消化器病全般の啓発を

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熊本大学大学院生命科学研究部消化器内科学 教授
熊本大学医学部 附属病院消化器内科 科長  佐々木 裕

●ささき・ゆたか=1979 大阪大学医学部卒、大阪厚生年金病院内科医員、大阪大学医学部第一内科助手、カルフォルニア州立大学サンジェゴ校医学部薬理学教室客員研究者、ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院癌センター分子肝臓病学研究室客員教授、大阪大学大学院医学系研究科分子制御治療学助教授などを経て、2003 熊本大学医学部内科学第一講座教授、同大学院医学薬学研究部消化器内科学教授。2009 熊本県肝疾患診療連携拠点病院肝疾患センター長、熊本大学医学部附属病院光学医療診療部部長、2010 同大学院生命科学研究部消化器内科学教授。■日本肝臓学会理事、日本肝臓学会熊本県責任者、日本消化器病学会財団評議員。

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熊本大学医学部 附属病院消化器内科 科長  佐々木 裕

 私自身の専門は肝臓病ですが、教室では消化器疾患全般を診療しています。

 なかでも最近は内視鏡治療に力を入れており、早期の食道癌、胃癌、大腸癌を治療することが増えてきました。九州でも指折りなんじゃないかなと思います。内視鏡治療に関してはいろいろな施設で勉強してきた人も多く、上手な人が多いですよ。また、膵臓や胆のう・胆道を内視鏡で調べたり治療したりする技術は、とても進歩しており、他の地域で勉強してきて熊本に持ち帰ってくれる人もいます。ゆくゆくは熊大が内視鏡治療のメッカになればいいと思います。内視鏡の診断や治療の修練のために、医局員を大学や病院などに国内留学させています。関東や近畿だけでなく、遠いところでは札幌や仙台にも出向させて、それぞれの施設の得意領域を学んできてもらっています。基本が身についていない状態で出向するのはもったいない。だから出向前に、熊本で内視鏡検査の基本はしっかり身につけてもらっています。他流試合をしてきて、自分の実力が全国でどの位なのかを確認してくることも大事です。なるべく多くの若手が、それぞれが興味ある領域を学んで帰ってきて欲しいですね。

―熊本大学病院の内科系で入院患者が一番多いそうですね。

 軽症から重症まで含めますと全国的に消化器疾患の患者数が多く、熊本県は大学病院が1つしかありませんので、大学病院に重篤な患者さんが集中するのだと思います。これからは、大学病院だけでなく、難しい症例を地域完結型で治療していただくことが必要です。消化器診療レベルの均てん化と、さらなる連携の強化を目指して、医療従事者を対象に講習会を開いています。

―肝臓に関する講習会を熱心に開かれています。

 熊本県は、胃や大腸などの消化管の専門医が多い地域ですので、これまでは肝臓病に関する講習会を中心に開いてきました。今後は、消化器疾患全般に関する最新の情報を地域の先生方にお伝えしようと考えています。

 また来年からは市民公開講座でも、肝臓病だけではなく、消化器病全般に広げて多くの地域で開催していく準備を行っています。消化器疾患は、生活習慣の関与が大きいことが特徴です。啓発活動をすることで確実に患者さんを減らせます。上手に治療することも大事ですが、予防するということが一番重要だと思います。

 生活習慣だけでなく、疫学的な話も必要でしょう。例えば、日本人に多い胃癌の原因として、ピロリ菌感染が考えられていることも重要な情報ですね。ピロリ菌の検査を受けて陽性なら、保険で除菌できることも知っていただきたいです。そうすえば胃癌の発生を抑えることになりますし、それだけ我が国全体の医療費も安くなるわけでしょう。

 県内各地域に同門会の先生方がいらっしゃいますので、バックアップしていただきながら、消化器疾患の予防に努めたいと思います。聴衆が仮に少なくても、こちらから出むかなければならないでしょう。聞きに来られた方が周りの人に話を広めていくようになれば理想ですね。一般の方が飽きずに興味が持てるような講演を心掛けたいと思います。消化器疾患と一口に言っても、範囲は広く、伝えたい話題がたくさんあります。インターネットでも啓発活動はしますが、中高年の方にはやはり、我々が足をのばして講演する方が馴染みやすいようです。

 公開講座の講演は若手の医局員にお願いするつもりです。講演をする、配布資料を作ることは、生半可な知識ではできません。そして上手に話すこと、質問に答えることは難しいことです。若手が基本を見直し勉強するよい機会だと考えています。

―熊本は同門のつながりが強い土地柄ですね。

 本当に同門の先生方に助けられています。以前のナンバー内科の時代では、それぞれの教室が消化器病を診ていました。私が赴任してから、消化器内科教室ならびに同門会が立ち上がりました。出身教室の違う先生方が集まった同門会ですから、当初はお互いに知り合っていただくための機会を何度も設けました。その甲斐があって、今では皆さんお互いに顔見知りになっていただいており、地域の連携もうまくいっているようです。その意味で、熊本の医療に多少は貢献できたかなと考えています。

―医局でレクリエーションはありますか。

 医局旅行は毎年行っています。病棟の看護師さんたちも一緒で、今年は宮崎に医局旅行に行ってきました。春には紅白野球大会もしています。私も野球は好きなので、参加しますよ。病院内で医局対抗の野球大会もあるのですが、医局間の調整が困難なのと、消化器内科は弱いので、自分たちでも始めました。みんなが元気になります。勉強会をつぶして練習したら、勉強会の時より参加者が多かったりします。医療はチームプレイなので、こういうことで「和」ができれば、科長としてうれしく思います。

 医師同士や、医師と看護師のコミュニケーションがとれていることは、患者さんにとってもプラスに働くので、このような機会は続けていきたいと思います。

―教育の際に思うことは。

 現在は医療がどんどん進歩していますから、勉強も大変そうです。例えば、内視鏡の検査や治療の進歩は先ほど話しましたが、それ以外にも学ぶべき技術や手技も多いです。ただ、卒後1年目2年目で技術の習得をばかりを目指すより、じっくり指導を受けて考え方などの基本を身につけて欲しいですね。技術だけにとらわれて基本がおろそかになると、はじめのうちは同級生を先行していても、途中から伸びなくなってしまいます。私の教室では、基本をしっかり教えることを若手に伝えています。卒後3年目4年目で何でもできる医師を育てるつもりはなく、基礎的なトレーニングを積んで、ゆっくりと良い医者に育ってほしいです。

 私も若いころは卒後3、4年目で一人前のつもりでいた時もありました。重症の患者さんをたくさん助けたつもりでいましたが、先輩の先生に「誰がやっても助かった患者さんだ」と言われたこともありました。そして「君がいなければ助けらないような治療のできる医師を目指せ」と言われ、それから基本を仕込まれましたね。それがありがたかったと思います。だから自分の経験からも、若手を教育する上で基本を大事にしています。

 今の若い先生たちは、初期研修制度で色々な診療科をまわることができるので、医師としてある程度の知識を得てから進路が決められます。しかしそれぞれの診療科に良いところがありますから、若い頃にこの制度があったら、私は迷ったかも知れません。その意味でも、今の若い先生たちは大変です。

 医師一人一人、性格の違いや特性がありますから、同じような教育はできません。

 その人に合ったやり方で、若手を教育していくことが大事なのかなと考えています。


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