京都大学の研究者2人が開発に成功
「NK細胞は他の免疫細胞より、がんを殺す力が一段と強い」|喜多村邦弘院長(喜多村クリニック=大野城市)
福岡天神センタービルで5月26日、ANK免疫細胞療法を学ぶセミナーが開催された(写真)。主催はリンパ球バンク(株)=本社東京。
今年2月に同じ会場で開かれた同セミナーに比べ、参加者数は2倍を超え、関心の高まりがうかがえた。関係者によると各地で同様の傾向にあり、九州のがん拠点病院からの紹介もあったという。
ANK(Amplified Natural Killer)免疫細胞療法は、人の血液から採取した免疫細胞を、京都にある細胞培養センターで活性化しながら増殖させたあと、点滴で患者の体に戻すというもの。NK細胞ががん細胞を見つけてつぶしていく際、強い免疫刺激のため40度近い発熱を伴うが、それ以外の副作用はない。治療実績は2012年3月現在で約1400人となっている。 セミナーでは、ナチュラルキラー細胞が、どのようにしてがんを撃退していくか、その仕組みや療法確立までの歴史も話された。
リンパ球バンク(株)の藤井真則社長は「活性化したNK細胞は、がんの種類や場所にかかわりなく攻撃し、普通の細胞には影響を与えない。がんと診断されたら大きな病院でしっかり検査を受け、標準治療の方針を聞いたうえでANK療法の担当医と面談し、免疫を加えた最適な治療を選んでほしい」と話す。同療法は自由診療のため。1クール(12回治療)でおよそ400万円かかる。そのため標準治療との組み合わせが大切になる。
がん細胞にとどめを刺す
セミナーの最後に、地域でがん治療に20年間携わってきたという喜多村クリニックの喜多村院長がマイクを握り、「抗がん剤などの副作用に苦しむ姿をたくさん見てきた。医師としても患者が苦しむ治療はつらい。副作用がなく、効果の期待できるさまざまな治療を学ぶなかでANK免疫細胞療法に出会った。がん治療の中で『癌幹細胞仮説』というものがある。がんの親玉(幹細胞)が次々にがんのコピーを作っていき、コピー細胞は従来の治療で殺せるが、親玉の幹細胞は増殖の速度が遅く、放射線や抗がん剤では容易に死なない」などと話した。
また、「病院では標準治療を受けることになるが、最初の治療設計が大切。早い段階で相談してくれれば、ほかの療法も活用しやすい」と訴えた。
ANK療法を実施している医療機関は全国に24機関、九州には6か所あり、喜多村クリニックはそのうちの1つ。
藤井社長は「分散して再発や転移するがん細胞を一つずつ、最後まで追い詰めるのはNK細胞だけの特徴です。一方、標準治療は、がん細胞の数を大きく削ぐのが得意。最適の組み合わせを考えるべきではないでしょうか」と話している。
- 問い合わせ|資料請求
- フリーダイヤル...0120-51-2251(平日の朝8時半から夕方4時半)
- 東京都千代田区紀尾井町3-32 紀尾井町WITH3F リンパ球バンク株式会社まで