目指すは「高性能ハブ病院」
矢掛町国民健康保険病院は1934(昭和9)年に開設。その後、3度の改築改修工事を経て、標榜診療科目7科目、2病棟117床の病院として現在に至っている。
名部誠病院事業管理者に今後の取り組みを聞いた。
◆充実した地域包括ケアの実践
病院理念は「地域住民にとって信頼できる病院を目指す」で、基本方針には「安全で安心できる医療の提供に努める」「患者様、ご家族の立場に立ったサービスの提供に努める」「改善努力を怠らず、常に組織・職員とも研さんに努める」「地域の関連施設及び院内の連携を密にし、充実した地域包括ケアの実践に努める」を掲げています。
2016年度は特に4つ目の「地域の関連施設及び院内の連携を密にし、充実した地域包括ケアの実践に努める」に力を入れていきたいと考えています。
在宅復帰の際は、ケースワーカーや看護師が準備をして、地元の開業医の先生とも密な連携をとります。
また、毎年行っている「矢掛地域医療介護連携フォーラム」では講演やパネルディスカッションを通じて、矢掛地域における、これからの医療・介護の形を住民のみなさんとともに考えていきたいと考えています。
さらに、3カ月に1度は、介護福祉施設やクリニックの先生を招き、懇話会なども行うことで、連携を深めています。
矢掛町の人口は1万5000人ほど、世帯数は約5000世帯です。高齢化率が36・0%と全国平均(22・8 %)、県平均(24・9%)をそれぞれ大きく上回ってしまっているのが現状です。そのような状況下でも、地域住民のために、良質な医療の提供をしなければならないと考えています。
◆ハブ病院を目指す
今後の目標として「在宅と高度医療機関との高性能ハブ病院機能」を持つことを掲げています。
当院を受診した患者さんを、必要があれば高度医療機関に紹介する。症状が安定したら、医院や介護施設などを紹介し、在宅療養にスムーズに移行できるようにする。そんな患者さんが行き交う機能を持つハブ病院を目指します。
◆充実した医療の提供
当院は充実した医療を提供でき、町民のみなさんの期待にも応えられているのではないかと思っています。「困ったことがあったら、とりあえず矢掛病院へ」と思っていただけたら幸いです。
◆高い救急車の応需率
当院の救急車の応需率は毎年90%を超えており、備中地区の平均応需率73%を大きく上回っています。当院では手に負えないケースを除く、ほぼすべての救急車を受け入れています。
また病院のNST(栄養サポートチーム)の活躍で、日本静脈経腸栄養学会において、NST稼働施設認定を受けることができました。
◆新人受け入れの心構え
先日、新人職員の定着を図るために「新人受け入れ職員の心構え10カ条」(右下表)を策定しました。新人職員が、すんなりと病院に溶け込むための取り組みです。
職員が気持ちよく働けることが良い医療の提供にもつながるのだと考えています。働きやすい環境を整備することで若い人材が入ってくる。そういう良い循環になることを目指しています。
オンとオフを切り替えることがワークライフバランスの向上につながります。何も仕事を怠けろと言っているわけではありません。勤務中は業務に集中して、その後の切り替えが大事だということです。当院で働くことが、その人にとっての幸せにつながるような職場環境づくりを心がけています。
きめの細かい良質な医療の提供と職員のワークライフバランスの向上は相反することかもしれません。それを可能にするには職員相互の良好なチームワークの構築が必須です。
都市部から離れているのが当院のデメリットです。そうはいっても倉敷市までは車で30〜40分。最寄り駅からも徒歩3分とアクセスも良好ですが、それがあまり認知されていません。
近所には旧宿場町があり、湯の華温泉もあります。周辺環境も良いし、労働環境も良いので、ひとりでも多くの人に当院で働いてほしいですね。