本です。

 「医学の祖」として知られるヒポクラテスに思いをはせ、原点に帰ることの大切さも知ってほしい。そう思い、昨年10月の講演でもこの木のことを紹介しました。

 私自身、有名な米国の医師、チャールズ・メイヨーが残した「医学は常に過渡期にある」という言葉を忘れないようにしています。近年は「外科離れ」が危惧されていますが、若い方に「進化し続ける外科医療」の魅力を伝えていきたいと考えています。

 2020年10月29日(木)〜31日(土)、大阪府立国際会議場で開かれる「第82回日本臨床外科学会」の会長を務めます。

 若い外科医の成長をサポートできる、今後の診療の基盤になる学会を目指します。特に、最先端の話題をしっかりとカバーすることで、外科医に興味を持ってもらうきっかけにもしたい。

 「この分野ではすごいことをやっているのだな」と感じてもらえるような、アトラクティブな3日間にできたらと思っています。

大阪医科大学附属病院
大阪府高槻市大学町2-7
TEL:072-683-1221(代表)
http://hospital.osaka-med.ac.jp/


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