座長:松田峻一良福岡県医師会会長
より高い質の医療システムは、現行を単に強化補強するだけでは実現できない。システム自体の改革があって可能になる。
現在の医療システムに内在するエラー誘発要因の発現を食い止めているのは、医師、看護師、そのほかスタッフの意欲と努力、責任感。より安全で質の高い医療を望むなら、医療サービスの運営と臨床プロセスをサポートするIT活用を含めて、医療システムを再設計する必要がある。
地域で構築される医療提供体制と、全国に適用される医療保険制度とは車の両輪。両者が安定充実すれば、地域の実情に応じつつ、全国的な質の確保と水準の向上が達成できる。地域は都道府県と郡市の医師会が中心となり、日本医師会は、国との交渉の中で、地域実情の反映と都道府県医師会の位置づけの向上をめざす。
日本は、民間の中小病院、診療所と、国公立・公的病院とが並存しているが、相互補完の関係にあるべき。
人口推計を見ると2025年ごろまで75歳以上の高齢者が急増する。高齢化率は4割近くになり、その後横ばいが続く。2025年をにらんで地域医療制度の改革を論議すべき。日本医師会の主張は、一律な方針ではなく地域実情の反映、都道府県医師会の位置づけ強化、かかりつけ医中心の地域連携が要点。
国民が医療に満足している度合いは増加傾向にあるが、地方の町村では夜間休日医療や介護と医療の一貫したサービス、高水準医療に対して、不安も強い。
一般病床は「いつでもどこでも、だれでも必要な医療を受けられる体制」を支える要素の一つ。法律で基準を定めると、医療体制が硬直し、地域医療にも混乱をもたらす。地域の医師会を中心にしてネットワークを作り、医療機関は機能を自主的に選択し、都道府県に報告する仕組みづくりを設ける必要がある。国が策定するガイドラインは技術的助言として位置づけ、都道府県はこれに縛られず、裁量を拡大すべきだ。