JCHO熊本総合病院 岸川 秀樹 副院長・糖尿病センター部長

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

高齢者糖尿病が増加多様な治療を心掛けて

1980 熊本大学医学部卒業 同附属病院体研成人科(現・代謝内科)研修医 2000 熊本大学保健センター教授 2015 JCHO熊本総合病院副院長・健康管理センター長・糖尿病センター部長

1948(昭和23)年開院、344床を有するJCHO熊本総合病院。高度医療、へき地医療などに精力的に取り組み地域医療に貢献する。同院糖尿病センターも地域の糖尿病医療の中心。副院長でもある岸川秀樹・糖尿病センター部長に聞いた。

k2-1-1.jpg

糖尿病センタースタッフと。後列中央が岸川秀樹センター部長

◎ 18人の糖尿病療養指導士を配置

 当院の糖尿病センターは医師4人。月に約千人の外来患者さんが訪れています。高齢の方が多く、患者さんの平均年齢は全国平均と同じ65.1歳。八代地区だけでなく、周辺の宇城市、芦北地域からも患者さんがお見えになります。

 私は当院に来る前、熊本大学にいました。高齢者の糖尿病が増えているという傾向は、当地と熊本市内を比較しても変わらないと思います。高齢の患者さんは、他の病気を合併している場合が多く、さらに一人の人に合う治療が他の人にも合うとは限りません。それぞれの患者さんに合わせた治療ができるよう、丁寧な対応を心掛けています。

 糖尿病に関する当院の特長の一つとして、「糖尿病療養指導士(CDE)」の多さがあります。現在18人。看護師、保健師、栄養士、薬剤師、理学療法士と多職種に及び、ほぼすべての病棟に配置されています。

 糖尿病以外の疾患で入院される糖尿病の方が増え、入院に至った病気だけでなく、糖尿病の管理も必要となっています。すべての患者さんに対し、糖尿病センターからスタッフが出て対応するのは難しいため、病棟内にいるCDEが、他のスタッフにもアドバイスや説明をしてくれるのは、ありがたいことです。

 CDEには、全国版と地域版があります。当院も地域版の「CDE―K(熊本)」の養成のため、年に何回か研修を開いています。また、糖尿病の患者さんでも外食時にカロリーを気にせず食べられる「ブルーサークルメニュー」を病院レストラン、職員食堂で出しています。

◎「インスリン投与量調整」研修機関を目指す

 看護師が医師の医療行為の一部を担う「特定医療行為」の研修制度が始まりました。厚生労働省が規定した診療の補助行為は38項目。その中で当院は「インスリンの投与量の調整」という特定行為をする看護師の養成機関となるため、今年度から準備を進めています。

 インスリン投与には、微妙な調整が必要です。高齢化により、自宅や介護施設などで過ごす糖尿病の患者さんは、今後さらに増えていくでしょう。医師だけですべての患者さんに対応するのが難しくなるのは、間違いありません。

 ただ、これまで医師が担ってきた役割を、一部とはいえ看護師に移すことに、不安を覚える患者さんもいらっしゃると思います。地域の方にも安心していただけるような研修課程を準備していくつもりです。

◎糖尿病患者にも影響 熊本地震

 4月に熊本地震が発生しました。震源から当院までの距離はおよそ40キロ。震度6の揺れがあり、エレベーターも止まりました。

 当センターにお見えになっている患者さんも苦労されたようです。約半数の方が避難。インスリンや飲み薬を自宅に忘れ、取りに戻れない人も出ました。食事がおにぎり1個ということも何回かあり、血糖値が悪くなるのを覚悟で、薬を飲まない対応をされた方もいたと聞いています。

 インスリンや経口薬がなくなり、血糖が高い状態が続くと、中性脂肪の値も上がってきます。不調を我慢していた結果、中性脂肪(基準値50~149mg/dl)の値が3000mg/dlを超え、上腹部痛などによって救急搬送されてきた患者さんもいました。

 地震で避難する際、食べ物や貴重品、携帯電話などは持って出ますが、お薬手帳まで思いつく人は多くありません。地震後、患者さんに対し、避難時にお薬手帳を携行したかなどを調査した結果、携行した人は「75歳以上の高齢者で、女性で、インスリンを使っている方」が多く、一方、「74歳未満で、経口薬のみを使っている男性」は、持っていかない傾向がありました。

 それを受けて、当センターの看護師が、患者さんの携帯電話に薬の情報を朝昼晩に分けて登録する試みを始めています。画面を見せれば、薬の種類や量などが薬剤師などに伝わる。こちらが指示したわけではなく、自発的にやってくれ、ありがたいことだと思いますね。

 院内で最も影響を受けたと感じているのは、透析関係です。エレベーターが壊れたため、外来透析の方は3階の透析室まで階段を使って上がっていただく。入院の患者さんも、だいぶ上の階から多くの職員が手助けし、階段で降ろさなければなりませんでした。

k2-1-2.jpg

糖尿病患者に多い足のトラブルを防ぐため、フットケアにも力を注ぐ。フットケア外来では角質除去や足浴などをし、患者からも好評だという

 もともと当院で透析を受けている患者さんに加え、地震のために熊本市内での透析ができなくなって、こちらで受け入れた方も多かったので、透析室は大変でした。

 当院は14階まである高層の建物です。エレベーターで上方階へ食事を運ぶこともできない時、栄養管理室では調理が不要な食事にするなどの工夫で切り抜けたようです。ただ、入院の方のカロリーが足りるのかという問題にも苦心したと聞いています。

◎糖尿病は「誰でもなる」

 糖尿病は、誰でもかかる病気です。年齢を重ねれば、血糖値は上がる。ですから今後も多くの人が糖尿病になるはずですし、多くの医療者が関わらなくてはならない。看護師の特定行為も、そのような背景があって、導入されるのだと思います。

 糖尿病は生活習慣病だと言われますが、個人的には患者さんが「生活習慣が悪いから糖尿病になった」と言われないような社会の認識・環境であってほしいと願っています。

k2-1-3.jpg

 血圧や血糖の日常的な管理は、健康のために必要な基本的なもの。血糖管理のためのさまざまな薬があり、食事の方法も確立されてきています。糖尿病にならないよう、そしてなったとしても人生を楽しく送れるよう、糖尿病センターは、お手伝いをしていきたいと思っています。

独立行政法人地域医療機能推進機構 熊本総合病院
熊本県八代市通町10番10号 TEL.0965-32-7111(代表)
http://newera.kumamoto-gh.jp/

九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

楽採で医師の採用を「楽」に!

博多水引×九州医事新報

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【2017年6月の1冊】
イメージ:今月の1冊 - 69.あなたが認知症になったから。あなたが認知症にならなかったら。
越智須美子・越智俊二[著]

Twitter


ページ上部へ戻る