【11月岡山県】第46回日本関節病学会
関節疾患への挑戦 ―現状と未来へのメッセージ―
11月9日(金)・10日(土)、岡山コンベンションセンターで「第46回日本関節病学会」が開かれる。関節疾患について幅広く議論するとともに、「次代を担う医療者の挑戦心を刺激する」ことも重要なテーマとしているという。
若手の背中を押したい
日本関節病学会は1973年の「リウマチ外科研究会」設立が始まりです。研究対象は関節全体へと拡大し、1981年に「日本リウマチ・関節外科学会」が発足。2007年、名称は現在の「日本関節病学会」となりました。
岡山大学整形外科で同学会の会長を務めるのは山本純己先生(第8回、19回)、井上一先生(第28回)に続いて私が3人目です。若い人たちの積極的な挑戦を後押ししたい。そんな思いを込めて、今回のテーマを「関節疾患への挑戦―現状と未来へのメッセージ―」としました。
医療のグローバル化が進む現在、高い語学力のスキルをもち、国際的な視野で物事を捉える能力は欠かすことができません。
海外のゲストによる招待講演として、当教室の留学先としても交流がある米ミシガン大学のケビン・チャン先生、英エディンバラ大学のドナルド・M・サルター先生が登壇します。ぜひ、世界の第一線の取り組みや成果を感じてもらえればと思います。
今大会の見どころの一つは、11月10日に第1会場で予定している「会長推薦臨床実践講座」でしょう。
「外傷後の変形性関節症」に着目し、「肩関節におけるpost-traumatic OA」「新しい低侵襲寛骨臼骨切り術(SPO)の紹介と実際」「踵骨骨折後の遺残痛に対する手術治療」など、さまざまな視点から、日本肩関節学会、日本骨折治療学会といった他学会の先生に約30分ずつのレクチャーを依頼しています。
多職種による取り組みを促進するために、今回、理学療法士が参加するセッションを組み込みました。医師以外の職種が主体となった企画は、おそらく日本関節病学会で初めての試みだと思います。医師とは異なる立場でどのように関節疾患と向き合っているのか、きっと新鮮な意見を聞くことができると思います。
運動器治療と希少がんの今後
がんの骨転移や長期間に及ぶ入院などを要因に、著しく筋力が低下してしまうことがあります。日本整形外科学会は毎年10月8日を「骨と関節の日」と定めており今年度のテーマとして掲げているのは「がんとロコモティブシンドローム」。岡山大学整形外科も予防のための積極的な介入に力を入れています。
がん患者さんのADL向上のために、多職種連携のチーム医療に取り組んでいます。肉腫や骨移転の患者さんは、手術や抗がん剤治療によりADL低下を認めることが少なくありません。当科では入院時からリハビリによる介入を開始。チームの意思疎通を円滑化するために毎週、多職種カンファレンスを開いています。退院後の患者さんに対しても理学療法士が積極的に関わり、ADLやQOLのデータを定期的に集めるなど、有効性の高い介入方法の解析を進めています。
4月、岡山大学ではスポーツに伴う運動器損傷の予防・治療を研究する寄附講座「運動器スポーツ医学講座」を開設しました。選手の競技能力向上を支え、2020年東京オリンピック・パラリンピックに微力ながら貢献できればと思います。
当教室は、運動部出身でスポーツ好きなメンバーが多い。医局員を中心に他科の医師も加わり、プロサッカークラブ「ファジアーノ岡山」の全試合に帯同しています。
また、「国立がん研究センター中央病院臨床研究支援部門」が支援する日本最大規模のがんの臨床試験グループの集合体「日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)」において、私は骨軟部腫瘍グループの代表を務めています。骨軟部腫瘍は希少がんのため、より有効性の高い標準治療の確立には、多施設が連携した研究が不可欠です。世界に発信できる確かなエビデンスの創出に、引き続き取り組みます。
Program
特別講演1
「優れた臨床成績獲得のための人工膝関節置換術のコツとポイント」
座長:津村 弘(大分大学医学部整形外科教授)
演者:勝呂 徹(東邦大学名誉教授/日本人工関節研究所所長)
特別講演2
「関節リウマチ病巣への単核球集積機序―ナース様細胞について」
座長:尾﨑 敏文(岡山大学医学部整形外科学教室教授)
演者:越智 隆弘(大阪警察病院院長)
会期
11月9日(金)・10日(土)
会場
岡山コンベンションセンター
運営事務局
株式会社日本旅行 中四国コンベンショングループ
TEL:086-259-5578