関連法案 公表される
如水社会保険労務士事務所 代表 早田 晋一
厚生労働省は9月8日に労働政策審議会労働条件分科会等を開催し、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」を公表しました。国を挙げた働き方改革への取り組みは、法改正に向け本格的に動き出しています。
そのポイントは下記の通りで、これまで本連載で取り上げた内容についてはほとんどそのまま盛り込まれています。
労働時間や有給休暇に関する労働基準法の改正と同一労働同一賃金の実現に向けた各法の改正がメインとなります。
一部の専門職について残業代支払義務等から除外する高度プロフェッショナル制度の導入などは、以前から法改正で取りざたされてきましたが、成立まではしなかったものです。
一見すると労働時間を柔軟にする事業主側に有利な改正内容にも見えますが、時間外労働の上限規制の導入、月60時間超の時間外労働の割増賃金率加算の中小企業への猶予措置廃止、年次有給休暇の5日間の取得義務化など、実は働き方改革が叫ばれるようになる前から、事業主側にとっては厳しい内容が多く盛り込まれていました。
ただ、法案要綱が提出された後の政治・国会情勢として、衆議院が解散され、10月22日投開票の予定 で総選挙が実施されることになりました。選挙の結果にもよってくるので成立時期は流動的ですが、改革の流れ自体は変わることはないと思います。
「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」のポイント
- 働き方改革の総合的かつ継続的な推進 働き方改革に係る基本的考え方
改革を総合的かつ継続的に推進するための「基本方針」の策定 - 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
(1)労働時間に関する制度の見直し(労働基準法)
・罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正
※自動車運転業務、建設事業、医師等について、猶予期間を設けた上で規制を適用等の例外あり。
・月60時間超の時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)の中小企業への猶予措置廃止
・年次有給休暇の5日間の取得義務化
・企画業務型裁量労働制の対象業務拡大
・高度プロフェッショナル制度の創設
(2)勤務間インターバル制度の普及促進等
(3)産業医・産業保健機能の強化 - 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
(1)不合理な待遇差を解消するための規定の整備(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)
・短時間・有期雇用労働者に関する正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止の明確化
・有期雇用労働者の均等待遇規定整備
・派遣労働者の待遇確保規程
(2)労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
(3)行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備
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