鳥取大学医学部保健学科 生体制御学講座・環境保健学分野(鳥取県米子市) 浦上 克哉 教授

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認知症の早期診断と予防の重要性を再確認

 コンピューターを取り入 れ、短時間で認知症の疑い のある人をスクリーニング する診断プログラムを開 発するなど、認知症の診 断、予防にいち早く取り組 んできた鳥取大学医学部 保健学科生体制御学講座・環境保健学分野の浦上克哉教授。プログラムの 現状や、認知症医療が直面 する課題を取材した。

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浦上克哉教授

「物忘れ相談プログラム」の効果

 浦上教授が、これまで一番力を入れてきたのが認知症 の早期診断と、その予防だ。

 10年以上前に開発し、実 用化したのがタッチパネル 式コンピューターを使った 「物忘れ相談プログラム」。 老化による物忘れか、病気 による物忘れかを、3分間 のテストで簡単にスクリー ニング。認知症が疑われる結果の場合、医師への受診 を促す。

 「開発当初は、3分間で 本当に診断できるのかとい う疑問の声も聞かれた」と 浦上教授。「診断ではなくス クリーニングと言っても、医療現場ではすぐには理解さ れなかった」という。

 しかし、手軽さと実績が 徐々に認められ、現在は病 院、クリニック、地域包括支 援センターなどに設置され ている。最近は、かかりつけ 薬局に置かれ、テストを受 けた人が不安に思った場合 には専属のかかりつけ医を 紹介する仕組みができてい る所もある。

 「認知症の場合、気付くと いうことが実は一番難しい」 という浦上教授。このプログ ラムによって、「自分は認知 症かもしれない」との疑いが 持てれば、次のステップにつ ながる、とし、「普通に話していたら、医療者であっても見 逃してしまうこともあるが、 簡単に気付く方法もあると 知ってほしい」と強調する。

地域での取り組みの 実情と課題

 鳥取県琴浦町は、 13 年 前、「物忘れ検診」をスター ト。浦上教授のアドバイス をもとにプログラムも導 入。認知症予防の三つの要 素「運動」「知的活動」「コ ミュニケーション」を盛り込 んだ、軽度認知障害(MCI)の住民への予防教室も 実施している。

 この4月には、県の研究 費で「鳥取方式認知症予防 プログラム開発研究」が始 まった。今後検証を進めて いく。

容易でなかった 物忘れ検診の導入

 「琴浦町での物忘れ検診導入時には、住民から『町 は親に認知症のレッテルを 貼るのか』といったクレーム もあった」と浦上教授は振 り返る。

 検診を予防につなげたい 行政に対し、「認知症への偏 見」が壁となって立ちはだ かったのだ。しかし、担当 保健師は、「その偏見があ るからこそ、やらなければ いけない」と住民への理解 を広げる努力を続け、成果 を上げた。

 認知症への偏見が残るた め、認知症でない人も含 め、住民全体にアプローチ するケースもある。しか し、対象を広げることでMCIの人がドロップアウト する可能性が高まる恐れ もあり、浦上教授は「MC Iの人を見つけて、きちん と対応するターゲットアプ ローチの重要性を伝えた い」と予防活動の在り方に課題を投げかける。

人材の育成

 認知能力をアップする活 動には、指導者(ファシリ テーター)の知識とスキル の力量も問われる。浦上教 授によると、「せっかくの予 防プログラムも、指導者が 間違って教えれば認知症の 悪化につながりかねない」 という。

 浦上教授が理事長を務 める日本認知症予防学会 では、2016年に「認知 症予防専門士」の資格制度 を作り、正しい情報を発信 する取り組みを始めた。

 「MCIは、正しい予防で 1割は正常に戻り4割は MCIにとどまる。つまり、5割は認知症にならなくて すむというデータもある」 (浦上教授)。予防プログラ ムの効果に期待がかかる。

 2016年度、鳥取大学大学院では、日本認知症予 防学会認定「認定認知症領 域検査技師」の養成コース を設けた。認知症の評価、検査のスキルを持つ検査技 師を養成する狙いだ。

 認知症は、脳器質的な病 気のため、頸(けい)動脈エ コー、脳波などの検査が必 要な場合も多い。長谷川式 テストとCT検査で診断 するだけでは「不十分な ケースもある」と浦上教授。 「きちんとした技術を持つ 検査技師を養成し、まず は、認知症疾患医療セン ターに配置できるようにし たい」と話している。


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