公益財団法人 鷹岡病院 | 石田多嘉子 理事長 名誉院長

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患者さんの一番近くで、社会復帰のお手伝いをします。

いしだ・たかこ▶愛媛県立新居浜西高校卒業、横浜市立大学医学部卒業/ 1968 横浜市立大学医学部精神神経科医局入職 1972 財団法人復康会沼津中央病院入職 1973 精神保健指定医取得 2000 財団法人復康会鷹岡病院副院長 2001 同病院院長就任2011 財団法人復康会理事長 2012 公益財団法人復康会理事長、同法人鷹岡病院名誉院長

精神科医療の役割

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 精神科は服薬中心の治療になりがちですが、多様な体験を重ねることで、症状を乗り越えられるようになります。

 失敗することもあるでしょうが、それを私たちが受け止めて、支援をし、成功体験に結び付けていくことが大切で、それが本来の医療の使命だと思います。入院医療についても、過去の日本の精神科入院医療では長期化しがちでしたが、治療の質を高め、支援体制をきちんと組むことができれば、短期間でも十分に効果があげられると私は考えています。

 当院ではスーパー救急病棟を運営していますが、入院期間は平均して40日間から50日間程度です。3カ月間を越えることは滅多にありません。

 患者さんの社会生活をサポートする立場で考えると、救急時の入院受け入れ体制は絶対に必要で、当院が救急基幹病院として存在する理由はそこにあります。

 スーパー救急病棟は高規格の病棟なので、看護師や指定医の配置、病棟の半分は個室、3カ月の退院率60㌫以上などの規定がありますが、患者さんのためには、可能な限り高品質の医療で、短期の入院が望ましいです。

病院の沿革

 1926(大正15/昭和元)年に設立された、「株式会社 沼津脳病院」が当院の源流になります。地域の精神障がい者に対して医療を提供しようということで始まったそうです。1945年に財団法人になり、同年7月には戦禍で建物を焼失しましたが、1949年に地域の篤志家からいただいた寄付を基に再建されました。

 2012年に公益財団法人となりました。沼津中央病院、沼津リハビリテーション病院と社会復帰事業部を擁する、県東部で精神神経科分野の中核的な医療集団として地域に貢献している組織です。静岡県の精神科救急医療システムのなかで、沼津中央病院は東部、当院は富士圏域の基幹病院として地域に貢献しています。

病院運営の基本方針

 きちんとした治療を提供して早期に社会復帰していただくというのが当院の基本方針です。ここは病院なのですから、長期間にわたって病院に囲い込むことで施設的になってはいけないと思う患者さんの一番近くで、社会復帰のお手伝いをします。のです。

 当然、早く退院させるだけが目的ではありませんので、退院した患者さんのサポートも必要ですし、社会生活の中で病状を崩した患者さんをいつでも受け入れていくことも、患者さんが安心して社会生活をしていただくうえで大切なことです。

 2000年に赴任しましたが、そのころは現在と比べるとのどかでした(笑)。外来を受診される患者さんも、現在と比べると少なかったですし、長期間入院されている方も多く、家庭的であたたかい環境ではありました。しかし、それは病院のあり方としては本筋ではないという思いがありましたので、「充実した急性期医療を提供して社会復帰させる。復帰後になにかあった場合にはきちんと受け入れる」という方針の下、運営を大きく変えました。

 スタッフも不足していましたので、人を集めてきちんとした医療の体制にもっていこうと奔走しました。看護部長をはじめ、職員はたいへんだったと思います。「職員が疲弊してしまう」という批判もありましたが、誰かがやらなければならないのです。公益法人としての立場や、医療者としての思いを達成するために必死でした。職員をはじめ、多くの方の支援をいただきました。本当に人に恵まれたと感謝の気持ちです。

精神科医療の醍醐味

 完全に治してあげることができないのは医師としてはつらいことです。

 たとえば、幻聴についても、いまはまだすべての患者さんを幻聴から解放することはできません。しかし、仮に症状が改善しなかったとしても、上手にフォローすれば社会生活が可能だということをたくさんの経験を経て確信しています。

 結局は、がんや身体の病気を持つ患者さんの闘病と変わるところはありませんし、精神科医療において大事なのは、もし治すことができないとしても、患者さんといっしょに歩いて行く、そばにいるということなのだと思います。

 患者さんを抱えこまないこと、患者さんが自分で生きる力を身に着けるお手伝いをするのが私たちの責任です。

 将来的には、いつか幻聴のしくみが解明される日は来るかもしれませんが、精神疾患そのものがなくなることはないと思います。社会生活においてはさまざまなストレスにさらされますので、精神科医の責務として、患者さんのそばで生きる支えになってあげたいですね。病気を抱えていたとしても人は生きていけるし、また、生きて、少しでも生きる喜びのある人生をめざしてほしいです。


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