国策としての「がん免疫細胞療法」

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― リンパ球バンク株式会社 代表取締役社長 藤井真則 ―

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 がんは免疫病です。欧米では免疫治療が全身療法の主流ですが、日本では制度上の問題から、ほとんどが自由診療になります。ようやく、新法や法改正があり、免疫細胞療法が公的医療制度に組み込まれる歩みが始まりました。

 がんという病気は、腫瘍免疫が強く抑制され、がん細胞を傷害する能力が低下している「免疫病」です。特に鍵を握るNK細胞の活性は、ほぼ例外なく全てのがん患者において、著しく低下しています。がん細胞を狙い撃ちで傷害するのが生来の機能であるNK細胞を、がん治療に用いる、これは当然の摂理なのですが、これまで、保険適用申請の仕組みがありませんでした。昨年11月25日に施行された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」により、免疫細胞療法を実施する医療機関に届出義務が課せられました。1年間の猶予期間を経て、現在では、届出を受理されない医療機関が、免疫細胞療法を実施することは法的に認められません。がん免疫細胞療法が、なぜ、「再生医療」という括りに一緒にされるのか疑問の声もあり、あくまで「細胞医療」というべきですが、ともかく、免疫細胞療法を規制する法律ができたことは好ましいことです。また、同時に旧薬事法が改正され、免疫細胞療法の健康保険適用を申請することが法的には可能になりました。まだまだ詳細な手続きはこれからの議論になりますが、国がようやく動き出した、ということです。

 欧米では、ADCC活性により、体内のNK細胞の傷害活性を高め抗腫瘍効果を発揮する分子標的薬等、免疫系の新世代の抗がん剤の使用金額が、従来型の殺細胞剤を上回って主役に踊りでています。日本では、分子標的薬は、ごく一部の部位しか保険適用にならず、しかも免疫細胞を傷害する殺細胞剤と免疫系薬剤である分子標的薬を同時併用するという論理的に無理のある処方が行われてきました。単独投与なら、腫瘍が消滅し、再発しない著効さえ発揮する分子標的薬も、日本では本来の使い方からは程遠く、余り明確な効果がないと思われている始末です。一方、京都大学において、90年代の初めに世界に先駆けNK細胞の本格培養技術であるANK免疫細胞療法が確立され、臨床試験を経て、2001年から一般診療が始まっています。数リットルの血液から大量のNK細胞を集め、活性を高めながら1クールおよそ100億個まで増殖させる他に例をみないスケールのものです。米国のNK細胞療法(LAK療法)の臨床試験結果から類推して、ANK療法1クールを一度に投与すると巨大な腫瘍が一気に壊死を起こすリスクが想定され、ICU内で体液コントロールをしないと患者生命に危険が及びます。そこで、12回に分け、週に2回ずつ点滴することで、クリニックへの通院レベルで治療できる安全性を確保しました。全国で41の医療機関が、ANK療法を実施する届出を受理されています。


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