独創性とエビデンスがテーマ
11月28日から30日までの3日間、福岡市博多区の福岡国際会議場と福岡サンパレスの2海上で、第26回日本内視鏡外科学会総会が開催された。
会長は福岡大学病院の院長で、福岡大学医学部消化器外科の山下裕一教授。参加者は5,400人ほどだった。右の写真は、山下会長(=右)と、Erich Mühe 氏について講演した、ハンガリーのJozsef Sandor 教授。
2013/11/28-30 福岡国際会議場と福岡サンパレスに5000 人集め
11月28日から30日までの3日間、福岡市博多区の福岡国際会議場と福岡サンパレスで、第26回日本内視鏡外科学会総会が開催された。会長は福岡大学病院院長で、同大学医学部消化器外科の山下祐一教授。応募演題数は、前大会が2千100題ほどだったのに対し、2千901題だった。会場は当初18室の予定だったが、第23会場まで用意することになったという。山下会長は開会式で「学会の勢いを感じた」と述べた。参加人数は5千400人ほどだった。
次期大会は来年10月2日から4日まで、岩手県盛岡市のマリオス、アイーナ、ホテルメトロポリタン盛岡、ホテルメトロポリタン盛岡NEW・WINGの4会場で開催される。会長は岩手医科大学外科学講座の若林剛教授。
メインテーマは「Originality & Evidence」
●医工連携の推進
28日と29日、九州経済産業局、九州ヘルスケア産業推進協議会も主催者に加わり、医工連携にスポットをあてた催しが多数開催された。29日には、経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課の福岡功慶課長補佐を招き、学会理事長で大分大学消化器外科・小児外科の北野正剛教授の司会で「経産省が進めるアジア内視鏡分野の医療教育について」と題した講演が行なわれた。福岡課長補佐は、これまで行なってきた医療の国際展開プロジェクトを紹介し、今年は現時点で15か国29件の実績があると報告した。
●初代理事長を偲び
平成3年に当学会の前身である第1回内視鏡下手術研究会を催し、後に学会の初代理事長になった出月康夫氏のメモリアルシンポジウムが開催された。司会は国際医療福祉大学の北島政樹理事長と、東京慈恵会医科大学の鈴木博昭客員教授。
北野理事長は、出月初代理事長が6年に京都で主催した第4回世界内視鏡外科学会や、学会の技術認定制度などを紹介して、出月初代理事長が日本の内視鏡下手術の水準を高める基盤を作ったと述べた。ほかに社会保険中央総合病院の万代恭嗣院長、東京医療センターの松本純夫院長、九州大学先端医療イノベーションセンター低侵襲先端医療学研究部門の大平猛教授が登壇した。
当初九州大学大学院消化器・総合外科の前原喜彦教授が司会する予定だった基調講演は、同大学先端医工学診療部の池田哲夫准教授が代役を務めた。下は、「経産省が進めるアジア内視鏡分野の医療教育について」の司会をする北野理事長。
●次世代内視鏡下手術の展望
特別シンポジウムとして、九州大学病院先端医工学診療部の橋爪誠教授の司会により「ジャイロセンサー付き3D内視鏡、内視鏡ホルダロボット、循環式気腹装置のトリオがもたらす次世代内視鏡下手術の展望」と題したシンポジウムが行われた。共催は㈱アムコ、センチュリーメディカル㈱、パナソニックヘルスケア㈱の3社。
会場では3Dメガネが配布され場内のモニターで、3D映像を用いた内視鏡手術の放映を行なった。従来の2Dによる内視鏡と比較して3Dでは奥行きや針の向きなどの視認がしやすく医師のミス、疲労の軽減効果があるとのことだった。またViKiシステムでは、手ぶれの軽減効果、エアシールでは、内視鏡カメラのレンズを拭く回数が減少できるなど、それぞれの有用性が報告された。
●人工衛星プロジェクト
平成21年1月に、東大阪市の中小企業が中心となって立ち上げた宇宙開発協同組合SOHLAによって小型衛星「まいど1号」がJAXAのH―ⅡAロケットの相乗りで打ち上げられたが、そのプロジェクトで人工衛星の心臓部に当たるバッテリーモジュールを担当した宇宙開発協同組合SOHLAの会員で、専務理事の棚橋電機の棚橋秀行代表が講演を行なった。司会は健保連大阪中央病院の大橋秀一院長。
プロジェクト立ち上げ時の平成14年、東大阪市は不況で産業の空洞化が叫ばれ後継者不足が深刻となっていた。このままではモノづくりが駄目になると危機感を持った東大阪市の中小企業が中心となり、同プロジェクトが発足した。
「夢で始まり 情熱を結集し こころ豊かな社会を創る」という理念のもとでプロジェクトを成功させた宇宙開発協同組合SOHLAは、将来的に月面ロボットの制作も考えており、「モノづくりは100点満点でないといけない。内視鏡手術など医療にも当てはまると思う」と語った。