大阪府済生会泉尾病院 唐川 正洋 総長兼院長

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地域に密着した医療・福祉を実践

【からかわ・まさひろ】 広島県立府中高校卒業 1975 関西医科大学卒業 関西医科大学内科研修医 1976 同第2内科入局 1982 同助手 関西医科大学附属男山病院出向 関西医科大学附属病院第2内科助手 1994 医学博士取得 関西医科大学附属病院講師(第2内科・心臓血管センター勤務) 1996 大阪府済生会泉尾病院循環器科医長 2001 同副院長 2007 同院長 2009 泉尾医療福祉センター総長代行兼任 2010 同総長兼任

 大阪府済生会泉尾病院の前身である泉尾診療所は1945年12月に開院。1988年に現在の地に新築移転した。

 地域の中核病院の役割を担う同院の唐川正洋総長兼院長に今後の展望を聞いた。

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◎地域完結型の医療

 明治時代、ここ大正区には大阪紡績会社(現:東洋紡)がありました。同社の存在もあり、大阪は日本一の紡績工業都市として「東洋のマンチェスター」とも呼ばれていました。

 当時は造船所、製鋼所などの工場もあったため、大正区には沖縄県を中心に各地から、たくさんの労働者が移住してきて、活況を呈していたそうです。

 しかし、近年は高齢化が進んでいます。この地域の医療需要を考慮すると区内唯一の公的病院である私たちの役割は急性期から慢性期、在宅までのシームレスな医療です。それを実践するには地域の診療所や施設との「顔の見える連携」の構築が必須です。

 これからは病院内のチーム医療はもちろん、周囲の診療所と協力し合う地域完結型のチーム医療が求められます。

 ここ大正区は、地域包括ケアが提唱されるはるか前から地域連携に力を入れてきた歴史があります。ことさら意識せずとも、スムーズな連携ができていると思いますね。

 私たちは診療所だけでなく、高齢者施設や障害者施設などとも密な連携ができています。地域に密着した医療、福祉の提供ができている。まさに済生会の理念である「救療済生」を実践していると自負しています。

◎早期の自宅復帰を目指す

 高齢者が多い地域の医療ニーズに応えるため、整形外科を充実させており、4人体制で診療にあたっています。また4月からは脊椎外科を開設しました。患者さん個々人にマッチした治療、リハビリを提供し、なるべく早い時期の自宅復帰を目指しています。

 QOLの維持、向上のためには常日頃から住民に健康に対しての関心を持ってもらう必要があります。そこで地域の開業医の先生方にも協力してもらい、月に1度、健康教室を開催しています。

 講演などを通じて、住民の方々に、もっと自分の健康について考えてもらい、健康寿命の延伸につながれば幸いですね。

◎チーム医療の重要性

 当院は臨床研修指定病院で1学年4人、計8人の研修医を受け入れています。これぐらいの数だと顔と顔を突き合わせて密度の濃い教育ができるちょうどいい人数ではないでしょうか。

 医師数は60人で医局は一つ。必然的に各科の医師が日ごろから顔を合わせてコミュニケーションを取っているので、診療科間の垣根のようなものはありません。

 コミュニケーションが良いのは医師間だけではありません。異なる職種間のコミュニケーションも良好です。当院は、それほど大きな病院ではないので、みなさん顔見知りで、とても仲が良いですね。私も職員の顔と名前が一致しているんですよ。

 スタッフ間のコミュニケーションが良好で、院内の雰囲気が明るければ、それは患者さんにも伝わるものです。好印象を持ってもらうことで、口コミなどで患者さんが増えて、選ばれる病院になる。そういう良い循環にしていきたいですね。

 職員には常日ごろからチーム医療の重要性を説いています。昔は医師がいて、その下に他の職種、という構図でした。しかし、今は患者さんを中心にして、まわりで病院の全職員が支えるチーム医療が求められるのです。

 医師の力だけでは患者さんに良い医療を提供できません。医師、看護師、メディカルスタッフ、医療ソーシャルワーカー、事務職など、すべての職種が必要です。

◎地域に信頼される病院

 地域に信頼される病院を目指しています。そのためには断らない救急をしなければなりません。現在の応需率は80%です。これを少しでも100%に近づけたいと考えています。

 そのためには現在の平均在院日数13〜14日をもっと短縮して、ベッドの回転を速くする必要があるでしょう。

◎次世代にバトンタッチ

 私の専門は循環器内科です。大学の夏休み、先輩の同級生が循環器内科部長を務める小倉記念病院(福岡県北九州市)に見学に行ったことがきっかけでした。

 漠然と描いていた循環器に進みたいという希望がこの年の夏休みにはっきりと決定づけられたように思います。

 その頃は今ほど冠動脈造影検査・治療が世間に認知されていない時期でした。大学でグループを立ち上げ、その一員としてかかわりました。

 当時はまだ珍しかった冠動脈のインターベンション治療のバルーン拡張術、不整脈のアブレーション治療の導入にもかかわることができました。

 さらには、その時の仲間たちと、当院で、循環器内科を開設することもできました。新しいことをやるときに、そばにはいつも仲間がいました。私にとってはかけがえのない経験であり、一生の宝物です。

 院長に就任して10年、今年で定年を迎える予定です。ここまでやってこられたのは、職員のみなさんや仲間たちのおかげだと思いますし、とても感謝しています。

 「もっともっと地域に根ざした信頼される病院にしたい」との思いはあります。しかし、残された時間は、そう多くありません。次を担う若い世代に、この思いをバトンタッチしたいですね。

社会福祉法人 恩賜財団 大阪府済生会泉尾医療福祉センター 大阪府済生会泉尾病院
大阪市大正区北村3-4-5
TEL:06-6552-0091
http://www.izuo-saiseikai.gr.jp/


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