今では県庁とのパイプ役です

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愛媛県立中央病院 救命救急センター長/災害医療センター長 濱見 原

1983 愛媛大学卒 同医学部麻酔科入局 1984 より市立宇和島病院(南予救命センター)、愛媛県立新居浜病院(東予救命センター)などを経て1999 年愛媛県立中央病院(中予救命センター)勤務。 2003 同救急部長 2010 同災害医療センター長 2012 同救命センター長/ 所属学会: 日本救急医学会 日本麻酔学会 日本集中治療学会

 今年の1月17日、阪神・淡路大震災から20年が経過した。東日本大震災からもまもなく4年が経過する。今回は災害拠点特集として、愛媛県立中央病院(松山市)、市立八幡浜総合病院(愛媛県八幡浜市)、高松赤十字病院(高松市)、麻植協同病院(徳島県吉野川市)、県立広島病院(広島市南区)に取り組みを聞いた。また今回は、熊本赤十字病院(熊本市東区)の井副院長にも取材した。

―病院のヘリポートの耐久重量は6.4tとのことですが、大型のヘリを受け入れることができますね。

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愛媛県の救急医療も濱見センター長にとっては大きな問題で、10 年以上前から県にドクターヘリが絶対に必要だと訴えている。中村時広愛媛県知事は昨年施行された知事選の公約に「県民の命を守ることに繋がる、ドクターヘリ導入の可能性を検討します」と書いている。

 新病院は、2013年5月に竣工しました。基幹災害拠点病院として、屋上にヘリポートを作るというのは、要望するまでもなく決まっていました。

 私からは大型の防災ヘリを受け入れられるようにしてほしいと頼みました。愛媛県ではまだドクターヘリ事業が開始されておらず、防災ヘリがドクターヘリの役目を兼任しています。ですから救急医療の観点からも、小さなヘリポートでは不十分なわけです。また松山市は高知県と比較的近いですから、高知県危機管理部消防政策課が運用する消防防災ヘリ「りょうま」を受け入れることも想定しました。ハードの問題で運用上のトラブルにはしたくないですからね。

 そのほか県警、自衛隊からのヘリ搬送も受け入れています。

―災害医療センターの所属は何人ですか。

 私が所属する救急科は、今専従で9人の医師がいます。業務量から言えばもう少し増員したいと考えています。

 一方災害医療センターは、組織図的には私一人の部署です。しかし災害対策委員会や、4チームあるDMAT隊員などが所属しますので、実際は私一人ではありません。

 どちらも多くの職員の協力があって成り立つ部署なので、関わる職員を全部あげたら煩雑な組織図になってしまうんですよ。

―災害に関わる仕事は。

 院内の災害対策の仕事もありますが、私には愛媛県統括災害医療コーディネーターとして、県の災害システムを構築する仕事もあります。県立病院の各部門の長だからといって、県庁に頻繁に出入りするわけではないんですが、私はしょっちゅう行っていますね。自転車で簡単に行ける距離でよかったです。

 東日本大震災の際、私を含めた愛媛県の救護班は、岩手県の北上市を中心とした地区に派遣され、医療と行政は密に連携しないと災害に対処できないことを痛感しました。それから一人の医師として、県庁に提案をしに行くようになったのです。同じ愛媛県職員とはいえ行政と医療職ということで、立場の壁を想定していましたが、災害や防災に関して非常に協力的であったのは意外でした。今では当院だけでなく、県医師会などの依頼を受け、県内の医療者の代表として、県庁に災害医療に関する提案をするパイプ役です。

 愛媛県の災害対策本部自体は、県知事をトップに組織されますが、以前はそこに医療関係者はいませんでした。それで前病院長に要望してもらい、災害対策本部会議の中に一つの部署として、災害医療対策部を設置してもらいました。そして愛媛県は、県内を14の地域に分け、それぞれの地域で災害医療を管理する医師を14人、災害医療コーディネーターとして任命しました。

 私は有事の際に県庁内に設置される災害対策本部に入り、そこから災害医療コーディネーターたちの動きを把握する立場になります。災害が起こった時に、県庁の中でそれぞれの医療圏の情報を細かく把握することは困難です。また各地域では、病院同士の横のつながりが重要になりますから、地域を熟知している医師が現場にいることが必要です。その地域の医療風土などは、なかなか分かりませんからね。だから、各医療圏の前線で活動している医師を、災害医療コーディネーターにする必要がありました。

 県には、以前から医療従事者が集まる災害に対する協議会はありましたが、来るのはほとんど病院長でした。災害医療は通常の医療の延長と捉えてはいけないので、もっと実務者レベルの、現場の医師が集まるほうが有益だと私は考え、県に提案して14人が任命されたわけです。災害拠点病院は県内に8院しかありませんから、西条市立周桑病院、久万高原町立病院、市立大洲病院、西予市立宇和病院、県立南宇和病院、鬼北町立北宇和病院の医師にも協力いただき、県内のほとんどの医療圏をカバーできるようになっています。

―訓練で力を入れていることは。

 災害時は衛星電話での通信も想定すべきです。県内の各災害拠点病院などでは毎月、衛星電話の使用に習熟するよう、訓練をしています。器材の使い方だけでなく、独特のタイムラグも知っておいたほうが良いでしょう。事務職員など、出来るだけ多くの人に触ってもらうようお願いしていますが、当院はDMAT隊員が多いので、まだ一般の職員で扱ったことのある人はあまりいません。

 災害時はEMIS(広域災害救急医療情報システム)で行政や他の医療機関と情報共有し、病院の状況を把握してもらうことも大事です。病院自体の被害状況のほか、病床の空き具合、人員の具合などを報告し、災害対策本部がどこに被災者や医療者を搬送すべきか判断します。

 私はDMATで大事なのは、業務調整員だと考えています。円滑な医療の提供のために、非常に重要な役割を担う隊員です。医療を担当する隊員は、日常診療の延長でも何とかなりますが、業務調整員は普段とは全く違う仕事をします。それだけに、訓練が重要だと思います。


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