「正常機能の再現を目指して」
7月28日から30日の3日間、福岡市博多区の福岡国際会議場と福岡サンパレスで第8回日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(会長、兵庫医科大学整形外科・吉矢晋一教授)が開かれた。
閉会式で吉矢会長は「私は、学会を1年の目標にしてきたことで成長させてもらったのだと思う。みなさんもこの学会を目標にして成長していただき、次の時代を担う整形外科医になってほしい」と話した。
3日間で延べ2600人以上が参加した同学会。次回は2017年6月22〜24日の3日間、札幌市の札幌コンベンションセンターで開催予定。
最終日の特別講演では、次回学会長を務める田中康仁・奈良県立医科大学整形外科教授が動画を交えながら「後足部病変に対する鏡視下手術の実際」の講演をした。その概要をレポートする。
【要旨】
後方インピンジメント症候群は骨性病変と軟部組織病変に分けられる。その中で最も多いのが骨性病変の三角骨障害。三角骨があるサッカー選手がインサイドキックをしたり、バレリーナがつま先立ちをすると痛みを生じてしまう。日常生活では障害をもたらさないが、これらの競技ではパフォーマンスを低下させる。
三角骨を切除することで、疼痛の改善と足首の可動域の広がりがみられパフォーマンスが向上するため、積極的に手術を勧めている。
三角骨切除術は比較的新しい手術。三角骨があるのは外側突起の部分なので、アキレス腱の真横から内視鏡を体内に挿入して三角骨を除去する。
従来法と鏡視下法の成績の比較では、AOFAS(American Orthopaedic Foot and AnkleSociety)スコアとVAS(Visual AnalogueScale)では大きな差が認められなかったが、鏡視下法は従来法より競技復帰までにかかる期間が大幅に短縮できる。具体例としてサッカーは8・3週が4・3週に短縮された。