総合診療医に最適の環境です

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つるぎ町立半田病院 須藤 泰史 病院長

須藤 泰史(すとう やすし)
1986 徳島大学医学部卒業 2003 半田病院泌尿器科医長 2005 同泌尿器科診療部長 2012 同副院長2013 同病院長
■所属学会:日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本透析医学会専門医、日本小児泌尿器科学会専門医、地域包括医療・ケア認定医、徳島大学臨床教授(総合診療医学)

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町立の国民健康保険診療施設である当院は、県内の同種の病院では最大規模(120床)を誇っています。先日、光栄にも全自病協の自治体立優良病院表彰をお受け致したところ、受賞病院の中では、当院が最も規模が小さく、唯一の町立病院でした。

 徳島県は東部の海沿いにあたる徳島市に徳島大学病院や徳島県立中央病院、徳島市民病院などの大きな病院が集中していますが、西部は医療資源が不足しています。この状況下、当院の産婦人科は県中西部の出産を一手に引き受けており年間約500例を手がけております。

 また県西部の公立病院では、唯一、腎センターを構え、維持透析も積極的に行ってもいますし、消化器内視鏡センターがあるのも特徴です。

 このほか総合診療医の研修プログラムも作成し、積極的に医学生の実習や研修医の修練を受け入れています。

徳島県の医師修学資金貸与制度(いわゆる地域枠)での基本ローテーションに含まれる第3群病院に指定されています。この第3群には徳島県のへき地に所在する当院と県立三好病院、県立海部病院が指定されており、9年間の義務年間のうち3年間をこのいずれかの病院に勤めなければなりません。当院に来たことが無駄な経験だったと思われないように、充実した体制を構築していかなければならないと感じています。

 政府の地域医療構想では、病床数の削減が想定されています。当院のように、ギリギリの人員でやり繰りしている病院にとって、これ以上の規模縮小は大打撃です。 医療・教育機関として最低限の業務も滞る可能性があるので、過度の病床数削減はなんとしても回避しなければならない事案です。

 へき地においては、開業医の数も少なく、公的医療機関の病床数を削減してしまうと 地域医療は崩壊しかねません。規模が縮小されることで、大学からの医師の派遣がなくなる、医師不足で手術・検査ができない、専門医等の研修認定施設に認可されないなどの、負のスパイラルに陥ると、たちまち窮地に立たされます。

 若い人への魅力に乏しいこの地で、なんとか医師を繋ぎ止めている現況なので頭が痛いです。

 病床数削減を含めた地域医療構想の決定には、地方・へき地、それぞれの場所の状況に配慮した医療政策のかじ取りを期待したいですね。

総合診療医を目指す人は、当院の総合診療科で多くのことが学べるでしょう。

 徳島県で初めて日本プライマリ・ケア連合学会の家庭医療後期研修プログラムのバージョン2を取得しました。3年間の大半を当院で研修してもらうシステムで、充実した資格取得の勉強が可能です。

 当院の外来は健診も入れると毎日300人ほどの人が来院されます。入院患者 は常時90人ほどです。

 総合診療医は、すべてが対象疾患になるので、たくさんの症例を診ることが可能です。小規模であるがゆえに数多くの経験が積めるので、総合診療医には最適な環境ではないでしょうか。

アフリカのザンビア共和国を支援する特定非営利活動法人TICO(さくら診療所)と連携して「国境を越えた地域医療人材育成プロジェクト」に取り組んでいます。

 ザンビアの地域医療を担う人材育成、国際医療保健活動、日本での地域医療に関わる人材育成、両国の医療の向上のための共同研究が主な目的です。

 国際貢献に興味がある医師は数多く存在します。しかしボランティアで海外に出ていくのは多大なリスクを 負います。

 また、医学研究などの留学であれば大学医局側のメリットも大きく、こころよく送り出してくれますが、国際貢献は医局にとってプラス要因が乏しい点が挙げられます。結果、医局を辞めて海外に行く。しかし帰国後に働く場所がない。

 そこでTICO(さくら診療所)が、これまで国際貢献を志す医師達を受け入れていましたが、当院も、このお手伝いができればと協力体制をとっており、国際総合診療研修コースというプログラムを設けています。まず、1年間当院で総合診療に必要な臨床に従事してもらい短期派遣を経験したのち、2年目、3年目に臨床指導派遣に臨むプログラムです。

 昨年研修を受けた医師は、来年の1月より3カ月間、ザンビアに行く予定です。帰国後は、当院に勤務しながらまた、来年度に一定期間ザンビアに赴く予定です。このプログラムは、医師確保の一助になりますし、 国際貢献にもなるので今後も力を入れて取り組んでいきたいですね。

小さな病院ですが、私がこれまで勤務した中で、当院は最も雰囲気がよく、楽しい病院です。小規模なので、職員同士の仲が良く、コメディカルスタッフとの連携も良好です。

 医師は若いうちに一度は、地方の小さな病院で働くべきだと声を大にして言いたいですね。その後、都会の病院に行っても遅くはないと思います。将来、心境の変化があって地方で働きたいと思ったとき、へき地医療を経験していれば適応も早いんじゃないでしょうか。

 若いときに、横のつながりが良いへき地の病院で他科の先生と相談しながら、さまざまな疾患を診ることには、大きな意味があると思います。また、へき地は、医師不足なので、 病院も大事にしてくれると思います。

 へき地で順応できる医師の条件として、「へき地出身の医師」、「総合医を目指している人」、「キャリア早期にへき地医療を経験した人」、「地方での医師養成プログラム出身者」が挙げられています。

 都会の大病院では患者さんの背景が見えにくいですが、地方ではそれが見えるので、患者さんと深く関わることが可能です。

 最初から専門分野を突き詰めるだけだと選択肢を狭めかねません。視野を広げる意味でも、長い医師人生のうちに一度でもへき地医療を経験することは決して無駄にならないと思います。


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