全国生活習慣病予防月間(2/1-2/29)に寄せて

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うまくいく秘訣は「成功体験を味わう」

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福岡市医師会成人病センター
部長 小池城司
PROFILE:1986年九州大学医学部卒。同大学病院循環器内科医員のあとスタンフォ-ド大学研究員、マサチューセッツ総合病院研究員、ウィスコンシン医科大学講師を歴任。九大病院循環器内科医員、同大学院医学研究院助手、同大学講師のほか、福岡市健康づくり財団健康推進課課長、九大大学院医学研究院学術研究員、同研究院特任准教授を経て、現在福岡市医師会成人病センター健診・予防医療部長。

いま40歳以上を対象にしたメタボリックシンドロームの健診(特定健康診査)があります。なぜ40歳かというと、それくらいから病気になる人が増えるからです。 では病気をどうとらえるかということですが、血圧の場合は上が140、下が90を超えたら高血圧という診断がされますが、診断基準を満たすから高血圧、悪玉コレステロールや中性脂肪が基準値を超えるから脂質異常症だとか、血糖値が超えるから糖尿病だというふうになってきます。

でも、ある日突然そうなったんじゃなく、長い時間をかけて徐々に数値が上がってきて、40歳を超えると基準値を超える人たちが多くなってくる。もっと手前で手を打っておけば、40歳になって病気と診断される人は減ってきます。

最近、成人病の年齢層が下がっているのは、例えば男性は社会人になって給料をもらうようになると、美味しい物をたくさん食べるようになる。親子丼がカツ丼になるわけです。そうすると入社後数年でかなりの男性が太ってきます。 一昔前と違って食のバリエーションが増えたのと、昔ほど動かなくなったのかも知れません。私が学生のころは馬出の大学から天神まで歩いていましたよ。

今の生活習慣病の基盤に肥満ということがあって、年代ごとに増えていくんですが、各年代に占める肥満の比率は、10年前や20年前に比べて増えています。でも若い人が生活習慣病だと言われないのは、冒頭述べたように、診断基準を満たさないからですよ。でも経過中ではあるんです。線引きして、この人は病気であるかどうかではなく、傾向も含めて見ると、病気になる方向に向かっている若い人が増えている。 たくさん食べて動かなければ当然肥満になってきますし、太らなくても、血圧や血糖値や脂質の数値が悪くなるような生活環境で、成人病が若年層にシフトしているということは言えます。

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小さいころから運動せずに好きなものを食べるしつけを受けてしまうと、大人になってもそれを変えられない。今の子どもは学校の廊下を拭き掃除せず、どこに行くにも親のお送り迎えですからね。 食べ物にしてもいちばん小さいハンバーガーは250㌔カロリーしかなく、それでは太らないんですが、それでは食べごたえがないという理由で540㌔カロリーのビッグマックを食べる。牛丼の並盛りは670㌔カロリーくらいですが、大盛りで800から900㌔カロリー近く。どんな食事でも知らないうちに食べ過ぎ、それが当たり前になってきています。 「三つ児の魂、百まで」とはよく言ったもので、それが当たり前だと思い込み、間違いだということに気づかないんでしょうね。 デパートやショッピングモールで、子どもが階段を上っている姿をどれくらい見ますか。小さいころから動かないようになっているので、大人になればもっとでしょうね。

動かずに食べ過ぎる今の時代で、最低限やった方がいいのは、大人であれば1日1万歩は歩くようにすることです。時間でいえば40分くらいですが、大抵は、よく歩く人で5、6千歩くらいです。九大病院に勤めていたころの私は3千歩でした。
リーマンショックで車が売れなくなったとは聞きますが、車が減ったという話は聞きません。一度手に入れた生活の質は変えられないんです。

悪い生活習慣だということを分かっていてもやめられない、あるいは、やめる気がない。それを変える秘訣があるとすれば、チャレンジして自分に気持ちのいいことを体験させると、たぶん続くでしょうね。成功体験をどう自分に味わわせるかということです。タバコであれば、それをやめた時に違う世界が見えれば、たぶんその人はタバコをやめるんですよ。 毎日一万歩歩くように心がけて、次の年に健診を受けたら体重が減って、血液のデータも良くなっていれば、やってよかったと思うでしょう。うれしければ頑張ろうという気になる。それに気づくことでしょうね。

日本人の平均寿命が伸びている理由の1番は、子どもが死ななくなったと言うことです。それで平均をかなり押し上げた。さらには衛生状態が良くなったので肺炎などの感染症で死ななくなった。それで伸びているんだろうと思います。でも、寿命が延びたとしても、みんな健康だろうかと問いかけたいですね。生活習慣病やがんは、長生きの裏返しとしてあるのかもしれませんが。

がん検診を日本人があまり受けないのは、自覚症状がないために、自分は大丈夫だろうと思うこと、そして自分の健康についてきちんと向き合わないということもあるでしょうね。

遺伝的素因として、太りやすいとか太りにくいということはあります。太りやすい人は万歩計を買って歩いたり、スポーツをするのもいいでしょう。「歩かなければ」と自分を追い込まず、ゆったりした気持ちで取り組んで、知らず知らずのうちにいい習慣になればいいでしょうね。 タバコもそうですが、10年20年続けていた習慣を1日で変えようとすると失敗して挫折します。でもそこからまたやり直せばいい。ちょっとつまずいたくらいに思えばいいんです。


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